概要
※この記事は『ダンガンロンパシリーズ』のネタバレがあります。
三作目のニューダンガンロンパV3およびシリーズ全体の核心的なネタバレがあります。閲覧は自己責任でお願いします。
↓
↓
↓
↓
↓
『超高校級の保育士』、春川魔姫の本当の肩書き。
『神明救済会』という表向きは新興宗教、裏では暗殺を請け負う組織で、春川はそこに所属する暗殺者の一人であった。なお組織の暗殺者は複数人いるが、特にお互い仲が良いわけでは無いとのことである。
才囚学園にある春川の『研究教室』には、暗殺に必要な武器や道具、射撃スペースなどが備え付けられていて(ただし銃は無い。科学捜査のできない学園内では殺しが簡単になってしまうからと思われる)、表向きの『保育士』に関わるものは一切無い。
最初に才能を隠していたのは、自分の能力を知れば、殺される前に殺そうという考えを持つ者が現れるからである。そのため1章後に研究教室が開放された後、春川は王馬小吉によって自分の正体があばかれるまでずっと研究教室に引きこもり、他人が入らないようにしていた。
逆手のナイフ術を得意とするが、実際は狙撃・爆弾・毒殺など手段は問わない。6階建てのビルを5階建てにした(=1階分を爆弾で吹っ飛ばした)こともある。
また本作資料集によると彼女の『理論武装』で持っている武器と服は全て"仕事"で使ったことがあるものだという(フード付きのコート、ボウガン、斧、鎖鎌など)。
なお刀(日本刀)だけは昔失敗をした(標的がオタクだったため、同人イベントにコスプレ道具に紛れ込ませて刀を使うことを考えたが、春川の方がコスプレイヤーに間違われて注目を浴びてしまった)ことからトラウマがあり、以後は使わないようにしている。この程度の過ちでも組織では落第の印を与えられてしまう可能性があるため、「手痛い失敗」だと語っていた。そのため初代ダンガンロンパ以来の伝家の宝刀である、金箔付きの模擬刀を持っていると嫌な顔をされる。
暗殺者になったきっかけは孤児院時代、春川が10歳の頃に親友が暗殺者としてスカウトされたこと。実は春川のいた孤児院は神明救済会の息がかかっており、暗殺者として見込みのある身寄りの無い子供を探すための場所として利用されていたのであった。
暗殺者の才能自体はその親友のほうがあったらしいが、春川曰く「優しくて泣き虫な性格の彼女が、暗殺者なんかになったら生きていけない」と考え、代わりに自らが暗殺者として訓練を受けることを願い出たのであった。
それまでの春川は、血の繋がった家族がいないということ以外は普通の生活を送っていた。親友の子とお揃いの服を着たり、お菓子を焼いたり、春川が父役・親友が母役でおままごとをしたり、夜ふかしして親友と話し込むなど、夢のように楽しく幸せな毎日を過ごしていた。
しかし当時まだ子供だった春川の決断は、彼女の運命を一変させてしまった。
訓練施設での暗殺者修行はまさしく地獄であり、拷問に耐える訓練や、情報を吐く前に速やかに自殺するための訓練もしたという(通信簿イベントで春川は最原終一に拷問の内容について聞くか尋ねるが、最原は「目の前の女の子が酷い拷問を受けるなんて聞くだけでも耐えられない」と断っている)。何度も泣いて何度も吐いて、肉体的にも精神的にもボロボロにされ、自分の人格が消える寸前まで追い込まれ、そして何度も繰り返しているうち人を殺すことに慣れてしまった。
神明救済会は暗殺者供給の見返りに孤児院に莫大な寄付をしているため、春川が暗殺をやめてしまえば子どもたちは路頭に迷うことになる。そのため春川は仕事を嫌がりつつもやめることができない(仮にやめられても、組織から狙われ、始末されてしまう可能性もある)。
実は春川が暗殺者となった後に親友は、孤児院の子を守った結果交通事故死してしまっているが、春川は「彼女が命を捨ててまで守った子たちの場所であり、彼女との思い出の場所でもある孤児院を守りたい」と"仕事"を続けている。
