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名探偵ピカチュウ(ポケモン映画)

じっしゃばんめいたんていぴかちゅう

映画『名探偵ピカチュウ』とは、同名のゲーム作品「名探偵ピカチュウ」を原案とした映画作品である。
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概要編集

ゲーム『名探偵ピカチュウ』の実写映画作品。

2017年12月に、制作企画が進行中であることが発表された。

もちろん、ポケモンが実写化されるのはこれが世界初の試みであり、詳細が発表された際に世界中の映画関係者やポケモンファンたちを仰天させたのは言うまでもないだろう。公開はアメリカでは2019年5月10日、日本ではその1週間前の5月3日に公開された。


監督ロブ・レターマン、原案を『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』等のMCU作品で知られるニコール・パールマン、製作はモンスターバースシリーズパシフィック・リムシリーズダークナイト三部作等でお馴染みのレジェンダリー・エンターテインメントという、あまりにもガチ勢すぎる陣営が発表された。

更に製作・製作総指揮には、株式会社ポケモン石原恒和代表取締役社長をはじめ、同社のスタッフ達が関わっており、実質的に日米合作映画となっている。

配給はワーナー・ブラザーズが担当するが、日本では従来の劇場版ポケットモンスターと同様、東宝が務める。


ストーリーは大筋で原作をなぞったものになっているが、事件の黒幕に関する描写や物語の結末が大きく異なっている(これは、映画公開当時、原作ゲームがまだ完結していなかったという事情もある)。


主題歌は、HONESTBOYZ「ELECTRICITY featuring Lil Uzi Vert」。日本語吹き替え版に限らず、全世界で上映されるオリジナル版でも採用されている。


原語版の予告編ではボニー・タイラーの「Holding Out For a Hero」が使用されている。日本語版の予告編やTVCMでは同曲のカバーであり、昭和時代のドラマ「スクールウォーズ」の主題歌だった麻倉未稀氏の「ヒーロー」が用いられているが、両曲共に本編には使用されていない。


詳細が発表された当初は、リアルな造形のポケモンに対して難色を示す声もあった上、同時期に『アベンジャーズ:エンドゲーム』や『名探偵コナン紺青の拳』といった話題作が公開されることが決まっていたこともあり、興行的には苦戦することが予想されていた。

しかし、いざ映画が公開されると、まるで現実世界に本当にポケモンという生き物が存在するかのような見事な映像表現が大きな話題となり、ゲーム原作の実写映画としては異例とも言える大ヒットを記録することとなった。

通常、ゲームを原作とした実写映画はキャラクターの造形を無理やり実写に落とし込もうとして失敗したり、原作とはあまりにもかけ離れたストーリー故にファンから顰蹙を買ったり…といった要素が重なって大コケしてしまうことも珍しくないのだが、本作はストーリー構成の単調さや粗雑さにこそ手厳しい意見が見られたものの、CGで描写されたポケモンについては批判的な意見はほとんど見られなかった


むしろ、視聴した者の中には、Twitterで有名なとある外国人男性のクリエイターと協力して出来上がったCGのあまりの完成度の高さ故に、「映画を観終わった後にこの世界にポケモンがいないことに絶望した」「街中にいる野良猫や鳥がポケモンに見えた」ひどい場合には「街中を歩いているポケモンの幻覚が見えた」なんて声もあった。

このことからも、CGで新たに再構築されたポケモンのデザインがファンから広く受け入れられたことが窺い知れる。

ちなみに、映画公開記念として発売されたポケカ公開記念拡張パックのカードでは上記についてを彷彿させる様な描写があるとされる映画のシーンから切り抜きされた実写とCGイラストのポケモンカードも存在する。



キャスティング編集

ティム役は『ジュラシック・ワールド/炎の王国』でフランクリン・ウェブを演じたことで記憶に新しい、アメリカの若手俳優:ジャスティス・スミスが担当。さらに、主人公の名探偵ピカチュウの声とモーションアクターを『DEADPOOL』(MARVEL)で主人公デッドプール役を演じたことでお馴染みのライアン・レイノルズが担当することが発表され、世界中に激震が走った。良くも悪くもライアンといえばデッドプールのイメージが強すぎるためか、一部では「デップーが喋っているようにしか聞こえない」なんて声も散見された。ちなみに、映画公開後に公開されたライアンへのインタビュー記事では、彼がオファーを受けた際に製作スタッフからピカチュウのCG映像にデッドプールのセリフを当てた映像が送られており(別のインタビューにおいて、ピカチュウにライアンの演じるデッドプールの声を当てたところあまりにもピッタリだったため、その場でライアンにすることが決まったらしい)、ライアンはそれを見て出演を決めたことが明かされている。なお、この作品に出る前まではライアンはポケモンには全く興味がなく、せいぜいピカチュウの名前を知っている程度だったようだ。

