もしかして → インドゾウ
インドぞう、それは一部の図鑑説明で単位にされている謎の生き物。
ポケモンずかんの内容
ライチュウ
でんげきは 10まんボルトに たっすることもあり ヘタにさわると インドぞうでも きぜつする。
ゴース
うすい ガスじょうの せいめいたい。ガスに つつまれると インドぞうも 2びょうで たおれる。
「インドぞう」とは?
『ポケットモンスター赤・緑』におけるポケモン図鑑に登場する生き物。
ライチュウの電気を浴びれば気絶し、ゴースのガスに包まれると2秒で倒れる。それ以外の詳細は一切不明。
現在1000種を超えるポケモンには、象をモデルにした種族も幾つか存在するが、じめんタイプのゴマゾウ系統とマンムーには電撃が、はがねタイプのゾウドウ系統には毒が効かないため、「ぞう」と言っても彼らの仲間ではない模様。
2022年に発売された『LEGENDSアルセウス』の図鑑では、ライチュウの電撃で倒される対象がダイオウドウに変更された(ダイオウドウはガラル地方で発見され、見た目が最も象に近い)。
後に登場した、遥か「未来のドンファン」ではないかとされるテツノワダチに至っては、遂に電気も毒も全く通らない「じめん・はがね」複合タイプ。
逆にテツノワダチと対になる「古代のドンファン」と目されるイダイナキバはかくとうタイプの複合なため、ゲンガーやアローラライチュウに滅法弱い。
これを「弱点となる生物を克服し、逆にどちらにも強くなれる様に進化していった」と解釈するポケモンファンも存在する。
なお、このインド象に限らず強さの指標・単位に大型のタンカーやダンプカーなどを用いる表現は元々昭和の怪獣図鑑に多く見られた。そもそもポケモンの元ネタのひとつは「ウルトラセブン」に登場したカプセル怪獣であり、ポケモン図鑑にも怪獣図鑑の影響らしき記述がよくみられる。
ちなみに初代ウルトラマンのパンチ力はインド象50頭分=250t相当らしいが、タンカーはサメハダー、ダンプカーはヒヒダルマ(原種)の図鑑説明でみられる。
また、「電気ショック」関係の技にゾウが使われやすいのはトーマス・エジソンがライバルのニコラ・テスラへのネガティブキャンペーンとして交流電流がいかに危険かを示すため、アジアゾウのトプシーを電気ショックで殺した様子を収めた記録映画を興行として公開し、全米の話題を集めたことに由来している。
異説
小説版では、ポケモンとは「ある日突然に存在し、それまでいた生物と入れ代わりになっている」という、後年のウルトラビーストのような異次元的な存在として描写されている。
ここから、図鑑で書かれたような酷い目にあわされたインドぞうが、犯人であるライチュウやゴースへの耐性を持つポケモンとして具現化しドンファンやマンムーが現れた…という想像をする人もいる。偶然ではあるが、マンムーのモデルのマンモスの語源は「土の獣」という意味である。
インドゾウは実際にはどんな生き物なの?
実際のインドゾウはアジアゾウの亜種とされ、インドから東南アジア、中国の南端部(雲南省など)といった広い範囲に生息する動物である。アジアゾウは、過去には中国東部から中東まで棲息していた。
アフリカゾウより耳が小さく、頭のこぶは大きい。食性はもちろん草食。アフリカゾウよりもマンモスと近縁である。
アフリカゾウに比べれば性質は穏やかと言われるが、大きな個体なら体重5トン、体高3メートルに迫る体躯はもちろん、自動車も軽く押し退け、鼻のひと振りで人間を何メートルもぶっとばすようなパワーを持つため、トラなどの猛獣もおいそれとは手を出せない巨獣。
だからこそ、10まんボルトもの電流を出すネズミや物理攻撃の通じないガス状生物の異様な強さを際立たせる役目を振られてしまったのだろう…。
動物としての強さはともかく、その巨体を維持するには広大な自然環境が必要で繁殖速度も速くないため、環境の変化などによる絶滅危惧種に指定されている希少動物でもある。
ポケモン世界のゾウドウやダイオウドウは絶滅の心配などなく普通に捕獲できるが。
その他の比較対象
ダイヤモンド
初代ではダイヤモンドがよく串刺しにされている。また、一部のポケモンはダイヤモンドより硬いと解説されているが…。
タンカー
初代以降の作品では海に住むポケモン(サメハダー、アバゴーラ、ドラミドロ、ブロスター)のポケモン図鑑の説明にタンカーが出てくることがある。
しかし、だいたい船底に穴を開けられて沈んでいる。ブルンゲルに至っては住んでいる海域が船の墓場と称される事も。
トラック
第3世代以降ではトラックやダンプカーもポケモンの犠牲になっている。
ひっくり返されたり吹き飛ばされたり捻り潰されたりし、破壊されると最終的に残骸を食われたりもする。
プロレスラー
