概要
1772年にイギリスの化学者ジョゼフ・プリーストリーによって発見され、吸入すると酔ったような感覚に陥ることから、当初はパーティーグッズとして用いられていたが、1795年に同国の科学者ハンフリー・デービーがパーティーで使用していた者が、打撲を負っても痛がらない様子を目撃し麻酔として使用することを思いつき証明実験を成功させた。
使用者が笑ったような表情に弛緩することから、笑気（laughing gas）と呼ばれるようになったといわれる。
全身麻酔として用いられるが、100％の濃度で吸入させても完全に麻酔することはできず（窒息もしてしまう）、どちらかというと鎮痛効果を目的として使用される。
また恐怖感を薄れさせる効果もあることから、歯科麻酔としても用いられる。
手術で使用した際は、血液溶解度が高く体内に拡散しやすいので、使用中止した後は酸素を100％吸入させる必要がある。
しかし、術後に不快症状を引き起こすことと、温室効果ガスであることから使用頻度は減ってきている。
工業用としてはナイトロシステム（ニトロ）としてエンジンのブーストおよび、食材をムース状に加工する添加ガスとして用いられる。
上記のように欧米では古くからパーティーグッズとして用いられた歴史があり、フィクションでも使用する描写が数多く見られる。
多幸感を得られ陶酔状態になるが、吸入し続けないと効果が無くなるため、副作用はないといわれていたが、2011年頃からイギリスで「風船ガス」「シバガス」という名で脱法ドラッグとして乱用するものが増加し、意識不明になるだけではなく半身不随になる者や窒息死してしまう者もおり社会問題となった。
日本でも自転車パンク修理用という名目で取引され、乱用する者が現れたために、2016年に医薬品医療機器法に基づき指定薬物に指定され一般販売は禁止されている。
なおフィクションに登場するものは笑いガスという名で登場する場合があり、このガスとは異なる独自のものとして扱われることも多い。
