概要
文字通り、煽り立てるような危険運転。
不必要なベタ付けをするなど車間距離をやたら詰めたり、車線変更を繰り返すなどして前方の車を追い立てる行為。
クラクションを鳴らしまくったり、場合によっては信号停車中に運転手が降りてきて窓を叩いて怒鳴るなどの事件も頻発している。
最悪の場合死亡事故につながったケースも複数あり、中でも2017年6月5日に東名高速道路で発生した「東名高速夫婦死亡事故」 においては、被害者一家のうちの父親にマナー違反の停車を注意されたことに逆ギレした運転手が煽り運転を繰り返して無理に高速上で被害者車を停車させ怒鳴り散らすなどしているうちに別の車が追突して被害者夫婦が死亡する痛ましい事件であった。
無論こうした行為は、だいたいの場合道路交通法の違反行為に該当して検挙対象になるほか、相手への危害の内容次第では脅迫罪や危険運転致死傷罪に該当することもある。
2018年7月2日に大阪府内で発生した、バイクへの煽り行為の挙句に轢き殺してしまった事件では殺人罪で起訴され一審で懲役16年が言い渡された。
もちろん他人に危害が及ぶ事例だけでなく、煽り運転をしている側が自爆事故を起こす危険性も大きい。
その場で事故を起こす者、あるいは無事に切り抜けてもSNSなどでおバカな自慢をして通報されるケースもある。
煽ってしまう心理
実は心理学的に、自動車は運転手の性格をより粗暴なものへと操作しかねないと言われている。
まず自動車は、日常生活で手に入る中では最強の馬力と防御力を誇る物体であり、これを意のままに操っている運転手自身までもが強くなったように錯覚してしまうというのが一つ。
外からは顔が見えにくいガラスに囲まれているために、あたかも自分が匿名の環境にいるかのように錯覚して開放的になりやすい、というのも一つ。
米国の研究によれば、煽り運転には年齢や道路環境などによる傾向はみられるものの、ドライバー個人の性格から危険行為に及びやすいか判断することはできないらしい。
つまり煽り運転は一部のDQNの特権ではなく、誰もが行ってしまいかねない突発性の疾患のようなものである。
運転時間、距離に注意し適度に休憩を取ってストレスを溜めないようにすること、また余裕を持って予定を組んで急いで運転する必要をなくすことなどが重要。
加えて男性諸兄は、異性を乗せている場合には特に用心する必要がある。
道路上は公共の場であり、警察も定期的に見回っている
下手をするとこうなる
煽り運転への対処
煽られる前に
煽り行為への牽制として車体後部に「ドライブレコーダー録画中」などのステッカーを貼っている人もおり、レコーダー未搭載でもとりあえず貼っておけばなかなか効果的という話。
各種動画サイトにも煽り運転が検挙された現場を録画した動画が多数アップされている。(ただし撮影した側の道路交通法等違反の逆検挙もなくもない。人のふり見てなんとやら)
本末転倒な話であるが、初心者マーク、高齢者マークと言った周囲への配慮を求める標識は、逆に煽り運転の標的として狙われやすくもなる。
他にも女性の運転手や軽自動車などは対象にされやすい。
該当する運転手は予防策を検討した方が良いだろう。
煽られてしまったら
まずは追い越し車線で停車する事態にならないよう、早急に一番左側の車線に移動し、また可能であれば路肩や待避所、自動車専用道であれば非常駐車帯に停車すること。
向こうが同様に停車して下りてくるならば警察に通報すること。
そして決してドアや窓を開けないこと。
上記にあるように煽り運転の加害者は車を降りればただの凡人である。警察へ連絡するそぶりが見られれば、ほとんどの場合は早々に立ち去るだろう。
なお証拠の確保を試みるのは推奨しない。
これを試みた場合は運転手に正義感が生じて興奮しやすくなり、無茶な行為をやりかねない。
まずは自分の身を守ることが最優先である。