デッドプールとピカチュウ


本作のピカチュウはライアンのモーションキャプチャーやフェイシャルキャプチャーを基に表情や動きが非常に細かく作りこまれており、アニメに負けず劣らずとても表情が豊か。特に、予告編で一瞬だけ見せているしわしわ顔ブサかわいいと一部で話題になった。

レイノルチュウ


他にも、映画オリジナルキャラクターとして、メインヒロインルーシー役にキャスリン・ニュートンヨシダ警部補役として日本を代表する俳優の1人である渡辺謙が出演している。なお、ルーシーは原作におけるエミリア・クリスティー、ヨシダは原作におけるマイク・ベイカーに相当する役回りのキャラクターである。

ブルーだいすきヨシダ警部補


吹き替えについて編集

ティム役の吹き替えを担当する竹内涼真は声の出演に留まらず、本編冒頭にもポケモントレーナー役としてカメオ出演している。これは監督が来日した際に竹内に惚れ込み、直々に出演をオファーしたからとのこと。


また、アニメ『ポケットモンスター』でお馴染みのキャストが多数ゲスト出演しており、ファンならば思わずニヤリとする配役がなされている(ポケモン役に関しては、一部を除いて基本的にアニメ版と同じ声優がキャスティングされている模様)。


なお、主役であるピカチュウの吹き替えを西島秀俊が担当していることに関しては、映画公開当日までのトップシークレットとなっており(試写会でも口外しないよう緘口令が敷かれたという)、初日の初回放映が終わった後に情報が解禁されることとなった。


キャスト一覧編集

キャラクター名演者日本語吹き替え
ピカチュウライアン・レイノルズ ※1、※2西島秀俊
ティム・グッドマンジャスティス・スミス竹内涼真 ※3
ルーシー・スティーヴンスキャスリン・ニュートン飯豊まりえ
ハワード・クリフォードビル・ナイ中博史
ヒデ・ヨシダ警部補渡辺謙渡辺謙
ロジャー・クリフォードクリス・ギア三木眞一郎 ※4
ミス・ノーマンスキ・ウォーターハウス
セバスチャンオマール・チャパーロ三宅健太 ※5
アン・ローラン博士リタ・オラ林原めぐみ ※6
ジャックカラン・ソーニ梶裕貴 ※7
ティムの祖母ジョゼット・サイモン犬山イヌコ ※8
DJディプロ石川界人※9
コダック / ゼニガメ愛河里花子 ※10
ヒトカゲ三木眞一郎 ※10
メタモン / イーブイブースター金魚わかな ※11
プリンかないみか ※10
ミュウツー星埜李奈 / コタロー・ワタナベ木下紗華 ※12 / 山寺宏一 ※13

その他、役名なしでうえだゆうじ※14も出演している。


補足説明編集

※1:ライアンは、声の他にもピカチュウのモーションキャプチャーとフェイシャルキャプチャーも担当している。

※2:鳴き声はお馴染みのピカチュウと同様、大谷育江が担当する。ちなみに、2019年5月24日に東京都で開催された三間音響監督と声優陣登壇の応援上映において三間監督が明かしたところによると、ピカチュウの鳴き声の収録は当初大谷氏をアメリカに呼んで行われる予定だった。しかしスケジュールの都合がどうしても付かなかったため、レターマン監督自らが直接会うために来日したとのこと。また、今作で使われたピカチュウの声は全て最初から撮りおろし(アフレコ)との事で、アニメ版からそのまま流用した既存(過去にて発売済みのゲーム用のボイスを含む)ボイス(音声データ)は一つもないという。