どういうわけかプロレスラーもポケモンの強さの比較対象によく使われている。なお、プロレスラーをモチーフにしたルチャブルはひこうタイプ複合の為、ドクケイルに強く出られる。
地形など
ヨーギラスは山一つ平らげ、進化後のバンギラスは山を崩してしまう。
何でも溶かす
ウツドン、ウツボットの溶解液やリザードンの炎に使われる言葉。
ナパーム弾、ダイナマイト
こちらは破壊の対象ではなくパルシェンやゴローニャが耐えられるもの。
ポケモン世界の人々
ゴースト、ゲンガーに命を狙われる事があり、子供がスリーパーに連れ去られる事件があったりする。また、デスバーンは死者の魂を貪るとされる。
デスカーンはともかくオーロットはよく他のポケモンを恨まないものだ。
ポケモン
ポケモンも生物であるため、時として他のポケモンによる食物連鎖や対立関係などを通して比較される事がある。
そもそも当のダイオウドウ自体が今でもライチュウに襲われている。
数多の謎
初期のポケモン(主にアニメ)ではインドぞう以外にも、後発の設定で考えると不自然な点が確認できる。
ポケモン以外の動物が存在する
ゲーム
- サント・アンヌ号の厨房のコックが「さんまのしおやき」、「したびらめのムニエル」、「ぎゅうフィレのステーキ」という料理の名前を言う。
- LPLEではそれぞれ「ニビあられ」「うずしおスシ」「とっしんステーキ」となっている。
- タマムシシティの紹介文「タマムシ にじいろ ゆめのいろ」→町名の由来となった、虹色に見えるタマムシ(玉虫)が存在する?
アニメ
- アニメ無印1話で蚊取り線香の存在が明かされている。
- サトシが乳牛のコスプレをする。
- クラブがカニ鍋にされたのではないかとサトシが心配する。
- コイキングが鯉のあらいにされかけている。
- ロケット団が普通の海老を食べている。
- ポッポが普通のミミズを食べている。
- ロケット団が普通のハチに追い回されている。
- ハナダシティジム地下の水槽に普通の魚がいる。
- 化石のカブトプスが大型魚を捕食していた。
- 水中の光がウミホタルに間違われている。
- ゴースが普通のマングースの幻覚を出している。
その他
- 絵本に普通の犬が登場している。
ポケモンの「ぶんるい」でも、ピカチュウ等における「ねずみポケモン」のように、実在の生物が当てはめられている。最新作でも「ぶたポケモン」や「バッタポケモン」が新たに発見された。これは現実世界からポケモン世界を見ているプレイヤーにわかりやすく特徴を伝えるために既知の動物を当てはめている可能性や、ポケモン世界と現実世界で「ねずみ」という単語が指す意味が異なる可能性が考えられる。
カイデンと進化系のタイカイデンの分類は「うみつばめポケモン」と「ぐんかんどりポケモン」であるが、ウミツバメとグンカンドリはどちらも現実に存在する海鳥である。
技でも「ネコにこばん」「ねこのて」「へびにらみ」のように動物が登場するものがある。
これらの事情から、元々は「ポケモンとは、我々が住む地球に存在する、動物とは違った特別な生き物である」という設定だったようだ。この点についてはポケモンの没プロットの記事も参照。
「ハナダジムの魚」「食用の動物が別に存在する設定の変遷」については、アニメに初期から携わっている一石小百合氏も2017年10月31日のTweetで言及している。
「ポケモンと人間以外の動物が存在する」という設定が無くなると、生き物由来であろう貝殻などの品物は入手手段が曖昧になってしまうほか、アニポケやゲーム作品にも登場している肉料理や魚介料理はポケモンを食材としているのではないかと解釈せざるを得なくなる。
ポケモンを食べる文化があることはコイキングの図鑑説明にあるようにゲーム側からも示されている(「まずいので食用には向いていない」つまり誰かが食べて味を確かめた)。
また、攻略本「ポケットモンスター金銀ポケモンずかん」のポケモン世界の雑誌からの引用という設定のコラム内ではウツギ博士が「まな板の上のコイキング」という言葉を我々の世界でいう「まな板の上の鯉」と同じような意味で使用している。この言葉が存在する点から「コイキングをまな板の上に乗せて、なんらかの処置をする事」はことわざになるほど一般的な行為とも考えられる。
パルデア地方においてもポケモンは食文化を支える存在として、本体から取れた体の一部が有効活用されている。
- 戦いなどで取れてしまったガケガニのハサミ
- 剥がれ落ちたノノクラゲの体のヒラヒラ
- ミガルーサが捨て去った無駄な贅肉
しかし、ポケモン同士の食物連鎖の話と同様、「ポケモンは相棒や友達のような存在として扱いたい」という面から拒否感を抱く向きもある。