なお通信簿イベントでは「自分が暗殺者をやめたところで、また別の人間が暗殺者になるだけ」「誰しもが、生きる為に自分にできる事をやっている」と、不条理な世の仕組みに対する諦めも滲み出る。暗殺それ自体はもちろんとんでもない悪行※だが、どうせ誰かがやらなければならないなら自分が業を背負うという、彼女の性根の優しさが暗殺者にしてしまったという面もある。
※但しダンガンロンパシリーズは「超高校級の絶望」やシリアルキラー、軍人、極道、ヒットマン、暴走族、詐欺師、砂利の詰まったスク水で殴る殺人犯、殺人テニス選手の高校生達や、健康な高校生に人体実験をする大人たち、ついコロシアイを開催してしまったお爺ちゃんや平和な世界でもコロシアイをエンタメ化して楽しんでる人達もいる世界であり、元々の倫理観がちょっとおかしい点には留意されたい。
仕事に対しては大部分で割り切っており、依頼のリストに名前があれば文字通り誰でも殺す。しかしヤクザの組長の娘であった同級生を手にかけたことは今でも心にしこりとして残っており、『ココロンパ』ではこの出来事が焦点となる。
地獄で鍛え抜かれた春川のフィジカルの強さはシリーズ屈指であり、腕立て伏せ100回を汗もかかずに猛スピードでクリアする、王馬の首根っこを捕まえて片腕だけで持ち上げる、見えない程の速さで移動するなど、文字通り超高校級の常人離れした身体能力を持つ。
考察
- 暗殺それ自体はマルチな能力(体力・知力・精神力など)が求められる行為に思われるが、上述した「親友の方が暗殺者の才能があった」の「暗殺者の才能」がなんなのか、そしてどの程度「あった」のか、本人の懇願があったとはいえ最終的に春川がなぜ採用されたのか(どの能力を買われたのか?)は明かされておらず、ここをどう捉えるかで春川のキャラクター造形もまた異なるものになるだろう。
- 地面につくほど長いツインテールは一見暗殺に不向きだが、なぜそのような髪型にしているかは今日までどの媒体でも明かされていない。加えて激しい修行をこなしたも関わらず身体が傷だらけであるという描写もなく、これらの点は6章で黒幕が語る真相の全部ないし一部が真実であった証拠に数えられそうである(ただしわざわざ作中で言及してないだけで、実は傷も多少あったのでは?という反論も不可能ではない。また同シリーズでは戦刃むくろが海外の戦場を転戦しながら無傷だったと明言されていたため、春川もそのあたりの才能において超高校級ゆえに無傷でいられた、とも考えられる)。
- 本業の酷さに反して身奇麗でお洒落なのは、"仕事"に対する報酬が悪いものではないからと考えられる(ただし身分不相応なほど大金を稼ぎまくれるというわけでもなさそうである。)
- 春川は『ゴフェル計画』の"ゴフェル"がノアの方舟に使われた木材のことであることを知っていたが、ここから神明救済会や孤児院はキリスト教系だった可能性が考えられる。なお彼女は自分の体験から神様の存在を明確に否定しており、ゆえに夜長アンジーとの相性が良くないようだ。
- ダンガンロンパ原作者の小高和剛はBlueskyにおいて春川の普段の食事は?との質問に「レーション」※と回答している(※軍隊用の携行食のこと)。同SNSでの発言はやや放言気味で、彼自身も「公式設定ではないのでファンは信じたい情報を信じれば良い」という旨を前置きしているものの、原作の『超高校級の才能育成計画』における春川も「贅肉のつくような食事自体、摂る事がない」「まともに料理をしたことがない」「食事を取ると眠くなるなんて事ない」などと言っているため一定の説得力がある。
その他
- 相手への威圧として強力な殺気をみなぎらせることもある(暗殺者なのに殺気が漏れていていいのか?という部分は疑問であるが……)。
