ソビエト連邦で計画されていた「23号計画戦列艦」のこと。独ソ開戦で未成艦となった。
概要
ロシア革命後の混乱により海軍力の強化が立ち後れたソ連であったが、1930年代に入り、第一次大戦時代の旧式艦しかなかった戦艦を新戦艦(戦列艦)に更新することを含めた海軍軍拡23号計画を策定した。
1936年の艦隊整備計画では8隻の建造が予定された。
アンサルド社(イタリア)から設計案の提示があったが、長年のブランクから国内建造は困難と見て、ギブス&コックス社(アメリカ)に62,000t級/45.7cm砲搭載の戦艦の建造発注を打診した。しかし、支払いが滞ったため交渉は失敗に終わった。計画段階でギブス&コックス社から航空戦艦案も提出されたが、採用されなかった。
スターリンの大粛清の影響で設計の完成は1937年10月となり、60,000t級/40.6cm砲搭載とされた。
1938年の第三次五カ年計画の中で6隻の建造が承認されたが、実際に起工されたのは4隻であった。
長船首楼船体、二重式測距儀といった上部構造物、プリエーゼ式水中防御隔壁の採用等、全体的にイタリア風。420~375mmの装甲で水線長の57%を防御、B-37型40.6cm砲をはじめ強力な兵装が計画され、艦隊防空用の副砲を複数搭載、機関はBBC社(スイス)製の蒸気タービンで発電機を回しスクリューに繋がったモーターを動かすターボ・エレクトリック方式となる予定だった。
性能諸元(計画値)
基準排水量 | 59,150t |
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全長 | 271.5m |
全幅 | 38.92m |
吃水 | 10.24m |
機関 | 重油専焼高圧型水管ボイラー12基+BBC式蒸気タービン発電機&モーター3基3軸 |
最大出力 | 210,000HP |
最大速力 | 28ノット |
航続距離 | 5,950海里(14.5ノット) |
武装 | B-37型50口径40.6cm三連装砲塔×3基、57口径15.2cm連装速射砲塔×6基、56口径10cm連装高角砲塔×6基、68口径37ミリ4連装高角機関砲×8基 |
乗員 | 1,924名 |
1938年7月15日に1番艦「ソビエツキー・ソユーズ」、11月28日に2番艦「ソビエカヤ・ウクライナ」、1939年12月21日に3番艦「ソビエツカヤ・ベラルーシア」、1940年3月21日に4番艦「ソビエツカヤ・ロシア」が起工された。
しかし、3、4番艦は1940年10月19日に、1、2番艦は1941年7月10日に工事中止され、いずれも1949年までにスクラップにされ、竣工することはなかった。
同型艦
1番艦:ソビエツキー・ソユーズ(ソビエト社会主義共和国連邦)
2番艦:ソビエツカヤ・ウクライナ(ウクライナ・ソビエト社会主義共和国)
3番艦:ソビエツカヤ・ベラルーシア(白ロシア・ソビエト社会主義共和国)
4番艦:ソビエツカヤ・ロシア(ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国)
※いずれもソビエト連邦および主要な構成国を艦名とする。
次級:24号計画戦列艦