シグルド
しぐるど
曖昧さ回避
- 北欧神話に登場する、魔剣グラム(バルムンク)を手に邪竜ファフニール(ファフナー)を討った竜殺しの英雄。ドイツの英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』ではジークフリートと呼ばれる。本項で解説。
- SRPG『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』の登場人物。→シグルド(ファイアーエムブレム)
- 1を基にした、『Fateシリーズ』のサーヴァント。→シグルド(Fate)
- RPG『ゼノギアス』の登場人物。→シグルド・ハーコート
- RPG『幻想水滸伝4』の登場人物。
- 『仮面ライダー鎧武』の登場人物。→仮面ライダーシグルド
北欧神話のシグルド
シグルズとも。
父は戦士にして王シグムンド。
シグムンドは大神オーディンから授けられた剣を振るい、多くの武功を挙げた一方、この名剣を巡って嫉妬に駆られた隣国の王によって兄弟を全て失っている。
高齢になってからの戦争の際、再びオーディンが現れてグングニルで剣を折ってしまったために、戦死した。
死に際、妻に剣の破片を集めて新しい剣を作るよう頼み込んだ。
こうして出来上がったのが名剣として名高いグラムである。
上記の話はヴォルスンガ・サガでの話であり古エッダにおいてグラムは養父レギンの持ち物がファフニール退治を承諾した際に渡されたものである。
シグルドはデンマーク王に仕える刀鍛冶のレギンに預けられ、彼から王族としての養育を受けた。
そしてレギンからなぜ自身がデンマークに流れてきたか、自身の父と兄弟の間に何が起きたかを聞かせ、レギンの兄ファフニールが竜と化してまで財産を独占していることも話す。そしてレギンはシグルドに王族にとして相応しい財を手にいれろとファフニールの討伐を持ちかけられ、これを承諾。
レギンはシグルドのために剣を打ったがシグルドはこれを鉄床に打ちつけ剣が折れるとその出来に満足しなかった。レギンはまた剣を打つが一度目と同様の結果に終わる。
その後シグルドは母親から父の使っていた剣の破片を受け取りレギンに鍛えさせた。
そうして出来た剣はグラムと名付けられ鉄床を切り裂き、川の上流から流した羊毛を受け止めるだけで切り裂いたと言う。
グラムを手にして、まず父の仇である一族を残らず討ち取り、それから竜ファフニールを討った。
ファフニールは死に際にシグルドの質問に答え、黄金には死の呪いがかかっていると警告をしたがシグルドはそれを聞き入れなかった。
レギンが竜の心臓を食べたいというので焼いている途中、焼き加減を確かめるため指を押し付けると予想より熱く指を火傷したのでシグルドは咄嗟に指を舐めた。
すると指に付いた脂の力で、動物たちの言葉が理解できるようになった。
そして鳥たちの言葉により、レギンは金を分配する気はなくシグルドを殺して独占しようとしている事を知った。
先んじてレギンを殺したシグルドは、レギンが食べるはずの竜の心臓を食べて余人より遥かに賢くなったと言う。そして竜が持っていた財宝を愛馬グラニに乗せ、旅に出た。
その途上、シグルドは炎に囲われた館に立ち寄り、鎧を身に纏ったまま眠る娘を見つけ、器用に鎧だけを切り裂いて娘を起こした。
娘の正体はオーディンの命令に背いたために眠らされていた、ワルキューレの一員でありフン族の王ブズリの娘ブリュンヒルデだった。
二人は意気投合し、シグルドは財宝を分け、ブリュンヒルデは様々な知識や魔術を教え、二人は愛を誓いあった。
旅の途中、ヘイミルという領主のもとに滞在する。ヘイミルはブリュンヒルデの養父でブリュンヒルデの姉ベックヒルドを妻としている人物。シグルドは彼の館に滞在している途中、山を降り養父のもとに身を寄せていたブリュンヒルデと再開を果たし、ブリュンヒルデと改めて婚姻を誓い、その証としてファフニールの財の一つである腕輪を渡した。
ところが、やがて訪れた国、ブルグントの王妃グリームヒルドは、シグルドを王女のグズルーンと、ブリュンヒルデを王子のグンナルと結婚させようと目論見、シグルドに忘れ薬を飲ませ、ブリュンヒルデの事を忘れさせてしまった。
グンナルと義兄弟になったシグルドは、ブリュンヒルデと結婚したい彼のために、彼に変装してブリュンヒルデとの結婚の約束を取り付けてしまう。
自分が騙されて結婚させられた事を知ったブリュンヒルデは怒り、自分か、シグルドか、グンナルのいずれかが死ななければならないと宣言し、部屋に閉じこもった。
ブリュンヒルデと別れることを恐れたグンナルは、末弟グットルムにシグルドを暗殺させた。
こうして、稀代の英雄は悲劇的な最期を迎えたが、シグルドの残した財宝と禍根は、彼の死後も悲劇を起こし続けることになる…。