外見
画像のとおり、赤い粘液で形成された女性、いわゆるスライム娘である。頭から一対の羽とも髪とも見える部位が伸び、目は瞳がなくグリーン単色で、性器と乳首はない。衣類は黄色い蝶ネクタイのみであり、そこにコアと思われるグリーンの邪黒水晶が嵌っている。「裸に蝶ネクタイ」という刺激的な姿であるが、恥じらう素振りはまったく見せず、むしろ堂々としている。ただし胸の前で腕を組むシーンは多く、設定でもそのように描かれている。
脚本段階では「黒い油のようなもので構成された、英国の執事タイプの女性型ドロイド」と設定されていたが、「どうしても赤いドロイドを出したくて」とその回の演出&絵コンテ担当であった五十嵐卓哉氏が語っている。ただしドロイドのデザインは、通例演出か作画監督(この回は安藤正浩氏)のどちらかが行うため、デザインの細部をどちらが決定したかは不明(作画用設定資料に書かれている補足情報等は安藤氏の筆跡に近いが……?)。
特徴
「身体をゲル状に変化させることが出来る」と、公式ではそのようにしか説明されていない。しかし登場時は液状であり、そこから女性体へ変化していることから、どちらかと言えば「ゲル状の物質で身体を形成している」と思われる。また劇中では、体を形成する物質の粘度や硬度、体積までも自在に変化させている。
さらには床や天井に黒いホールを作り出現したり、テレポートや壁の通りぬけも行っている。
呼び出されたときには「おじゃまいたします」と挨拶する口癖はあるものの、主であるカラベラスにのみ敬語を使うなど、成年女性なみの知能と言語能力も持ち合わせる。まるで付き人のように静かに傍らに立ち、主には敬礼するなど忠義も高い。
このように応用範囲が広い能力に知能も持ちあわせている強力なドロイドである。この能力を使い作中でも様々な攻撃を行ったが、特に画像のように自身の体を形成する粘液を使用しての拘束を得意としている。
弱点としては公式カイドブックである「なかよしメディアブック」で「凍りつくと動けない」とされているが、劇中では冷気を浴びる場面はなかった。また人に化けるシーンがない上に作戦運営を主であるカラベラスたちが行っていることから、ほとんどのドロイドが持つ人間に擬態する能力がないと想像される。身体を動かすと粘液の流れるような音が出るため、不意打ちをしようとしても気取られることがある。
視覚については人と同レベルのようで、劇中でも目眩しで視界を奪われたり、明かりの無い倉庫の状況を確認するために扉を開け中を照らす場面がある。
経歴
セーラームーンRの65話(ブラックムーン編)において、あやかしの四姉妹であるカラベラス配下のドロイドとして登場する。前述の強力な能力を駆使し、単独でセーラー戦士4人を拘束するも、隠れていたセーラームーンに不意打ちで必殺技を撃たれ、消滅した。
以下に詳細を記載する。
登場
カラベラスが私室(UFO内の異次元空間)にて手を虚空に掲げると、蜃気楼が現物になるかのように、その手の内へ赤ワイン入りのワイングラスが出現する。カラベラスは手に持ったそれを飲もうとはせず、揺らめくワインに向かい、静かに「ジャーマネン」と唱える。
するとワインはひとりでに揺らめきを増し、グラスの中で荒々しく波立つまでになると、今度は竜巻のように上へと立ち昇る。赤い竜巻がばしゃあと吹きとぶと、そこには赤ワインで出来た全裸の女性が、カラベラスに向かい「おじゃまいたします」と敬礼をしていた。
以上がジャーマネンの登場シーンである。彼女はこのままとある店舗の乗っ取り作戦に参加することになる。
作戦中
作戦実行についてはペッツとカラベラスの共同で進めている。ペッツとカラベラスの二人が店員として表に立ち、ダークパワーを発するよう工作をする中で、ジャーマネンは裏側で本来の店員を倉庫と思しき場所に拘束を行っていた。
闇に閉ざされていた倉庫に赤い光が飛び交った後、がちゃりと扉が開き、外から入る明かりで室内が照らし出される。そこは粘液が蜘蛛の糸のように張り巡らされ、女性店員3人が全裸で磔にされていたのだ。ドアノブを持つジャーマネンは、眠っているかのように声ひとつ上げずぴくりとも反応しない店員たちを見届けると、そのまま扉を閉め、室内はまた闇へと閉ざされた。
