概要
1995年にモロッコで発掘され、「三角州の疾走者」と命名されたデルタドロメウスは、非常に珍しい獣脚類であった。全長8メートル程と考えられているが、後肢の骨は同じ体格のアロサウルスの半分ほどの太さしかなく、その太さと長さの比はオルニトミムスなどのダチョウ恐竜のものに似ており、前肢も獣脚類としてはほっそりとしていた。体重も1.050t程とされてある。
全長12.2mという推定も存在するが、これへの疑問もある。まるでアンフェコエリアスを思わせる論争であるだろうか。
歯も細くて鋭く、肉を切り裂くのに適していたことから、積極的なハンターだった可能性が高い。
かつてはコンプソグナトゥスのような原始的なコエルロサウルス類が大型化した種と考えられたが、後により原始的なアベリサウルス類のうち、マシアカサウルスなど小型の種が多いノアサウルス類の獣脚類だったとする説が提唱された。2016年現在では、それよりも進化した獣脚類のネオヴェナトル科に属するとする説が有力になっている。
また、エルンスト・シュトローマーが1934年に命名したエジプト産の「バハリアサウルス」はデルタドロメウスと同一種ではないかとする古生物学者もいる。