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キーロフ級ミサイル巡洋艦

きーろふきゅうみさいるじゅんようかん

キーロフ級ミサイル巡洋艦は、ソ連海軍・ロシア海軍が所有しているミサイル巡洋艦の艦級。
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概要

キーロフ級ミサイル巡洋艦はソ連海軍・ロシア海軍のミサイル巡洋艦の艦級。
正式名称は「1144号計画型重原子力ミサイル巡洋艦」。計画名は「オルラン」であった。2番艦以降は改良が施されており、「11442号計画型」となる。
ソ連崩壊後、1番艦『キーロフ』が『アドミラル・ウシャコフ』に改名されたため『アドミラル・ウシャコフ級巡洋戦艦』となったが、これはあまり定着せず、現在も『キーロフ級』という方が通りが良い。
空母を除く水上戦闘艦としては、第二次世界大戦後世界最大の軍艦であり、強力な対水上打撃力・防空力を備えている。ジェーン海軍年鑑では「巡洋戦艦」に分類しているが、戦艦と違い砲火力をメインとする軍艦ではない。

解説

船体

設計にあたっては、ステルス性に配慮してレーダー反射断面積(RCS)の低減が図られ、ステルス艦の嚆矢とされる。ミサイル発射筒はVLS(垂直発射機)化によって甲板下に格納され、上部構造物も垂直面をほとんど作らないよう各所に傾斜がつけられている。「キーロフ」がデンマーク海峡を通過する際、NATO軍のレーダーには「2,000t程度の小型フリゲート」にしか映らなかったとも言われている。

装甲

第二次大戦後に建造された艦としては珍しく、キーロフ級はバイタルパートを中心に50~100mmの装甲が施されている。既に装甲防御に関するノウハウが失われていたため、スタッフは第二次大戦時の戦艦の設計を引っ張り出す羽目になったという

動力

主動力として砕氷船用の原子炉をベースに開発した第3世代加圧水型原子炉、KN-3型を採用。炉の寿命は10年強と見積もられていたが、実際の運用では停泊中も原子炉を稼働せざるを得ず、寿命はより短かくなった。
核動力艦としては不自然に巨大な煙突を持つが、重油焚きボイラーによる予備動力が確保されているためである。予備動力は西側の核動力艦でも用意されているが、キーロフ級には予備動力だけで10ノット以上の速力が求められたため、大きなボイラーと煙突が必要となった。

武装

艦対艦ミサイル
本級の主武装は、P-700「グラニート」艦対艦ミサイル・システム(NATOコードネーム「シップレック」)である。
発射重量7トンと巨大なミサイルで最大700kmの長射程を誇る。オスカー級原潜のために開発されたもので、VLSも流用している。発射時にVLSに海水を注水する必要があり、戦闘機動中、致命的な速力低下を招く恐れもある。
なお、水上戦闘艦でVLSを本格的に装備した戦闘艦は、(東西通じて)本級が初めてである。
ミサイルの大射程を生かすため、「コレル」型データ・リンクを含む17K114「レゲンダ」型衛星照準・通信システムに連接されている。これは宇宙ISRシステムを含む非常に精巧な戦術レベルC4ISRシステムだが、偵察衛星の生残性や衛星データ・リンクの抗堪性には疑義も挟まれている。

P-700はアメリカ海軍空母機動部隊に長射程対艦ミサイルの飽和攻撃で対抗する」というソ連海軍ドクトリンの最終的な到達点だったが、余りの大きさに運用した艦がキーロフ級を除くとアドミラル・クズネツォフと先述したオスカー級原潜だけとなってしまい、更には複雑な誘導システムも相まって運用コストは著しく高額なものになってしまった。後継のP-800「オーニクス」は射程をP-700の約6割程度に抑えるなどして、より運用しやすいミサイルとなっている。

防空システム
艦隊防空ミサイルシステムとしては、先行して計画されたスラヴァ級ミサイル巡洋艦と同じS-300F「フォールト」(NATO名: SA-N-6「グランブル」)が採用された。ただし、キーロフ級ではVLSは12基、ミサイル射撃指揮装置は2基に増強されている。防空ミサイルは順次更新されており、1・2番艦は5V55RM型ミサイル、3番艦は48N6E型ミサイル、4番艦は48N6E2型ミサイルが用いられている。
特に4番艦のシステムは全体に強化され、S-300FM「フォールト-M」(NATOコードネーム「ガーゴイル」)と称される。
これを補完する短・近距離用防空システムとしては、新型の3K95「キンジャール」個艦防空ミサイルシステムと、これまた新型の「コールチク」機関砲・ミサイル複合型CIWSが予定されていたが、いずれも開発が遅延していたことから、1・2番艦では従来の4K33「オサーM」個艦防空ミサイルシステムおよびAK-630M艦載機関砲システムが搭載された。3番艦では個艦防空ミサイルシステムはオサーMの改良型である4K33M「オサーMA」、近接防御システムは当初予定の「コールチク」となり、4番艦ではとうとう個艦防空ミサイルシステムも当初の3K95「キンジャール」の搭載にこぎつけている。

