「私は眠りたくない。眠らせることはできない。」
概要
CV:ジョデル・フェルランド/清水理沙(吹き替え)
『パラノーマン ブライス・ホローの謎』の悪役。一人称は「私」。
三百年前のブライス・ホローで魔女裁判にかけられた人物。死後、魔術を使ったかどで自分を訴えた七人のピューリタンに「生ける死者(ゾンビ)としてこの世をさまよう」という呪いをかけた。プレンダーガスト一族が毎年「眠れる森の美女」を墓前で語ることによって封印されていたが、ノーマン・バブコックが儀式に間に合わなかったことで三百年の眠りから目覚めてしまい……。
魔女にまつわる伝説はブライス・ホローに今も伝わっており、町興しのネタになっている。小学校の劇では老婆として描かれているが、歴史に詳しい生徒はその描写について「実際の歴史と違う」と批判していた。そして、その指摘は大きな伏線となる……。
「魔女」の真実
長い眠りから覚めた魔女の幽霊は巨大な嵐となって、魔女をかたどった銅像や看板を手当たり次第に壊していった。ノーマンはその暴走を止めようと「眠れる森の美女」を語るが、魔女は眠りにつかず、しまいには本を雷で燃やしてしまう。それと同時に、ノーマンは本ごと雷に撃たれて気絶。それから目を覚ましてまもなく、当時の魔女裁判の様子を幻で見、真実を知ることになる。
ここから先は映画『パラノーマン ブライス・ホローの謎』の致命的なネタバレを含みます。
ネタバレOK、または視聴済みの方以外の閲覧は自己責任にてお願いします。
「昔々、あるところに、女の子がいました。女の子は、他の村人とは違うところがあったのです。その子には他のものが見えた。村人は理解できず、その子を恐れたのです。女の子はみんなを避けました。悲しいひとりぼっち。誰も頼る人がいません。でもその子が避ければ避けるほど、村人は怖くなって、ひどいことをしてしまった。恐怖のあまりその子を村から追い出し、殺したのです。しかし殺されたあとも魂は蘇って、三百年もの間どこにも行けず、そこに留まった。そして女の子の心は失われていきました。」
「魔女」の正体はアガサ・プレンダーガスト(愛称・アギー)。小学校の劇や町の銅像、店の看板等に描かれているような老婆などではなく、ノーマンと同じく死者を見ることができる少女だった。その性格も内気で繊細なものであり、「悪い魔女」のそれとはとても程遠い。
しかし、その能力を不気味に思った村人たちは、アギーが悪魔と契約して魔術を使っているのではないかと疑うようになる。やがて十一歳のアギーはホプキンス判事率いる七人のピューリタンに連れ去られ、魔女裁判に引き出されてしまう。有罪判決を受け、絞首刑を言い渡されたアギーは必死に無実を主張するも、誰も聞き入れず、「後悔するわよ! 今に見ているがいい!」と言い残し復讐を誓った。つまり、アギーが七人のピューリタンに呪いをかけたのは、自分の味わった苦しみを与えるためだったのである。
すべての真実を知ったノーマンは「今まで誰もやらなかったこと」をすると決意し、ひとりアギーのところへ向かう。ノーマンは「眠れる森の美女」の代わりにアギーの人生を語り(上記の台詞がその内容)、今のアギーはかつての七人のピューリタンと同じ「いじめっ子」になっていると指摘。いい人たちがいたことを思い出すよう必死に説得しながらアギーの手を掴み、そのままどこかへと引きずられていった。
手をつないだ先に
「アギー……。私、アギーって呼ばれてた。ここ……覚えてる。ママが連れてきてくれたの。木の下に座って、おとぎ話を聞いた。どのお話もハッピーエンド。だけど、あの怖い人たちが来て連れてかれて、ママとはもう会えなかった!」
「さっき話してた物語。最後はどうなるの?」
引きずられていった先には大きな木が立っていて、その近くでノーマンはアギーと手を繋いでいた。自分が誰かを思い出したアギーは自分の名前を口にし、母が木の下で物語を語ってくれたこと、判事たちに連れ去さられてから母と会えなかったことを話す。
ノーマンは「(アギーは)特別な力があるということをわかってほしかったのではないか」と言い、自分も同じような立場だったことを語る。「やり返したいと思ったことはないのか」と問いかけるアギーに、ノーマンは「やり返す意味はあるのか」と問いかけ、「いい人はいないと思っていた時期もあったけど、僕らを思ってくれる人は必ずどこかにいる」と話す。
母に会いたいことを思い出したアギーは木の下で眠りにつき、周りの景色や七人のピューリタンごと光となって消え去った。
関連タグ
パラノーマン ノーマン・バブコック(親戚) ホプキンス判事(告訴者の一人)
セイラム魔女裁判(映画に出てくる魔女裁判のもとになったと思われる事件)