また、シンオウ神話の「古代の人間はポケモンを狩猟し、食べることもあった」という内容のように、直接的な描写は無いにしろ公式な世界設定として組み込まれていくこととなる。
さすがに栄養や味や毒の有無などで「食用に向いている、向いていない」や、個人的な感情で「○○を食べるのは平気だが、××は可愛いので食べようと思えない」といった差がポケモンごとにあるのか詳細は今のところ不明である。
こうした設定の変更が起きた後のアニメ「サン&ムーン」でもハムなどが登場している他、ゲームシリーズでも食事関係の要素では由来こそハッキリされていないが、動物性の食材(ハンバーグやヴルスト、ハムなど)が登場している。
実在の地名・固有名詞が登場する
- ペルシアンは「ペルシアの」という意味の言葉であり、分類の「シャムネコポケモン」の「シャム」とはタイのこと。
- ウインディが「中国の言い伝えにある伝説のポケモン」とされている。
- →サンで「東洋」に変更された。
- パラセクトの胞子を「中国では漢方薬にする」とされている。ちなみに「漢方薬」は「漢由来の薬」という名が示す通り日本で独自に発展した中国医学の医薬品を指すので、厳密には「中国では医薬品にする」が正しい。ちなみにゲーム中の安価である代わりにポケモンにとって苦い回復薬はカンポーやく表記である。
- ミュウの故郷が南アメリカ(作中に登場する日記によるとギアナ高地)である。アニメのサイドストーリーでは、主要キャラの母親がアンデス山脈まで探しに行ったが行方不明になったと言われている。
- →LPLEで「南アメリカ」の行が削除された。
- ポニータの脚力は東京タワーを飛び越えるほどであるという。
- ニョロボンはバタ足だけで太平洋を横断できると言われる。
- ゴルダックや上記のニョロボンの図鑑での解説文からオリンピックの存在が窺われる。
- →Bダイヤモンドで「オリンピック選手」が「世界レベル」、「金メダリスト」が「水泳選手」に変更された。
- カイリューは地球を16時間で一周できる速さ(マッハ2.5)で飛べるとされている。
- マチスはアメリカ軍出身である。
- →LPLEで「アメリカ」に関する言及が削除された。
- ニビシティの博物館は「コロンビア号」なる「スペースシャトル」が展示されている。これらは、アメリカ航空宇宙局「NASA」によって造られた特定の宇宙船を指す固有名詞である(コロンビア号は機体名、スペースシャトルはシリーズ名)。コロンビア号は2003年に空中分解事故で失われ、乗員7人全員が死亡する悲劇が起きたものの、事故後に発売されたFRLG及びバーチャルコンソール版においても削除・修正される事なく残されている。海外版・LPLEではコロンビア号への言及は削除されたが、スペースシャトルについては変わらず言及されている。
- カツラが技「だいもんじ」を説明する際、「ほんば きょうと では だいもんじ とか おくりび と よんで いる」と京都の大文字の送り火についての台詞がある。
- →LPLEで「京都」が削除された。
- シルフカンパニー内のはぐれ研究員(元シルフ研究員)の一人に「社長にロシアまで派遣された」という旨の台詞が存在している。ロシアにある派遣先の支部の所在地は「ポナヤツングスカ」という架空のものだが、初代の英語版では「Tiksi(ティクシ)」という実在のものに置き換えられた。リメイク版である『LPLE』では「ロシア」の部分が削除され、英語版では「Tiksi」が「boondocks(奥地、田舎)」という一般名詞に差し替えられている。
- 「ネイティオは右目で未来を、左目で過去を見ている」と言う話が南アメリカで伝えられている。
- デリバードはエベレスト山で人を助けた事がある。
- GSC・HGSSのママの得意料理グレン風火山ハンバーグ→ハンバーグはドイツの都市・ハンブルク由来の食品。
などなど。
アニメの小説版で語られる設定では、より顕著に見られる。
だがポケモンはシリーズを重ね、次第に描かれる世界が大きく詳細になっていった結果、現在では「ある星における動物に等しい存在の生き物」ということになっている。実際に、2019年1月4日に放映されたアニポケ特番「ポケットモンスターの平成史~火曜から木曜、そして日曜~」では、ポケモン世界を「地球とは遠く離れた惑星」としている。
このためなのか、近年のシリーズ作品では街頭に掲げられている看板やテレビ番組の字幕などに使われている文字も、地球で使われている如何なる言語のものとも異なる特殊な文字が使われるようになっている。中にはアルファベットを未知の言語のようにアレンジしたものもあり、頑張れば解読することができるケースもある。
