大艦巨砲主義(たいかんきょほうしゅぎ)とは、大きいことは正義ということである。
概要
大砲の技術発展に伴い、威力が増してくると、戦艦に多数の艦砲を並べることがむしろ弱点を晒すことになるため、その数を減らし、一門あたりの威力をあげることが重視されるようになる。
一方で敵艦砲の攻撃に耐えるため、艦船全体に装甲を施すようになる。装甲艦の始まりである。
さらに軍艦の役割分岐が進んでゆき、大型の戦艦と小型の巡洋艦に分岐していく。
その内の大型戦艦に用いられた設計思想がこれである。
技術が発展し、大砲の威力と大きさがほぼ比例するようになった事もこれを推し進める結果となった。
ここから転じて特定の方向性に一点特化(そしてそれ自体によってしばしば機能不全に陥る)することを比喩もしくは揶揄する意味でも使われる。
現実では第二次世界大戦で航空機とそれを搭載した空母の方がより重要という事実が判明し、実戦でその戦力の高さを示し、機動性・汎用性・コストパフォーマンスの面で劣る戦艦が重視されなくなった結果、現在は「戦艦」というジャンルごと廃れてしまっている。
(一応、ロシアのキーロフ級ミサイル巡洋艦は「巡洋戦艦」と呼ばれることもあるが、厳密には装甲を備えた大型のミサイル艦である)
...と思いきや、大艦巨砲主義が現代によみがえる可能性が出てきた。
その理由は「レールガン」である。
レールガンとは「電磁気力で弾丸を射出する」砲熕兵器であり、弾速は既存の火器を遥かに上回る。 アメリカ軍が開発中のものでは試験射撃でマッハ6を記録したとされ、2016年に試験運用が開始されるところまでこぎつけた。
何故これが大艦巨砲主義の復活に関わるかというと、前述の通りレールガンは弾速が桁外れな程高速である。 つまり「高速で動く目標にも対応しやすい」ため、「砲熕兵器でありながら対艦ミサイル等を迎撃できる」可能性が高いのだ。
さらにさらに高弾速のため射程はそこらの大砲より長い(というかミサイル並み)上、命中した際に相手に与えるダメージも大きいとされる。
つまり実用化すれば、「砲熕兵器であるレールガンが対艦戦闘の主役になる」可能性があるのだ。 大艦巨砲主義の部分的な復活と言えるだろう。
とはいえ現代では艦隊戦自体が完全な時代錯誤の代物であるため意味はないが。
しかしこうなるとイージス艦のやられる前にやるから装甲は薄くても良いという前提が覆される可能性もないわけではなく、砲弾に砲弾を当てて迎撃できれば問題はないのだがレールガンほどの高速飛翔体ともなるとどうなるか分からない。レールガンが実用化するかどうかはともかく、タンカーとの衝突も増えてきた昨今、多少なりとも被弾を考えた装甲が必要になっている…のかもしれない。
pixivでは
上記の意味通り、戦艦のイラストに使われる以外に、どことは言わないが
「大きければ大きいほど良い」というようなイラストに使われることがある。
特に「艦隊これくしょん」のブレイク以降、派生タグ「大艦巨乳主義」の使用頻度が増加している。
ちなみに艦隊これくしょん関連のイラストに大艦巨乳主義ではなく当タグが付けられる場合、戦艦娘を主とした砲撃艦の艤装が印象的なイラストである場合が多いようだ。