ルーシー・モード・モンゴメリによる児童文学小説あるいは青春小説。
概説
空想にたくましい少女アン・シャーリーを主役として、彼女の成長と人生を描いた一連の物語。
ただし厳密に『赤毛のアン』を用いた場合には「アン・ブックス」(あるいはアン・シリーズ)と呼ばれるシリーズの第1作を指す。アン・ブックス全体ではアンが成長して結婚し、子どもに恵まれて孫が成長するまでのアンを主軸とした「ブライス家(アンの嫁ぎ先)」の物語が描かれている。
アン・ブックスとしては本編全9巻に外伝2巻を加えた11巻で構成されるが、外伝のうち最後に出された巻は出版社が作者に無断でボツ原稿をかき集め改変して出したものであるため、モンゴメリ自身は、この巻を否定している。
日本では1952年に村岡花子の手によって翻訳され普及して以降、幾多の文学者や翻訳家により、様々な出版社からダイジェスト版から完全版まで数多くの種類の訳本が出ている。
1979年には世界名作劇場で同名のアニメが放送された。なお、アニメの底本になったのは村岡版ではなく1973年に再翻訳された神山妙子(かみやま たえこ)の手によるもの(旺文社・新学社版、現在紙書籍では絶版)である。アニメでのキャラクターのセリフ回しの多くも、この訳本をそのまま踏襲したもの。内容はタイトルの通りアン・ブックスの第1作でとどまっているが、その一方で話数に対して原作がわずかに不足した事から、モンゴメリの別作品(『エミリー』シリーズ)からエピソードを拝借した回が少しだけある。
物語
カナダはプリンス・エドワード島のアヴォンリーに、マシューとマリラというカスバート家の年老いた兄妹がいた。先祖代々、緑の切妻屋根の家(グリーン・ゲイブルズ)に住む二人は畑仕事を手伝わせるために男の子を引き取りたいと孤児院に申し出る。
しかし駅でマシューを待っていたのは、空想好きで風変わりな赤毛の女の子、アン・シャーリーだった。手違いでやってきたアンを追い返そうと考えたマリラだったが、マシューはそれも縁と考えて彼女を引き取ってもよいとする。しかしそうなれば元々考えていた働き手が得られないと考えるマリラは半ば強引にアンを孤児院に戻そうとする。だが大袈裟に悲しむアンの姿や、手を挙げた別の引き取り手の劣悪な環境を知り、マリラはアンへの情が湧き孤児院に返す事を思い留まる。かくしてカスバート家に引き取られたアンは「グリーン・ゲイブルズのアン・シャーリー」として、その多感な少女時代をアヴォンリーで過ごす事となった。
アヴォンリーでの生活でアンは学校に通い、様々な出会いを経験していく。特に腹心の友となっていくダイアナ・バリーや、意地悪で成績ではライバルとなるギルバート・ブライスとの一生を貫く縁と共に、アンは喜びも悲しみも綯交ぜとした自らの人生を駆け抜けていく。
おもな登場人物
関連イラスト
Pixivion
関連タグ
こんにちはアン…バッジ・ウィルソン原作のいわゆるエピソード1。またはそれを元に制作されたアニメ。
花子とアン…日本で初めて赤毛のアンを翻訳したとされる村岡花子の生涯を元に脚色された連続テレビ小説。