重水素の核融合を短時間に連続して行うことにより莫大なエネルギーを
爆発として生じさせる爆弾。
(普通の水素では核融合反応が遅すぎて爆弾として使えない)
概要
水素やその同位体(重水素、三重水素)が核融合し、ヘリウムになると反応前に比べて反応後は
総質量が減っている。減った質量はガンマ線として放出される。このエネルギーを用いて爆発を
起こし強烈な熱と爆風を生じさせる爆弾である。
爆発的な核融合反応を起こすためには…
重水素を核融合させるためには十分な量の重水素を超高温・超高圧・超高密度下におかなければならない。
重水素をそのままの形で用意すると保存や運用が大変なため、リチウムと重水素を化合させ
重水素化リチウムとして纏めておき、点火には原子爆弾を使用して超高温・超高圧・超高密度に
圧縮する。すると核融合する条件を満たしたあとに、核融合反応が起こり核爆発が起こる。
核融合による爆発は理論上、α,β,γ線および中性子線、燃え残りの水素の同位体が放出されるのみ
であるが、実際は点火に原子爆弾を使うため、放射性降下物(死の灰)が生ずる。
点火に原子爆弾を使わない水素爆弾
核融合条件を満たすためにレーザーを使用したものや強力な磁場を利用したものが研究されている。
用途
兵器のみである。
禁止へ…
1963年に調印された部分的核実験禁止条約(PTBT)によって、水爆を含め大気圏・宇宙空間・水中での
核実験は禁止されている。しかし、これ以降もPTBTで禁止されなかった地下核実験はたびたび行なわれた。
1996年には地下核実験禁止を含む包括的核実験禁止条約(CTBT)が国連で採択されたが、未批准国などに
よって核実験が強行されるなどしており、現在も条約は発効していない…。
余談ではあるが、過去に宇宙の彼方への航行のために宇宙船の推進力候補として挙がっていた原子力
エンジンは実はPTBTによって実現不可能となっている。(宇宙空間で核反応を起こして推進する為)