概要
哺乳類・食肉目(ネコ目)・マングース科・エジプトマングース属に属する動物の総称。
体長18~65cm,尾12~53cm。体は細長く、四肢は短い。1本の毛には黒と白または褐色の縞模様があるため,全体としては霜降にみえる。外見はイタチに似ているが、瞳孔がヒツジのように横長に伸びるのが特徴。霜降りの灰褐色の毛に覆われる種が多いが、体色は変化に富む。
アラビア~インド、アフリカ、マダガスカルに分布。低地から高地、森林から低木林、サバンナから半砂漠まで様々な環境に棲む。昆虫、ウサギ、ネズミ、鳥、ヘビ、トカゲ等や果実も食べる。
神経毒に対する耐性を持っており、動作が素早く、コブラ等の猛毒を持つヘビをもよく捕食する。
日本での害獣化
沖縄本島及び奄美大島にてハブ対策で移入され、特定外来生物となったのは「フイリマングース」と呼ばれる。東南アジア、インド、中国南部、中東などを原産地とする。
しかしながら、クサリヘビ科に属するハブはマングースが獲物とするコブラ科とは毒の成分が違っており、耐性が効かず、またハブはコブラ科より俊敏で攻撃性も高いため、マングースにとって非常に危険な生物である。
一方で沖縄に持ち込まれたのはフィリマングースはマングースとしては小型の種類であり、ヘビよりは小型哺乳類や昆虫類が主な獲物である。
こうした思い込みと生態とのズレからハブ対策としては完全に失敗、胃の内容物を確認してもハブを食べた個体はほとんど確認されていなかった。
ハブの代わりに獲物となったのがヤンバルクイナやアマミノクロウサギなど、沖縄各島に固有の在来生物である。
捕食者らしい捕食者が非常に少食(数ヶ月の絶食に堪える)なハブぐらいしかいなかった両島であるため、これらの在来生物は捕食者に対する有効な対抗手段を持たず、マングースにとっては格好の獲物となってしまい、絶滅が危惧されるほどに数を減らすことになる。
こうした実情から2005年にマングースは特定外来生物に指定され、地元住民らを中心とした対策チームが結成され徹底した駆除の対象となる。
奄美大島では2018年5月以降捕獲されておらず、2024年には9月には環境省より根絶宣言が出された。一度広範囲に定着した外来生物を根絶に成功したことは世界的にも珍しい成果である。
しかし沖縄本島では、密度は低下したものの依然として生息が確認されており、根絶に向けて努力が続いている。
同様の事態は、サトウキビ農園のネズミ類駆除が目的だった西インド諸島やハワイ諸島などでも起こっている。
その他
- かつてはハブとマングースとの決闘ショーが行われていた動物園があった。
その後そのようなショーが禁止されてからは、海蛇とマングースが水泳で対決するショーになった。→ハブとマングース
- ハブ対策の失敗の主要因として「マングースが昼行性でハブが夜行性であったため出会うことがなかった」という点が強調される事が多いが、マングースは獲物の寝込みを襲う習性があるためこの指摘は的はずれである。上述したアマミノクロウサギをはじめとして夜行性の生物も深刻な被害を受けている。
主なマングースの仲間
余談
- 蛇を好んで食べる習性から、エジプト神話では豊穣の女神ウアジェトおよび処刑の女神マフデトのモチーフとなっている。
- チベットの毘沙門天はクベーラの名残が強い財産の神で、宝石を吐き出すマングース「ナクラ」をペットにしている。