拡張現実型のゲームである『ポケモンGO』では、実在の地名や固有名詞を出しても不自然さが生じないが、ゴルダックやニョロボンの図鑑説明が初代とほぼ同様のものだったり、ミュウのスペシャルリサーチの進行時にウィロー博士からミュウが南米で発見されたことが語られたりするなど、アップデート前のテキストが用いられている。
なお、2018年に発売された初代のリメイク作である『LPLE』では実在の地名や固有名詞に関する記述がすべて修正されている。
実写映画の『名探偵ピカチュウ』では、ピカチュウが「フランス語で言うと~」というセリフを話す。劇中に登場する言語も架空のものではなく英語が多用されている。
これらの設定の変遷による矛盾
一方、ゲームの世界も現実世界からは完全に切り離したのかと言われたら、必ずしもそうとは言えない部分が見られる。
- 地球という言葉を使っている「ちきゅうなげ」
- 地球の衛星の名前である「月」に由来する「つきのいし」や「つきのひかり」「ムーンボール」「ムーンフォース」等の存在
- 同様に「満月」「新月」に由来するまんげつじま・しんげつじまの存在
- 唯一無二の太陽系の恒星の事である「太陽」に由来する「たいようのいし」の存在
- 雲一つない快晴を意味する慣用句「にほんばれ」。当然だが文化圏や国家としての日本の存在を前提にした言葉である。英語では「Sunny day」だが「太陽」を意味するSunが含まれている。
- わだつみのシンフォニアの「ワダツミ」。ワダツミは日本神話の海神である。日本、ましてや地球ではないのに『ワダツミ』と名付けられていた存在が『ポケモン』世界にも存在していた事になる。
- 一般トレーナーの外国人名系の名前に、現実世界における神話や宗教に由来するものがみられる。[アブラハムの宗教]]系に顕著だが、英語圏で一般的な名前には、聖人の名前から採るといった由来を持つものは多い。
- また、サント・アンヌ号の「サント(Sancto)」とは聖人を示す言葉なので聖アンヌという聖人の名前を冠した船となる。
といったように、今度はフィクション・ファンタジー世界ゆえの「何故我々の住む地球(=現実世界)とは異なる世界観で、現実世界の固有名詞が登場するのか」という疑問が生じている。
「動物」の存在とは異なり、シリーズを経てもこれらの修正は行われてはおらず、現実世界の固有名詞に関するテキストが削除・修正されたLPLEでも修正されなかった。
上記については、主にスペースオペラなどのSF作品で見られるような「恒星」や「衛星」一般を指す単語として「太陽」や「月」という言葉を充てていると解釈することは可能。英語では専門書を除いて「Fixed Star(s)」や「Satellite(s)」よりも「Suns」や「Moons」で表現されることが多いのも、この説の補強に持ち出されることがある。
この点はポケモン世界の言語で「自分たちの住む惑星」を意味する言葉を、日本語のテキスト上では「地球」と置き換えているという形であっても説明はつく。
あまり独特な定義の言葉を連発すると作品自体がとっつきにくくなるのは創作全般に言えることで、これは「地球」をはじめとした天体の話に限らず、現実の太陽系とリンクしない別世界を舞台にしながら台詞は日本語(を含む地球の言語)という全ての創作物で、大小はともかく日常的に行われている事である。
また「ポケモンの舞台はどこか遠くの惑星だが、地球との人的・情報的な交流はある(過去にあった)」と考えると、地球の生物に準えた別名が付けられている点などの説明にはなる。
関連タグ
他作品におけるインド象の登場例
前述の通り、怪獣図鑑における単位として扱われたのが元ネタとも言われるため、「ポケモン」以外にもインドぞうが単位として扱われることがある。
ジャミラ:インドぞうを5000頭も持ち上げることができるとされる。
ドラコ:腕の一振りはインドぞう10万頭分(50万t)の力があるとされる。
ギャンゴ:インドぞうを1千万頭も持ち上げる怪力とされる。
ケムラー:インドぞうを3秒で殺す毒ガスを出すとされる。
大豪院邪鬼:得物の剣は一振りでインドぞうをも切り裂くとされる。
江戸川コナン:腕時計型麻酔銃はインドぞうでも30分は眠るとされる。
雲雀恭弥・ピラザウルス:インドぞうでも動けなくなる毒を盛られても動いていた。
映画ドラえもん のび太の日本誕生:ゾウでも気絶させられる電撃機能を持つ22世紀産の槍が登場する。
ダイナマイト:ゾウと並んで良くキャラクターの強さの比較対象にされる。
ジャイアント馬場:空想科学読本において、キャラクターの強さを測るための指標にされ、「ジャバ」という単位にされてしまった。1ジャバは2.2馬力相当。
アンジャッシュ:自身のコント内で『インド象アフリカ象』という架空の芸人が存在している。