※ その他のアルフについてはこちらの記事を参照。
概要
26歳の流浪の奇術師(マジシャン)。この世に隠された神秘を求めて各地を旅をしている。
マスクで顔を隠しており、素性を知るものも誰もいない。
黒の魔術に長けており、物理攻撃力より魔力が高め。杖を消したり出現させたり、分身させた杖を剣に変化させて切り付けるなど、奇術(マジック)を生かした攻撃を行う。
自身の杖を常に空中に浮かせており、ダッシュ時は自身も空中を滑るようにして華麗に移動する。スネフからは「マヂックギルドのホープ」と呼ばれていた。
レベルスター取得で増えるエレメントグリッドは、低位レベルの枠が少ないまま高位レベルの枠ばかりが増えていくという、他のキャラクターと全く逆な配置になっている。
物語序盤に酒場にいる。話しかけると、テルミナの占い屋の婆さんと「賭け」をしている事を話してくれる。「難攻不落の蛇骨館にあるお宝を1週間以内に盗み出すことは可能かどうか」という内容であるが、彼は「どんなマジックにもタネがあるように、完璧な城などこの世に存在しない」と豪語、蛇骨館には岸壁から侵入可能であることを見抜いており、自身が蛇骨館に潜入することで自分の説と腕を証明してやろうと考えていた。そんな時、同じく蛇骨館に入る方法を探していたセルジュとキッドと知り合ったことで、仲間となる。
「龍騎士の誇り」というアクセサリーが回収できた場合は賭けは勝ちとなり、占いババから武器が貰える。しかし、「龍騎士の誇り」を取り逃したまま蛇骨館をクリアした場合や、占いババへの報告をしないままストーリーを進めてしまった場合は期限切れでアルフの負けとなる。負けた場合は占いババに仮面の中身(素顔)を見せるイベントになる。(この時に寿命が縮むほど驚かれるため、有名な人物であると推測できる)
なお、蛇骨館潜入時の協力者はアルフの他に、蛇骨館で兵士として雇ってもらうために道場破りを考えている自称勇者ピエール、蛇骨館にいる妹に会うためにこっそり侵入を試みる音楽家スラッシュがいる。3人とも侵入ルートが違う上、いずれか一人しか選択できない。選ばれなかったキャラは旅立ってしまい二度と会えなくなるので、3人とも仲間にしたい場合は周回プレイが必要。
※ 以下ネタバレ注意 ※
正体
作中で明かされる事はないが、彼の正体は前作『クロノトリガー』に登場した魔王ことジャキが、全ての記憶を失った姿(もしくは、全てを捨て去った後に別の存在として転生した姿)であると推測されている。
『クロノクロス』物語序盤で素顔を見せた時の占い婆の反応や、凍てついた炎を前にした時の本人の反応など、いくつか抽象的ではあるが魔王を示唆させる点が数多く存在する。外見も『ラジカルドリーマーズ』でセルジュとキッドのパートナーだった仮面の魔導師「ギル」によく似ており、同作のメインシナリオでギルの正体が魔王だった(ただしギルは魔王の記憶を持つ上、年齢も30歳とアルフより上)ことから、アルフも魔王なのではないかと思われていた。ゲーム内のパーティーリストの並び順でも、アルフはセルジュとキッドに次ぐ3番目に位置している。アルフの移動モーションが魔王と同じ恰好であり、顔立ちや髪質も魔王(というより、少年時代のジャキをそのまま大人にしたような姿)に酷似している。
だがその魔王を思わせる数々の事柄に反して、実際のゲーム内でのアルフの扱いはメインストーリーに深く絡むことはなく、戦闘要員としてPTに加えられる単なる仲間の一人で、選択肢によっては一度も登場すらしないことがある。パーティに入れておくと一部のシーンで特殊会話が発生する場面があるが、魔王であれば反応するであろう事柄(サラ関係のイベント)に対して全く無反応で、シナリオにほとんど絡んでこない。前作の魔王との共通点はいくつかあるものの、その予想に反して魔王らしくない素振りなため、発売当時は「他人の空似」「記憶を失っている」「正体を隠している」「魔王から分かれて生まれた分身」「前作と似たキャラが登場する類のファンサービス」など様々な憶測が飛び出した。
その後発売された攻略本『アルティマニア』の解説によれば、これらの思わせぶりな設定は本編の登場キャラクターの肥大化と開発期間の短縮化などの事情に伴い、各キャラクターを掘り下げたイベントがバッサリカットされた名残である模様。(ちなみに個別のイベントがカットされたキャラは他にも大勢おり、顔グラはあるのにイベントが無い村人(ウーナやリサ等)はその名残)。上記の事情から、アルフの正体については開発関係者から未だに明言されず、ボカされることになった。
- 参考:魔王関連のインタビュー引用(『アルティマニア』p.481より)
Q | ルッカの手紙でジャキの存在が示されていますが、『クロス』にジャキ(『トリガー』の魔王)は登場しているんですか? |
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A | もともと、サラとジャキのその後の話をキッチリ描きたかったんですが、キャラクターが40数人になった段階であきらめました。サラとキッドとジャキの密接なつながりを描くには、キャラクターの数をしぼらなければ無理だろうと思ったんです。あのルッカの手紙は、開発初期のころ、ジャキがいるという設定のもとに書いたものなんですね。ルッカは魔王がサラを捜しているというのは知ってるわけだし、べつにそこにいると断言してしまっているわけでもないので、あえてそのまま残しました。 |
また、上記の他に『ラジカル』のギルについて「その正体は『クロノ・トリガー』に登場する魔王ジャキ」「残念ながら『クロノ・クロス』には登場しない彼(ギル)だが、その面影はどこかに……。」という文章も存在したり(『アルティマニア』p.465)、設定資料集ではアルフの初期稿のひとつに「魔王のなれの果て」といったメモ書きがあるなど(『公式設定資料集』p.114)、アルフと魔王の繋がりがありそうな要素は存在するものの、きちんと明言されている訳ではない。
なお、これらインタビューでの記載がやや曖昧だった事から、「『クロス』に魔王は出ていない」=「アルフ≠魔王」説が一旦有力となるも、徐々に「アルフのイベントが没になっただけで正体は未確定」という認識がファンの間で徐々に広まっていった。これによってさらなる議論が巻き起こり、二次創作やファン小説などで盛り上がりを見せた。
それから9年後に発売されたニンテンドーDS版『クロノトリガー』では、サラの魂を取り込んだラヴォスを取り逃がしてしまうという内容のエンディングが、複数あるバッドエンディング枠の1つに新たに追加され、ED後に魔王が姉のサラを救えなかった絶望から自らの記憶と存在を投げ出し、それによって生まれるかもしれない自分の代わりの誰かに希望を託しながら闇に消え去る。その後、過去の記憶を失って森を彷徨う魔王らしき人物の描写がある。こちらもはっきりとは明言されてはいないものの、後のアルフと同一人物であると思わせるような描写になっており、魔王が希望を託した自分の代わり(アルフと主人公一行)が最終的にサラを救い出すことになる。現在では「アルフ=(記憶を失った)魔王」説がやや有力となっている。