概要
三重県の熊野市山中や和歌山県の果無山に出現したとされる人間に近付いてその肉を吸い取ってしまう恐ろしい妖怪。
その正体は背丈が二畳(約3.6㎡)程ある骨と皮だけの肉が全くない化け物で、夜遅くに提灯をともして山道を歩いている人間に齢の頃18、19の美しい美女の姿に化けて近付き、「火を貸してくれませんか?」と語り掛けて提灯を取り上げて火を消し去り、周りが全く見えない暗闇の中で相手に食らい付き、その肉を吸い取って食い殺してしまうとされる。
その為、熊野市の人々は火の気無しに夜道を歩くことはなるべく避け、どうしても夜道を行く際には提灯と、万が一提灯を奪われてしまった時に備えて火種を用意してから夜道へと出歩き、肉吸いに提灯を奪われた時には火種を振り回して肉吸いに打ち付けてその難を逃れるようにしていたという。
また、十津川付近では源蔵という猟師が果無山に猟へ出かけた際に何故か狼がやって来てきそれ以上先へ進めさせまいと袖に噛みついて来た。するとそこへ18、19歳ほどの女性が「ホーホー」と笑いながらやって来て火を貸すように頼んできた。
源蔵は怪しみ、何時も護身用で持ち歩いていた「南無阿弥陀仏」と彫られ散る銃弾を準備していると何事もなく女は立ち去っていったが、その後背が2畳ほどもある化け物の姿で現れた為、先ほど準備していた銃弾で仕留め難を逃れたという話が伝わっている。