作品解説
あらすじ
大学で経済学を学ぶ南由夏は、妹の小夢から「死幣」にまつわる怪談を聞かされる。「死幣」はお金を欲する人の元に突然届く一万円札の束であり、使ってしまった人は凄惨な死を迎えるという。
ある日、由夏は財津ゼミの同級生である親友、郁美の怪死体を発見してしまう。彼女の部屋には一万円札が散乱していた。お札に描かれた福沢諭吉の両目は、どれも黒いシミで染まっていた…
「死幣」の呪いによって次々と命を落としていくゼミ仲間。由夏は若本刑事と共に、呪いを止めるべく奔走する。
登場人物
ネタバレあり
南 由夏(みなみ ゆか)
七咲学院大学経済学部1年生。突然頭の中に相手の死のイメージが浮かぶ予知能力を持っている。自分でコントロールする事が出来ない予知能力が故に「予知しても何も出来ない自分」に強いコンプレックスを持っている。そんな自分から脱却する事を目的に、自分の能力を理解してくれた若本と共に死幣事件の解決に向けて動き出す。
だが、上記の通りに予知能力がコントロール出来ない上に特筆した能力の無い平凡な女性である。その上、人生経験の少なさから様々な事情から金銭を求めるゼミ生達に正論しか言えず説得が出来ない(ていうか相手の事情を理解しようとする姿勢すらない)。特に作中で最も不遇な一恵に対してそれが顕著に現れている。結局、ゼミの仲間を助ける事も出来ず、死弊の誘惑にも勝てなかった。
若本 猛(わかもと たけし)
藤谷警察署の警部補。38歳。郁美の死亡現場を担当したことから第一発見者となった由夏に疑いの目を向けるが、由夏の予知により自らの危機を救われた事と彼女から予知能力を打ち明けられた事で和解して一緒に事件解決に奔走する。
南 小夢(みなみ こゆめ)
由夏の妹。高校1年生。怪談が好きで、由夏に「死幣」にまつわる話をする。楽観的だが、姉よりも聡明で芯の強い性格の持ち主。作中後半で難病に罹ってしまう。
財津 太一郎(ざいつ たいちろう)
七咲学院大学国際経済学の教授。50歳。本作の事件の元凶。
三浦 智志(みうら さとし)
財津ゼミに所属する4年生。紳士的な好青年だが、由夏以外から「口だけ人間」扱いされている。
川辺 雄大(かわべ ゆうだい)
財津ゼミに所属する3年生。陸上部の槍投げ選手。
萩森 一恵(はぎもり かずえ)
財津ゼミに所属する1年生。由夏、郁美とは高校時代からの友人。本作で最も不遇な境遇の人物。
林 絵里菜(はやし えりな)
財津ゼミに所属する1年生。最も同情出来ない最期を遂げた人物。
灰谷 源(はいたに げん)
財津ゼミに所属する1年生。株取引などで資産運用も行っている投資家。傲慢な性格で、言動は他者を見下すものが多い。
高末 真理(たかすえ まり)
財津ゼミに所属する2年生。“自分が賢く強い人間”だと思い込み、冷淡な態度で達観した顔をしているが、実は考えが浅く幼稚な人物。由夏と温度差が存在するゼミ生達の中で明確に彼女を嫌っている。作中では上野と名乗っている。
橘 郁美(たちばな いくみ)
財津ゼミに所属する1年生。由夏、一恵とは高校時代からの友人。ゼミ合宿の際に焼け焦げた一万円札を拾っており、後に死幣事件最初の犠牲者となる。
関連タグ
バッドエンド…主人公は死弊にもコンプレックスである自分の能力にも勝てなかっ
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