- 才能を明かして以降はしばし「殺されたいの?」(英語版:「Do you want to die?」)と口走るが、これは彼女なりの親しくなった人に対する冗談や口癖みたいなものであり、別に彼女自身に殺人欲がある訳ではない。
- 死体や殺人に慣れているため、死因の特定もできる。3章・4章においては彼女が霧切響子のように死体の調査を行い、重要な役割を果たすこととなる。
- 百田解斗は1章における皆殺しタイムリミット直前に戦力になりそうなメンバーを集めていたのだが、その中には当時保育士を名乗っていた春川もいた。曰く「何となく戦えそう」だったとのこと。百田は作中を通じて勘が良いという描写が多く、ここでも宇宙に轟く男の勘が伊達ではないことがわかる。
- 保育士は嘘のつもりだったが、ハッピーダンガンロンパSでは小学生達(希望の戦士)の内、大門大以外が夕飯を残していることを抜け目なく観察して把握しており、大神さくらから「謙遜しなくともよい……やはりお主は超高校級の保育士だ」と褒められている。
関連タグ
ダンガンロンパシリーズ内
- 舞園さやか:きらびやかな表の世界の頂点に立つ舞園と、漆黒な裏の世界の深淵の更に底に潜る春川は対照的であり、実際に作品内での立ち位置や容姿などで対になる部分が多い(白セーラー服と黒めのセーラー服、助手である、コロシアイを始めた者と終わらせた者、殺人に失敗して死んだ者と生き延びた者……など)。逆に共通点としては刀に因縁があること、主人公を一度は犠牲にしようとした点などがある。ハッピーダンガンロンパSでは二人の会話がある。
- ジェノサイダー翔:希望ヶ峰学園入学以前に、快楽目的で多くの人間を手にかけてきた連続殺人鬼。セーラー服で赤目ツインテール、刃物を獲物とする点で共通している。
- 辺古山ペコ:希望ヶ峰学園入学前は九頭龍組の護衛兼ヒットマンをしていた。翔と同様、セーラー服に赤目でツインテール、刃物を獲物とする点も共通している。
- 戦刃むくろ:ダンガンロンパ/ゼロ、ダンガンロンパ3において暗殺の描写がある。また春川同様、逆手ナイフを遣っていた。さらにレーションを好む点も共通している。
- 星竜馬:才囚学園"入学"前に殺人を犯していた点で共通している。死ぬ直前に春川と密談している。
- 真宮寺是清:作中で2度刃物による殺人を犯すシリアルキラー。"入学"前に100人に近い数の殺人を各地で犯して逮捕されなかったという点では彼こそが「超高校級の暗殺者」だったのでは?という説がある。真宮寺姉も参照。
- 霧切響子:子供の頃から人の死に慣れている、最終章までの主人公の相棒ヒロインポジションにいるクールな性格の女の子である、などの点で共通している。
- 朝日奈葵:仲間を大切に思うあまりに暴走し、全員を巻き添えに自決しようとした点で共通している。『超高校級の才能育成計画』では霧切・春川と三人でほのぼの会話をしている。
- 不二咲千尋:人には言えない秘密を持っている、ということでハッピーダンガンロンパSで複数の会話がある。また『育成計画』でも複数回絡みがある。
- 七海千秋:射撃系のゲームが得意という点で、育成計画で複数の会話がある。
- 超高校級の絶望/超高校級の分析力/超高校級の希望/超高校級の詐欺師/超高校級の模倣犯:最初に公表されていた才能とは異なる、真の超高校級の才能たち。
- 最原終一/百田解斗:ファンから「トレーニングトリオ」と呼ばれる3人組を構成する仲間たち。
- 夢野秘密子:最原とともにV3生存組を構成する仲間。また春川は髪が黒で服が赤に対し、夢野は服が黒で髪が赤というコントラストになっている。
- 茶柱転子:容姿に共通点が多く、才能も格闘系である点が同じ。イメージ色は補色(赤と緑)の関係にある。闘ってどちらが勝つかは分からない。
ダンガンロンパシリーズ外
- ヨル・フォージャー(SPY×FAMILY):「黒髪ロング」「イメージカラー、目の色が赤」「裏の顔が殺し屋」など、類似点がある。