ネタバレ注意
才囚学園の「外の世界」において大人気のリアリティショー『ダンガンロンパ』のキャッチコピー。
この世界では、コンピュータゲームから始まった『ダンガンロンパ』がメディアミックスを積み重ねて絶大な人気を得て、延々と関連作品が作られるようになっている。
この世界ではプレイヤーである我々の世界に存在する希望ヶ峰学園シリーズが同じように娯楽作品として実在する。基本的に内容も全く同じである。その上で、我々の知らない『ダンガンロンパ』関係のコンテンツがもっともっといくつも作られているのだ。
そして長い長い年月を経ながら続いていった『ダンガンロンパ』は、遂には生身の人間達に本当にコロシアイをさせてそれを楽しむという悪趣味極まりない退廃的なコンテンツに成り果ててしまった。
コロシアイ参加者は一般応募で決まっており、この世界は恐ろしいくらいに平和で退屈であるために命をかけたスリリングなコロシアイに参加したいという人たちは意外に多く、また『ニューダンガンロンパV3』のコロシアイ参加者である赤松楓たち16人の生徒たちも元々は単なるダンガンロンパのファンで、自分からコロシアイに応募している。
この究極のリアルフィクションは、運営企業「チームダンガンロンパ」の主要スタッフである白銀つむぎの才能「超高校級のコスプレイヤー」の力によって成り立っており、あらゆるものを強制的にコスプレさせることができる才能もあって参加者たちは「キャラクター設定」に応じた「フィクションの記憶」を植え付けられ、これがリアリティショーであることも自分が望んで参加したことも完全に忘れてしまう。
また、ダンガンロンパでおなじみの「超高校級の才能」も本人の資質に基づいて植え付けられた一種の身体改造によるものに過ぎず、作中で隠された真実として少しずつ明かされていく「ゴフェル計画」も全て嘘っぱちのフィクションである。参加者たちが確かに目にはしている人類が滅亡した世界は惑星規模の撮影セットとして作り出されたものであることが判明している。
もちろん、春川魔姫の隠された肩書き「超高校級の暗殺者」も、王馬小吉が統べる「秘密結社DICE」も、pixiv百科事典上ではちゃんとネタバレ項目として真相のように扱っているが、実際は作中世界のシナリオライターたちが考えたただの設定である。参加者たちの頭の中では絶対的な過去の経験として記憶されていても、そんなものは客観的には実在はしない。
また作中ではキャラクター同士で友情や愛情、あるいは憎しみの関係が生まれているが、そういうドラマチックな人間関係のうちいくつかは運営側の超テクノロジーによって感情が脚本通りに想起された結果である。少なくとも最原終一の赤松楓への慕情(最赤)と、春川魔姫の百田解斗の恋愛感情(百春)については運営の仕込みあることが判明している。
希望の思いで絶望に立ち向かう果敢な参加者達の姿は、24時間体制で世界中の視聴者に対して放映されており、この世界の人々はそれを見て希望というものの素晴らしさを感じている。
つまりは希望を求める人々の需要によりコロシアイが成り立っているのである。我々が希望が最後に勝利するハッピーエンドを期待してコロシアイゲームをプレイしているように。
余談だが、本作の究極のリアルフィクションという考え方には1998年のアメリカ映画『トゥルーマン・ショー』のオマージュの要素が多々込められている。