※3:冒頭に登場するポケモントレーナー役でカメオ出演もしている。

※4:アニメ『ポケットモンスター』でコジロウサトシリザードンなどを演じている。

※5:アニメ『ポケットモンスター』でサカキアカギをはじめ多数のサブキャラを演じている。

※6:アニメ『ポケットモンスター』でムサシやサトシのピジョンサトシのフシギダネなどを演じている。本作では中盤に登場するフシギダネの声も担当した。

※7:アニメ『ポケットモンスター』でバージルシトロンプニちゃんを演じている。

※8:アニメ『ポケットモンスター』でロケット団のニャースを演じている。

※9:アニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』でカキを演じている。

※10:アニメ『ポケットモンスター』でも同じポケモンの役を担当している。

※11:アニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』でイーブイを演じている。

※12:アニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』でルザミーネを演じている。

※13:劇場版ポケットモンスターの常連ゲスト声優としてファンにはお馴染み。『ミュウツーの逆襲』およびそのリメイク作である『EVOLUTION』では、ミュウツーのオリジナルにあたるミュウを演じているため、(作品こそ違うものの)コピーとオリジナルの両方を演じたことになる

※14:アニメ『ポケットモンスター』でタケシロケット団ソーナンスなどを演じている。なお、三間音響監督によると本作ではキモリの声を担当したとのことらしい。


ディスク化・配信について編集

Blu-ray/DVD化編集

本作品のディスク(Blu-ray/DVD)は日本国内外で発売された。

(本記事ではBlu-rayディスクの仕様については基本的に日本盤のものを掲載する。)

ただし、日本国外での発売元であるワーナーが発売した海外盤とは異なり映画館にて上映された3D上映のものを収録、音声圧縮形式といった点では日本盤とは別仕様となっている。

発売は2019年10月30日にポケモンセンターオンラインなどでDVDとBlu-rayのセットが(ポケモンセンターオンライン販売価格7,480円)発売された(日本の販売元は東宝、海外の発売元はワーナー)。

TSUTAYAでもレンタルできる。


音声切り替えは日本語吹き替え音声(吹き替え字幕あり)、バリアフリー音声ガイド(専用字幕あり)、日本語字幕、英語音声(日本語字幕)が可能。


特典について編集

封入特典にはリーフレット(ライムシティに登場するポケモンたちを紹介!)オリジナルポストカード (5種セット)、ライムシティ行きチケット。

数量限定で先着購入者への特典として話題だった「しわしわ顔ピカチュウ生写真4枚セットが付いてきた。


特典Blu-rayディスクの内容

  • 名探偵モード

音声特典とBlu-rayのシステムである小窓表示機能を使った特典機能では本編再生中に物語中にある各所のシーンに合わせてキャストや制作スタッフによる音声コメンタリー、該当シーンの舞台裏映像と登場ポケモンの情報などが映像に合わせてそれらをポップアップで画面に表示される機能を実装している(詳しいビデオ機能の仕様についてはBlu-rayの記事を参照)。

  • 公開記念特番『竹内涼真 in ハリウッド完全版』(テレビ放送分と未放送分の内容をノーカット収録)

イベント映像集には製作報告会見、ワールドプレミア、初日舞台挨拶といった各種特典映像を収録。本編未収録の未公開映像。登場ポケモンのバリヤードによるコメンタリー映像『バリヤードが出演シーンを語る!?』。


ビデオ配信編集

本作品は上映終了後に日本国内外で配信された。

Amazonの動画配信サービスPrimeVideoアニポケ(劇場版ポケットモンスターを含む)と同じプラットホームにて配信されている。(映像は本編のみ、配信開始日は不明)

配信形式はストリーミングで、圧縮音声フォーマット形式は日本国内と国外では異なる。

もう一つの配信サービスはドコモ運営のdTV



続編について編集

レジェンダリー側は公開前から続編が制作されることを発表しており、映画公開後には、一部報道でポケモンを題材とした新たなシェアード・ユニバースの構想を立ち上げようとしているという情報もあった。しかし、その後長らく音沙汰がなく、ファンの間では本当に続編が制作されるのか疑問を抱く者も出始めた。

その後、2021年5月3日に、主演を務めたジャスティス・スミスが続編の製作が頓挫したことを仄めかす発言をした(公式は未だ沈黙を破っていないが、主演俳優の発言である以上、十分信頼性のある情報とみるべきだろう)。さらに、脚本を担当していたベンジー・サミットとダン・ヘルナンデスも「続編の状況は困難で多くの大手スタジオが関与している」「自分たちには知り得ない権利問題が絡んでいる」と述べ、様々なスタジオの利権が絡んでいるため製作が難航していることを明かしていた。


