剣崎梨々花
けんざきりりか
プロフィール
概要
北宇治高校の女子生徒で、主人公の黄前久美子のひとつ下の代にあたる新1年生。吹奏楽部に所属し、ダブルリードパートでオーボエを担当している。
誰とでも仲良くなれる明るい性格の持ち主で、同じ1年生の部員はもとより傘木希美や中川夏紀といった3年生の先輩に対しても、自ら話しかけようとする積極性を見せている。
吹奏楽部に入部した当初は、他者に興味を示そうとしないパートリーダーの鎧塚みぞれに対して、その素っ気ない振舞いから距離感を感じていた。しかし、みぞれのことをよく知る先輩たちからの助言や持ち前の行動力を活かした話しかけを繰り返すことにより、次第に心を開いていく彼女と打ち解けることに成功している。
人物
容姿
緩やかに螺旋を描く髪を胸元まで伸ばしつつ、前髪を無造作に後ろでまとめ上げている。また、そのブラウンに近い色味の髪は生まれつき備わったものである。(第二楽章前編、146ページ)
目や鼻、口元などのそれぞれのパーツは際立って整ってはいないものの、全体的な配置の絶妙なバランスによって、一見した際の美しい印象を仕立て上げている。(第二楽章前編、146ページ)
運動も器用にこなすことができる彼女は健康的な体躯の持ち主でもあり、とりわけ胸元からくびれにかけての輪郭線は、2年生の先輩である久美子も思わずうなり声を上げるほどのものを持っていることを示している。(第二楽章後編、123~124ページ、129ページ)
性格
他者と接することに物怖じしない明るい性格をしており、持ち前の無邪気でマイペースな振舞いのもとに、同級生から先輩まで幅広い交流を見せている。(第二楽章前編、274ページ)
見る人から見れば「肝の据わり方が違う」と捉えられるような大胆で無茶苦茶な行動をとることも少なくない彼女であるが、その行動のひとつひとつは自らの愛嬌と魅力に対する自信と相手の懐に潜り込むまでの距離感の計測に基づくものであり、ただ純真なだけではない、したたかで小利口な一面を秘めている。(短編集2巻、72ページ)
しかし、そのしたたかさによって他者をあざけるような言動や行動をとることはなく、同級生の久石奏のような計算高いタイプからみぞれのような内向的なタイプまで、様々な性格の部員たちと好意的に接している。
その他
- 愛称は「リリリン」(第二楽章前編、146ページ)。なお、映画『リズと青い鳥』では名前である「梨々花」で通している。
- 両親は飲食業で働いており(短編集2巻、69ページ)、その影響からか梨々花自身もそれなり以上の料理の腕を身につけている。部活が休みの日には、たびたび奏と2人で「上質な趣味」と称してお菓子作りに励み、ウフ・ア・ラ・ネージュやトロペジエンヌといった様々なスイーツを作り上げている。(短編集2巻「上質な休日の過ごし方」)
- 夏の吹奏楽コンクールに向けたオーディションではオーボエ担当として臨んだものの、楽器編成の上限とパートリーダーであるみぞれとの実力差により、吹奏楽コンクールA編成のメンバーからは外れてしまっている。(第二楽章後編、39ページ、映画『リズと青い鳥』)
- 希美や夏紀といった先輩と会話した際には、話のついでにコンビニで購入した味付きのゆで卵を渡している。その際に「おいしいです」と言っていたことから、明確なシーンは無いものの梨々花自身も好物としてよく食べている可能性がある。(映画『リズと青い鳥』、劇中および来場者特典イラストカード)
主要キャラクターとの関係
鎧塚みぞれ
ダブルリード(オーボエ&ファゴット)パートのリーダーを務める3年生。オーボエ担当。
入部した当初は、練習熱心で演奏も上手なみぞれに憧れつつも、他者に興味を示さないみぞれの素っ気ない対応に気まずい思いを抱いていた。(第二楽章前編、148~149ページ)
みぞれのことをよく知る先輩(※原作小説では久美子、映画『リズと青い鳥』では希美)からのアドバイスを受けて積極的な働きかけを続けた結果、心を開いたみぞれとコミュニケーションをとることに成功している。(第二楽章前編、300ページ)
仲良くなって以降は、オーボエの練習につき合って貰うほか、リードの作成をお願いするなど、同じ楽器の先輩としてしばしば助力を受けている。
映画『リズと青い鳥』では、仲良くなる前までは「鎧塚先輩」と形式ばって呼んでいたが、ある時たまたま耳にしたフルートパートの談笑内容から着想を得て「みぞせんぱい」と呼び方を変え、その後も距離感の構築のためにこの呼称を使い続けている。
黄前久美子
低音パートに所属する2年生。ユーフォニアム担当。
新入部員の指導係として楽器経験者の1年生達の指導を行っており、その役職柄1年生部員からの相談事を受けることも多い。
梨々花もパートリーダーのみぞれとのつき合い方を久美子に相談しており(※なお、映画『リズと青い鳥』では希美に代わっている)、その際に貰ったアドバイスを実践して成功したことにより、久美子に対して信頼を寄せることとなる。
久石奏
低音パートに所属する1年生。ユーフォニアム担当。
梨々花とは同じクラスであり、互いに「めっちゃ仲のいいラブラブの関係」を自負している。(第二楽章前編、147ページ、298~299ページ)
よくレストランで一緒に外食をしたり、休日に2人でお菓子作りに励むなど、学生生活のオンオフを問わず気軽に遊び合う間柄として登場している(第二楽章前編、268ページ、339ページ)。また、彼女達が日頃交わしている会話はそのほとんどが冗談と本音の判別がつかないようなものであり、互いに本音を伏せ合いながら話それ自体のノリと勢いを楽しんでいる。(第二楽章前編、299ページ、第二楽章後編、71ページ)
梨々花は奏の折り目正しい振舞いの裏に隠された本性を見抜いているが(第二楽章前編、297ページ)、奏もまた、梨々花のしたたかで小利口な一面について「自分の活用方法を理解している人間は嫌いじゃない」と高く評価している。(短編集2巻、72ページ)