両用砲・魚雷兵装
砲は、1番艦のみAK-100・100mm単装両用砲2基、2番艦以降はAK-130・130mm連装両用砲1基を、いずれも後甲板に装備している。
雷装は5連装533mm魚雷発射管を、片舷に1基ずつ、計2基。2番艦以降は魚雷のほか、RPK-6対潜ミサイルシステムの発射機も兼ねている。

艦載機
本級では、カモフKa-25RTs誘導ヘリコプター×1機、カモフKa-27PL哨戒ヘリコプター×2機を収容できる。艦尾のヘリコプター甲板直下にハンガーが設けられ、エレベーターが設置されている。

レーダー
長距離捜索用の3次元レーダーにMR-600「ヴォスホード」(NATOコードネーム「トップ・セイル」)、副レーダーとしてMR-710M「フレガート-M」(NATOコードネーム「プレート・スティア」)を採用。4番艦以降の副レーダーはMR-750「フレガート-MA」(NATOコードネーム「トップ・プレート」)に更新されている。

対潜兵装
ヘリコプターのほか、MG-355“ポリノム”統合式ソナーシステムを搭載し、艦首のパッシブ式バウソナー(NATOコードネーム「ホース・ジョー」)と艦尾の可変深度ソナー(NATOコードネーム「ホース・テール」)を装備している。
対潜攻撃用としては、1、2番艦がRBU-6000、3、4番艦がRBU-12000対潜ロケット2基、全艦がRBU-1000対潜ロケット2基を装備。
1番艦はRPK-3“メテオール”連装発射機1基を装備。2番艦以降は533mm魚雷発射管がRPK-6“ヴォトパード”対潜ミサイルシステムの発射機も兼ねている。

このように、対艦、対潜、対空のバランスの取れた武装を搭載したシステム艦であり、VLSやステルス性など、西側をリードした「ブレイクスルー」も盛り込まれていた。

同型艦
キーロフ/アドミラル・ウシャコフ:1番艦
フルンゼ/アドミラル・ラーザリェフ:2番艦
カリーニン/アドミラル・ナヒーモフ:3番艦
ユーリ・アンドロポフ/ピョートル・ヴェリーキィ:4番艦
アドミラル・クズネツォフ:5番艦 建造中止(同名の空母とは別)

現状

ソ連崩壊(1991年)後は深刻な財政難もあり、艦隊に在籍こそしていたものの実質的な予備役入り(廃艦寸前)となる。建造中だった2隻のうち、4番艦「ピョートル・ヴェリーキィ」のみ1998年に完成したが、2004年に海軍総司令官が「いつ核爆発してもおかしくない」と口走って騒動となった(これは政争がらみで流されたデマであり、件の海軍総司令官はその後解任された)。
その後も北方艦隊旗艦となり比較的頻繁に行動するピョートル・ヴェリーキィ以外は保管状態が続いたが、ついに2014年に1番艦「アドミラル・ウシャコフ(旧・カリーニン)」の解体が決定され、続いて2番艦「アドミラル・ラーザリェフ(旧・フルンゼ)」も2021年に解体が決定した。

このように「冷戦の遺物」として一部を除き朽ち果てるかに見えたキーロフ級だが、プーチン政権誕生後は徐々に活気を取り戻していく。海外拠点の乏しいロシア海軍にとって、無限の航続力を持ち、単艦で突出できるキーロフ級は「使い勝手の良い艦」として株を上げ、ついに機関や砲・ミサイルシステムの換装を主軸とする大規模な近代化改修が決定、手始めに保管状態にあった3番艦「アドミラル・ナヒーモフ(旧・カリーニン)」の復帰に向けた近代化改修工事が始まった。また、ピョートル・ヴェリーキィもアドミラル・ナヒーモフの引き渡し後に同様の工事を受けることが予定されている。
現在計画中の大型駆逐艦「リデル」級や、空母なども核動力化がほぼ決定しており、これらの新世代艦とともに、キーロフ級もロシア海軍の主戦力として活動するものと考えられる。

なのだが、肝心のアドミラル・ナヒーモフの工事は現在遅れに遅れている。
当初は2018年までの完了が予定されていたが、その後2020年末、2021年末と延期が繰り返された。
現在は2022年末に工事を完了、2023年に海上試験開始となっている。

関連タグ

巡洋艦 護衛艦 ミサイル巡洋艦 ロシア海軍 ソビエツキー・ソユーズ級戦艦(装甲など設計図を参考にした)
アイオワ級戦艦 80年代に現役復帰したのはキーロフの就役が影響していると言われる

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