生態
哺乳類ウサギ目の中の動物の分類群である。「うさぎ」と呼ばれる種類の多くが属する。
長い耳とずんぐりとした愛らしい外見が特徴。
基本的に草食性で、種によっては穴を掘って巣を作り、そこで小さな群れを成して暮らす。
発達した後ろ足で飛び跳ねるように走り、速力は時速60~80kmとなかなかのもの。加えて雪国に住むカンジキウサギは雪の上でも活動できるように進化している。
もともと臆病で神経質なため、ストレスに弱い一面もある。
長い耳は見た目通りに聴力に優れ、特に左右共に前後120度ほど回転するため、広範囲の音を拾うことができる。
また血管が集中しているため、体温調節の機能も持つ。
毛の色は、野生種では褐色であることが多く、種類によっては冬毛が白くなり、雪上で保護色になる。
飼育種は白・黒・灰色・茶色など、様々な色が存在し、模様がある品種も存在する。
日本では白に赤目(アルビノ)がポピュラーだが、欧米では原種に近い茶色や灰色が一般的。
豆知識
- 俗に「さびしいと死ぬ」と言われるが、実際は縄張り意識がとても強い動物で、基本的に単独での暮らしを好む(アナウサギのように群れで暮らす種もいる)。そして、そういった単独生活を行う種のウサギは近づいてくる別の個体を全力で追っ払う。
- 声帯はないが食道を鳴らして「鳴く」ことができ、「ブッブッ」などと音をたてる。また腹を立てたときなどに足を踏み鳴らして感情を表現することもある(ウサギの愛好家には「ダンダン」とよく表現される。『鬼灯の冷徹』で「足ダン」という表現が出てきたね)。
- 鳴き声を出さないと思われがちだが、天敵に襲われた時などの恐怖や危険を感じた時に鳴くことがある。鳴き声は個体によって異なるが多くが小鳥のそれを甲高くしたような感じ。恐怖だけではなく、体調不良が原因で鳴くこともあり、飼っているウサギがそのような声で鳴き始めたら怪我や体調不良の可能性があるので注意。
- ニンジンやキャベツが好物という認識が広まっているが、どちらも与えすぎは禁物である。特にキャベツは水分が非常に多いため下痢になりやすく、腹の調子が不安定な子ウサギが食べ過ぎると死に至ることもある。草食動物なので主食はあくまで牧草や落ち葉などの植物である。なおイモ系やネギ系はウサギにとって毒なので絶対に与えないこと。また、うんこを食べる行為は未消化の栄養分を再び吸収する為の行為である。
- 実はアリなどの昆虫や死肉を食べる事もある。
- 骨は非常に脆い。全体重に対する骨の密度が地上動物としては著しく低く(ヒト18%、ネコ13%に対しウサギは7%)、骨折すると自然界では生きていけなくなってしまう。
- 動画サイトで犬猫と仲良くしている映像が多いが、あれは特別な訓練を受けている犬猫なので、そのままだとおいしく頂いてしまう。
- 実は後ろ足で立つことがあり、初めてそれを見た人は、驚く事がある。何かの音や気配を察知してそれに警戒するために行う行動だが、何も音が鳴っていないのに誰もいないのに後ろ足で立つ仕草をしたら、幽霊がいるという都市伝説もある。
- 多くのウサギ科に属する動物は肉球を持たないが、実はホーランドロップやエゾナキウサギなど一部の兎には肉球が存在していることが既に科学的に証明されている。
ただし、一般的な兎に肉球のようなものが見られた場合、ソアホックをはじめとした皮膚病である可能性が高いので気を付けよう。
その他ウサギ関連の豆知識などはうさぎの記事参照。
ノウサギとアナウサギ
ウサギ科にはいくつかの属があるが、特にノウサギ属とアナウサギ属の種類が広く知られている。
ノウサギは地表で単独生活し、耳や足は長い。ノウサギ属にはいくつかの種がある。
アナウサギは巣穴を掘り集団生活し、耳や足は短く、年中繁殖する。1属1種。
カイウサギはアナウサギを家畜化したもので、アナウサギの特徴を受け継いでいる。
日本では野生のノウサギ類としてニホンノウサギ(本州・四国・九州)、ユキウサギ(北海道)が生息する一方で、飼われているのはアナウサギである。
なお、アマミノクロウサギ等、ノウサギ属でもアナウサギ属でもない種類もある。
日本語ではノウサギとアナウサギは区別されないが、英語ではアナウサギ系はRabbit、ノウサギ系はHareと区別されている。なお、Bunnyは「うさちゃん」(幼児語。スコットランド英語で「うさ尾」を指すBunから、という説がある)。また、ラテン語のcuniculusがなまった「コニー」もある。