なおシーン自体は「ジャーマネン」でイメージ検索をすればすぐに見つかるため、研究の参考にしていただきたい。
再登場
例によって偶然にもうさぎ・美奈子・まこと・ちびうさが対象の店舗に来店。いくつかのやりとりのあと戦闘が不可避なものになると、カラベラスによってジャーマネンは再度呼び出される。その際、天井に黒いホールが開き、どろどろと蝋を垂らしたかのように粘液が流れ落ち、それが女性の形へと形成されていく様が描かれる。
非常に素晴しいシーンのため、スライム娘好きの方は是非ご覧いただきたい。
戦闘
壁と床を通り抜ける能力を使い変身前のうさぎたちを頭上の天井から強襲するも、音によって気取られて避けられてしまう。その直後、美奈子が機転をきかせ消化器で目眩しを行ったため、追撃できなくなってしまう。
その後消化器の霧に隠れ変身したジュピター・ヴィーナスと戦闘となり、ヴィーナスの飛び蹴りを避けるため液状化しながら天井の中へ入ると、今度はジュピターの足元の床から、触手状に変えた自身の体を伸ばす。ジュピターが足元の異常に気付いたときには既に遅く、赤い粘液状の触手はじゅるじゅると大きな音を立てながら、ジュピターの全身を絡め取り、拘束する。直後腕組みをしたジャーマネンの本体が、まるで成果を見定めるように床から現われた。
しかし拘束されながらもジュピターはペッツと口論を行い、激昂したペッツは粘液触手に拘束されたままのジュピターへ電撃を食らわせる。触手により身動きが取れないまま、ただ電撃を受け悲鳴を上げるジュピター。その危機を救ったのは、偶然にも通りがかったマーズとマーキュリーである。マーズが放った火輪はジャーマネンの触手を切り裂き、ジュピターを自由にする。
なお電撃はジャーマネンの触手も受け、さらにマーズによって触手が切り裂かれてもいるが、ジャーマネン本体がダメージを受けたかどうかについては描写がまったくないため不明である。(ただし切り裂かれた破片については液状に戻ったかのような描写がある)
結局数的不利により、カラベラスとペッツは退却を決定。ジャーマネンに「後の処理を」と託し、虚空へと消える。カラベラスに呼ばれて床から現われ「お任せください」と承ったジャーマネンは、乳房の下あたりから自身の体を形成する粘液をセーラー戦士に向け爆発状に噴射する。なすすべもなくセーラー戦士たちはその粘液を浴びることになった。
最後
至るところにジャーマネンの粘液が付着し暗く歪んだ空間となった店内で、セーラー戦士4人は全員粘液に拘束されていた。そこに天井から垂れ落ちるようにジャーマネンが現われ、小さく笑いながら、さながらターミネーター2のT-1000のように右腕をナイフへ変形させる。
しかしそこにタイミング良くセーラームーンが現わる。ジャーマネンはナイフに変えた腕でムーンに襲いかかろうとするも、すぐさまムーンは必殺技を放つ。なす術もなく、ジャーマネンはクリスタルのように変化し、砂へと崩れさった。
当時の反響
放送当日は夏コミと重なっている。そのためいわゆるコアなファンは遠出をしている者も多く、録画視聴組とリアルタイム組で分かれてしまったことでNiftyServeなどのパソコン通信上での感想も時期がばらけ、いまいち盛り上がりに欠けてしまった。視聴率は10.1%であった。
それでも外観に関しては「いかにも人造人間である『ドロイド』らしい」と概ね良い評価を受けていた。ターミネータ2に登場するT-1000やプリンセスメーカーに登場するアミーバとの類似性を指摘する者もいた。他に髪のようにも羽のようにも見える部分がうさぎの髪型に似ているため、予告の時点で偽うさぎとして登場するのではないかと推測する者もいた。
人外であり、なおかつ性器や乳首は描かれていないにしても、全裸に蝶ネクタイのみという姿や、触手を連想させる攻撃方法は、土曜日19時に放映されていた女児向けアニメとしては非常にエロちっくであり、彼女を今でも記憶している者や、彼女に性癖を狂わされた者はそれなりに多い。
他メディア
SFCセーラームーンRにおいて、3面後半のザコキャラとして登場。ノーマル、キ、シルバーの3色のバリエーションがあり、中でもキジャーマネについてはアニメで見せた粘液噴射のモーションでセーラー戦士一人を取りこみ、粘液で締めつける攻撃を行う。この取りこみ攻撃は吸いこみが広く、なおかつ彼女らはランダムに地中へ潜ってしまうため、こちらが狙いづらい上に相手からは掴まりやすい、強力な敵となっている。また取り込み攻撃のモーションがアニメを知らない人には乳房を伸ばしてセーラー戦士を縛りつけているように見えるため、それを「おっぱい攻撃」と呼ぶものも多い。
