無支奇
むしきもしくはぶしき
中国神話に登場する猿のような姿の水怪。
概要
『太平広記』の「李湯」に記述される、夏朝の創始者である伝説的な帝禹の治水事業の障害となったという水の怪物。無支祁、巫支祁とも表記される。
猿猴のようで姿で色は頭が白、身体が青である。
首を100尺も伸ばし、象の大群よりも強い力を持つ。それでいて動きは非常に俊敏であったという。
何度も禹王の臣下たちによって討伐が試みられたがうまくいかず、最後は庚辰によって大索(大縄)と金鈴をつけられ亀山という山に封じられた。
上記の書物には唐の時代に、楚州の知事であった李湯が巨大な猿の怪物を水中より引き上げたと書かれており、その怪物こそが『古岳瀆経』という古文書にあった無支祁であると説明された。
『輟耕録』および『国史補』には、『山海経』に巫支祁として記述があったと書かれているが、該当部分は現存していない。
禹王の無支奇退治の物語は、宋の時代に戯曲として広まり、猿の姿で超能力を持ち、山に封印されたということから、『西遊記』の孫悟空の成立に影響を与えたという考察が古くからなされている。