概要
スローライフをコンセプトに、「くつろぎ」「ゆったり」「過ごしやすい」ことを念頭に開発された。デザインに重点を置かれていることは内装・外装ともに一目瞭然であり、当時のスズキ車の中では秀逸であったことは、若い女性の指名買いを多く誘ったことに表れている。
アルトを基本にスタイリング重視の車種として造られておりアルトシリーズと位置付けられているが、アルトの冠名を付けず単にラパンと呼ばれることが多い(リアウィンドウにやや小さめの「SUZUKI ALTO」のステッカーを装着する。初代はリアウィンドウの右下に装着し「ALTO」ロゴは5代目のもの、2代目はリアウィンドウの左下に移動し、「ALTO」ロゴは6代目のものになる)。
アルマイトの弁当箱をイメージした丸みのある外観や、インストルメントパネルのアナログ時計(初代モデルのタコメーター非装着グレードのみ)などレトロ感覚のデザインを売りにしていた。2代目以降はレトロ感覚を弱め、モダンな外見となった。若い女性をメインターゲットに据えることから、ボディーカラーも淡い色を中心に豊富にラインアップされており、それに合わせて内装色も設定される。
初代は男性向けを意識したグレード「SS」も用意しており、かわいらしいクルマに乗りたい男性にも一定の支持はあったが、2008年登場の2代目には設定されなかった。2016年デビューの3代目は「商品企画に女性だけが関わった」ことを売りにしており、女性向けに全振りしている。しかし、「男子禁制」の雰囲気を出しすぎたことが、かえってメインターゲットの女性に敬遠され3代目は売り上げを落としてしまった(デザイン重視のユーザーにはハスラーという別の選択肢が用意されたことも一因か)。
マツダにはスピアーノとしてOEM供給されていた。競合車種としてムーヴラテ・ミラココアがあった(ミラトコットは女性向けに特化していない)。
メカニズム
エンジンは水冷直列3気筒K6A型で、40kW(54馬力)のVVT付き自然吸気仕様、低回転域の扱いやすさを狙った44kW(60馬力)のインタークーラー付きMターボ仕様(初代の途中から採用、後に廃止)および47kW(64馬力)のインタークーラー付きターボ仕様の3種類が存在する。
トランスミッションは、コラムシフトの4速AT(ターボモデルのみロックアップ機構を備える)のほか、SSのみフロアシフトの5速MTが選択出来た。
2代目ではVVT付き自然吸気仕様(「G」と「X」に搭載)とインタークーラー付きターボ仕様(「T」に搭載)の2種類のエンジンが用意され、トランスミッションはインパネシフトのCVT(Jatco製)のほか、「G」と「X」には同じくインパネシフトの4速AT(スリップ制御付ロックアップ機構を備える)が選択できた。2010年5月の仕様変更でCVTのみとなり、同年8月の改良で日産自動車とジャトコが共同で開発した副変速機構付CVTとなった。