2023年2月に続編の企画が再始動したらしいことが報じられた。

新たにジョナサン・クライゼルを監督に迎え、脚本を『キングス・オブ・サマー』のクリス・ギャレッタとする方向で交渉が進められているようだ。また、現時点で契約は結ばれていないもののライアン・レイノルズも何らかの形で続投するとみられるという。



余談編集

Twitterで海外のCGクリエイターが作品公開前に話題となっていた。作品のCG制作に参加して貰いたいとレジェンダリーからのオファーが来たとのことで、このクリエイターの参加によりリアルな実写ポケモンのグラフィックが実現したと言っても過言ではない。

また、実写版のデザインも、ゲームフリーク側と綿密な打ち合わせを行いながら、どの程度リアリティなデザインにし、どの程度ゲーム版の面影を残していくのか試行錯誤したという。


本家との設定面での関わりはほぼ皆無だが、実写版の台詞ではカントー地方が存在する(ミュウツーは20年前にここから脱走してきたらしい)ようで、少なくとも映画版においてはアニメ版若しくはゲーム版と世界観を一部ながらも共有している可能性がある。また、ミュウツーが過去に劇場版に登場した個体と同一の存在であるとも受け取れる描写がなされている。


一方で、実写版の描写では古代からモンスターボールが存在し、古代エジプトでもポケモンが使役されていたらしい事が示唆されるなど、ゲーム版の本家ではヒスイ地方ガンテツボールとは異なるなど矛盾する描写もある(本家ではモンスターボールはシルフカンパニーが製作したものという設定がある)。古代からあるモンスターボールについては『LEGENDSアルセウス』の方も参照のこと。


実写版でのライムシティはロケ地のロンドン、そしてニューヨーク東京の雰囲気を取り入れているが、現実世界でいうとどこに位置しているかは全くの謎。作中の地図の形状を見るにアイルランドがモデルなのではないかという説がある。

ちなみに、同年に発売された『ポケットモンスター ソード・シールド』の物語の舞台イギリスがモデルとなっており、ロンドンをモデルとした街も登場する。

また、作中ではとあるシーンで「フランス語」という表現が出てくる(カロス語ではない)。近年のポケモン作品では、現実世界に登場する地名やフレーズは使わないという暗黙の了解があるため、かなり珍しい事例と言えるだろう。


映画をはじめとするポケモン関連作品は、これまでは必ずテレビ東京系列で放送されてきたのだが、本作の映画版に関しては、例外的に何故か日本テレビ系列の『金曜ロードショー』(『金曜ロードSHOW!』)にて地上波ノーカットで放送された(放送日は2020年5月22日及び2024年10月4日)。

これは恐らく海外の映画会社により製作された実写作品と言う通常とは少し毛色の異なる作品であったことや、テレビ東京が(アニメ映画はともかく)洋画をはじめとする実写映画を放送できる専用の番組枠を持っていなかったこと等が原因と考えられる(ただし、同局では特別番組にて試写会見映像は放送していた)。


また1回目の放送日に当時の新作であった『ポケモン剣盾』において隠れ特性持ちのガラルバリヤードガンテツボール4種を無償配布する企画が行われた(ちなみに、放送時にもちゃんと『剣盾』のCMが流されていた)。

これ以外にもポケモン関連で様々なキャンペーンが行われていた。

一方で、2回目の放送時には『SV』でこれといったキャンペーンは行われなかった(強いて言えば最強レイドが実施されていたが、映画には登場しないゴウカザルのレイドであった)。


ライアン・レイノルズ、キャスリン・ニュートン、カラン・ソーニは後にMCUの映画にも出演している(レイノルズとソーニは『デッドプール&ウルヴァリン』、ニュートンは『アントマン&ワスプ:クアントマニア』)。


関連映像編集




関連イラスト編集

名探偵もふピカチュウ名探偵ピカチュウ



関連タグ編集

ポケモン映画 名探偵ピカチュウ

しわしわピカチュウ ピカチュウダンス


外部リンク編集

ゲーム版:名探偵ピカチュウ 公式サイト

名探偵ピカチュウ ~新コンビ誕生~ 紹介ページ

映画版:名探偵ピカチュウ 公式サイト

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