ちなみに、時計ウサギはラビット(なので、彼はウサギ穴へ入る)で、 3月ウサギがマーチ・ヘイア(『鏡の国のアリス』の方で「ヘイヤ(Haigha)」として登場)。
基本的にウサギは水へ入らないが、ワタオウサギの仲間のヌマチウサギと呼ばれる種類は、水辺に生息し、泳ぐ。
人間との繋がり
太古から人の食糧の一つとして、狩猟対象となってきた。
日本でも狩猟の対象とされており、徳川家康の先祖が流浪時代に兎肉を振舞われたという言い伝えもある。
欧米では今でもウサギの肉は高級料理の材料であり、ウサギ狩りも文化的なスポーツの一種として扱われてきた。ピーターラビットのお父さんもうさぎのパイになっている(ピーターラビットオフィシャルウェブサイト/キャラクター紹介)。
ウサギの足は“幸運の証”とされ、脚先の毛皮を御守りとして持つ習慣もある。
また比較的に大人しく、アナウサギを改良したカイウサギをペットとして飼う習慣が根付くようにもなる。
ウサギは、カメや魚、ニワトリと比べても小学校でよく飼われるようになった。
その理由は、あまり鳴かない(近隣や授業の迷惑にならない)、草食動物であるために特別な事情がない限り児童にかみつきはしない、昼間はあまり動かなく飼育の負担があまり大変でない…とちょうどいいから。
一方で、農作物を荒らす害獣としての側面も持つ。後述する繁殖力の問題もあり、天敵のいない場所で野生化すると大変な事になる。(オーストラリアでは十八世紀に放したところ、大変増えまくったので、aトラクターで巣を粉砕しまくりbものすごく乱獲しまくりc対ウサギが死ぬ病ウイルスを放ったが、まだもふもふしている)
また用意周到に巣穴をめぐらし逃げ込むことから狡猾な(あるいは聡明な)キャラクター付けをされることがある。これは古くは古事記の「因幡の白兎」や「かちかち山」のウサギ、近年ではバッグス・バニー、因幡てゐなどにも反映されている。
繁殖力が強いことから古代ギリシアでは両性具有の動物と考えられたり、また外見の印象からか女性的なイメージで語られることが多く、擬人化の際も女の子として描かれる傾向があるようだ。
日本では「耳が鋭く、素早い動物」として、戦国時代の兜の前立てのデザインに使われていた事がある。
なお、兎を日本では一羽二羽と鳥のように数えるが、これは獣を口にする事ができない僧侶が鳥であるとごまかして食したからとか、耳が鳥の翼のように見えるからという説がある。これに則ってか、バトルスピリッツに登場する卯の十二神皇ミストラル・ビットの系統は遊精・爪鳥となっている。
「うさぎ」は古来、日本では言いにくいものであったらしく、熊野で巫伴(ミコトモ 柳田國男説で「蹲ってる姿が巫女の祈る姿に似るから」南方熊楠説で「山の神たる狼に伴う巫女に見立てて」)、北三河で山の禰宜、北設楽郡で祝儀樽(うさ耳がご祝儀の時の角樽に似るので)、長野県でミミナガ、津軽~南部でダンジリ、越後の赤谷でイワツラ、秋田県の阿仁マタギ用語でシガネ、などと呼称する。
二本の耳に丸いボディという非常にわかりやすいフォルムから、リンゴの皮をウサギの耳のように切った「りんごうさぎ」、雪を丸く小さく固めて葉っぱを耳にように飾り付けた「ゆきうさぎ」といったウサギをモチーフにしたアイテムも数多い。
月兎
兎はアジアの伝承において、月と結び付けられる文化が多く見られる。
特に中国や日本においては月の模様を月で兎が餅(前者は薬草)をついている姿に見立てたりといった例が有名である。
また、仏教説話にはそんな月の兎に関する悲しいエピソードがあり、それは次のような物である。
『猿、狐、兎の三匹が山中で倒れている老人を見付け、猿と狐はそれぞれの特技を活かして老人に食べ物を与えたが、非力な兎は食べ物を持ってくる事ができなかった。そこで狐と猿に火を起こして貰うよう頼み、兎は自ら火中に飛び込んで老人の供物となった。老人は帝釈天としての正体を現し、兎を天に上げ月の兎とした。月の兎の周りに見える影はかつて自分を焼いた火から発生した煙に由来するのだという。』
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