GBのセーラームーンRではステージ2以降で登場する。特にサフィールとのボス戦の際、彼はジャーマネンを召喚しながら戦うため、サフィールの一番のお気に入りのドロイドではないかと推測する者もいる。なお他にゲームではSFCセーラームーンアナザーストーリー、PCEセーラームーンコレクションにも登場している。
先述のとおり、脚本段階では「黒い油のようなもので構成された、英国の執事タイプの女性型ドロイド」と設定されていた。恐らくは自分の体の一部で形成された黒い執事服を着用しているようなデザインだったと推測される。また、脚本段階では攻撃時に毎回「お邪魔ー!!」と叫んだり、自分の体が切られた際に痛がって家具の隙間に逃げたり、カラベラス撤退時に居残り戦闘を継続することを命令されると「そんなー!!」と叫んだり、口数が多く幾分か軽い態度と性格となっている。おそらくデザインを現在のものにするにあたり執事(マネージャー)っぽさが薄れたため、性格の方向性が変えられたものと思われる。
幼児向けの絵本でも登場している(15巻アルテミスのおくりもの)。こちらではスライム娘であることは同じだがデザインが完全に異なり、全身水色でスキンヘッドになっている。こちらもジャーマネンでイメージ検索をすれば見つけることが出来るだろう。
その後への影響
漫画版のセーラームーンでは、サフィールがヴェネティ・アクアティキという2体のドロイドを「完全なドロイド」と呼称している。この2体は不定形であるためジャーマネンとの類似性を指摘されることがあるが、どちらかと言えば魂か気体のような描かれ方であり、別物と思われる。ただしまったく別の回にて、ジャーマネンのように液体から生成されるかのような敵キャラが登場している。
アニメではセーラームーンSの終盤において、ジャーマネンと似た造形の敵が大量に登場する場面がある。赤色の粘液状で、体を巻きつけて攻撃を行うなど共通点が多いが、セーラー戦士の必殺技に少し触れるだけで滅びるほど耐久力が低く、かつ知能もほぼ無い。その代わりに大群であるという特質がある。さらに、この回の脚本を見ると、ダイモーンについては「ゴーストダイモーン」と設定されており、粘液っぽさは皆無となっている。が、演出はジャーマネン登場回と同じ五十嵐卓哉氏。……ん?(補足:通常演出が絵コンテも手掛けるが、この回はSシリーズのクライマックス直前話のため佐藤順一氏が入っている)。
他作品だが、シャーマニックプリンセスの5話に、外見や特徴が非常に近しいキャラクターが登場する。この話の原画にはジャーマネン登場回の作画監督を努めた安藤正浩氏が参加している。
二次創作など
非常に刺激的な彼女であるが、放送当時はほぼ話題にはなっていない(ようだ)。恐らくは敵キャラ・人外への性癖が今ほど一般的ではなかったためと考えられる。
しかし当時刺激を受けた少年たちが大人になった今、それなりに着目されはじめ、二次創作にてさらなる能力を付加されている場合も多い。例えば以下の能力が挙げられる。
- 体がアルコールであることから酔い能力
- 食品であることから飲ませて同化させる能力
- 店員を処分せず拘束に留めていることから自身を飲ませて操る能力
- スライム娘であることから溶かして同化してしまう能力
- 拘束されていた店員の肌が白っぽいことから石化などの状態変化能力
- 触手状に包んだり次元移動から丸呑み能力
- さらに発展させて丸呑みしたまま壁抜けをしての短縮移動能力
- 同化能力を発展させての治癒能力
- 赤い色から吸血能力
- さらに血と擬態させて流しこんでの操り、寄生、同化能力
- 形成自由であることからの性器や乳首の形成
- さらにふたなり
登場も描写も少なかったことから、その可能性を今でも追い求めている者もいる。
登場作品
その他情報
声優・CV
大野由佳
誕生日
不明
別名・表記ゆれ
ジャーマネ:SFCセーラームーンR攻略本での表記。アニメの作画スタッフ向け設定資料にもこう記載されている。