あらすじ
内気な高校生ジローが元クラスメイトのなつみにスカウトされた『オモイデ教』は、いかがわしい新興宗教を装う暗殺教団だった。『悪しきものをこの世から一掃する』という教えのもと、人間の精神を崩壊させ狂人と化すことができる能力誘流メグマ祈呪術を使い、教祖トー・コンエの密命を実行するなつみたち。
ふとした事から秘密を知ったジローは、不本意ながらも『オモイデ教』の信者として様々な事件に関わっていく。やがて、『オモイデ教』を敵視する秘密結社が放ったエージェントの襲撃の中、ジローは『メグマ』の力に覚醒する。
常軌を逸した熾烈な抗争の果てにジローが見たのは、形容しがたい真実だった。
登場人物
オモイデ教
八尾二郎(ジロー)
高校生。内向的な性格で、本人曰く『パッとしないやつ』で友達はいない。
休み時間は、心を落ち着かせるため、旧校舎裏の水飲み場で手を洗って過ごす。
学校では他者との関わりを避けているが、中間とは良好な関係を築いている。
オモイデ教に関わっていく中で、誘流メグマ祈呪術を会得することになる。
なつみ
ジローのクラスメイト。とらえどころのない少女。
数学教師の前川との恋愛の末に捨てられて精神に異常をきたし、中退してしまう。後に『オモイデ教』の信者となってジローと再会し、彼をスカウトする。
人間の精神を崩壊させ狂人にする誘流メグマ祈呪術の術師であり、操れる人間を見つける才能も持つ教団きってのエリート。
彼女のモデルとなった実在の人物の一人に、工藤ひとみの名前が挙げられている。
中間
ヒッピーのような時代錯誤なスタイルの青年。オモイデ教のムードメーカーでジローの兄弟子的存在ともいえる、どこか憎めない人物。
大阪の二流芸術大学時代で『フォークギター研究会』に属するも、やり場のない怒りを発散するため、ノイズバンド自分BOXを結成。
クラスメイトのゾンを無理やり引き入れて過激なパフォーマンスを繰り返し、関西で名を馳せるようになる。
やがてゾンの生い立ちを知り、彼を救うためにオモイデ教に入信することとなった。
トー・コンエ
オモイデ教の教祖。本名は小山ということ以外は謎の人物。
上野の不忍池を散歩中、『ホン・ラガトエー』の声が聞こえメグマに覚醒したとされる。
ラジオ
トー・コンエの部下。
義和尊神教
拝み屋ジョー
義和尊神教の教祖。ぼろぼろの法衣物をまとった青年。
撮列重蔵の相談役で、国紅宙会の障害となる術者を始末する密命を受けている。
ゾン
本名不詳。痩躯の美青年。
かつて中間のクラスメイトであり自分BOXのボーカリストだった。
A教の幹部である後継人の性的虐待により、心神喪失となる。そのため普段は死人の様で、いつしかゾンビのゾンと呼ばれるようになる。自分BOXのギグが発端で精神病院送りになるが、波乱万丈な逃亡の果てに、強大なメグマ術師となる。
桜の光
撮列重蔵
民自党元総裁で、優秀な学者でもる。偶然『メグマ波』を発見したことからメグマに関する研究を隠蔽し、極左殲滅にその力を行使するため国紅宙会を設立する。
神猟塚聖陽心霊治療塾
神猟塚聖陽
悪霊払いや心霊治療などを請け負う、俗にいう『拝み屋』。本名は陽子という以外謎だが、霊能力は本物。しづという妹がいた。
A教
藤堂徳浪寺
A教の教祖。『桜の光』のメグマ攻撃による大参事の中、説得に現れる。
用語
- オモイデ教 - 『MIND・オモイデ』という表札で雑居ビルに居を構える新興宗教団体。新型タワシの特許を持つ資産家が出資しており、入信者は100人を超えるといわれている。戒律のひとつに禁酒があり、代わりにハーブティーを嗜む。平和的な活動は建前で、メグマの力を駆使する暗殺教団。
- ホン・ラガトエー - 大宇宙の意思。善き者と悪しき者を識別できるコンタクティーを選び、メグマの力を与える超存在。
- メグマ - 宇宙線『メグマ波』、またはメグマを操る力・メグマによる効果などを総じて『メグマ』と呼称することもある。
- 誘流メグマ祈呪術 - 『オモイデ教』の選ばれた信者だけが会得できる。詳細は子記事を参照。
- ポセイドンの目覚め - 中間が行きつけの、アナクロなロックカフェ。
- 自分BOX - 中間が大学時代に結成したノイズバンド。(子記事の新規投稿求む)
- 国紅宙会 - 撮列重蔵がメグマを独占するために設立した対極左テロ組織。
- 桜の光 - 新興宗教団体を隠れ蓑にした国紅宙会の特務部隊。メグマ術師を発見・養成する秘密結社。
- A教 - 大信宝連護来地を崇拝する巨大な教団。メグマの素質を持つものが1人いたため、『桜の光』によって壊滅させられる。
備考
関連タグ
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