壊血病は継続的なビタミンCの欠乏によって起きる病気。
主な症状は、皮膚や粘膜などの体の柔らかい部分からの出血、また傷の治癒の遅れ・免疫力低下。
治療法は、症状が消えるまでビタミンCの錠剤を飲み、栄養の豊富な食事を摂ること。
食材の中のビタミンCは酸素との接触や加熱によって壊れていく。新鮮な食べ物を長期間食べないことでおきる病気である。ただし、加熱しても野菜や果物には多少のビタミンCが含まれており、飢饉などで食料そのものが足りない場合は、壊血病発症の前にカロリー不足(いわゆる栄養失調)により死ぬ。
つまり、ビタミンCを含まないものだけを長期間食べ続ける状況で壊血病は発生する。これが問題になったのが、航海技術が発達し、頻繁に大西洋を横断するようになる大航海時代である。当時の保存食は干物や塩漬けで、これらにはビタミンCが含まれていなかった。
17世紀初めには経験的に柑橘類が効くという説があったが、あくまで噂レベルで、18世紀末に英国海軍が予防のためにレモン・ライムやその果汁を兵たちに支給するようになるまで壊血病は猛威をふるった。それでも壊血病患者は散発し、完全に克服するのは、ビタミンCを人工合成できるようになった1933年のことである。
なお、イギリス人を指すアメリカのスラング「ライム野郎 (limey) 」は19世紀のイギリス海兵が壊血病予防のためにライムジュースをよく飲んでいたことに由来する。