概要
ジュラ紀後期のヨーロッパに棲息していた小型肉食恐竜の一種。
模式種はコンプソグナトゥス・ロンギぺスCompsognathus longipesで、1859年にワグナー(Wagner)によって記載された。
これまで発見された恐竜では非常に小さな種のひとつ。全長90~140cm、推定体重は2~3㎏程度で、長い尾を除けばほぼニワトリと同じ位の大きさ。ちなみに属名の意味は「繊細な顎」。
華奢な体つき、ムチのように長い尾、発達した後脚、小さいながらしっかりした作りの前脚を持つ。個体によっては胃にあたる部分に生前最後の食事と思しきトカゲの化石が共に保存されており、こうした小さな動物を獲物にしていたと考えられる。
2007年イギリスのマンチェスター大学の研究で、時速64キロで走ることが可能だと分かった。もっとも、恐竜の走る速度に関しては未だ議論が続いており、この速度に関しては今後変わる可能性もある。とは言え、本種がすばしっこい恐竜だったことは疑いようがないだろう。
近縁種(シノサウロプテリクス、ジュラヴェナトルなど)の化石では羽毛の痕跡が残っていた例も多く、本種にも羽毛があったと考えられる。
フィクションにおいて
映画におけるコンプソグナトゥス
映画「ロストワールド・ジュラシックパーク」にも「コンプソグナトゥス・トリアシクス(Compsognathus triassicus)」という架空の種(※ロンギペスではなく、トリアシクスになってることに注意)という設定で登場。
名前が長くて発音しづらいせいか、「コンピー」という愛称がついている。
映画では、ピラニアやグンタイアリのように集団で獲物に襲いかかる動物として描かれている(上記イラストのおっさん=アルマゲドンのレヴと少女が襲われる)。無論、この描写に科学的な根拠は何もなく、映画ならではのフィクション描写と言えよう。
マイケル・クライトンによる小説版では、本種の替わりに、(小説執筆当時によく似た種類とされていた)プロコンプソグナトゥス(Procompsognathus triassicus)が登場している。
歯には幻覚を催す毒があり、恐竜の糞や死骸、怪我をして弱った動物を食べるスカベンジャーとして描かれている。
勿論これらの描写は全てフィクションである。
だが、近年シノルニトサウルスという恐竜が歯に毒を持っていた可能性が指摘され、まったくのフィクションとも言い切れなくなってきている。いずれにせよ、コンプソグナトゥスの歯に毒があるという科学的な根拠は未だ発見されていない。
小説「ジュラシックパーク」の冒頭では映画と同じく少女を襲う場面があり、映画「ロストワールド」の冒頭は、この描写を再現したものである。恐竜の糞を食べる描写は小説版「ロストワールド・ジュラシックパーク2」において、ある重要な役割を果たすこととなる。
小説が世に出た後の研究により、プロコンプソグナトゥスの化石はいくつかの動物の骨格が混ざったキメラだと判明しており、それに配慮してか、映画ではコンプソグナトゥスに差し替えられた。映画での種小名が「ロンギペス」ではなく「トリアシクス」になっているのも、その影響であろう。
ゲームにおけるコンプソグナトゥス
小型恐竜というキャラクター性が扱いやすいためか、ジュラシックパーク関連のゲームにも雑魚キャラとしてよく登場する。プレイヤーがコンピーを操作して、巨大恐竜たちから逃げ続けるゲームもある。
ディノクライシスシリーズにも登場。集団で行動し、時々プレイヤーを攻撃することもあるが、その威力は微々たるものである。また、銃弾一発で死ぬ。ただし、ディノクライシスというゲームの性質上、彼等に対して無駄弾を浪費するのは命取りと言えよう。
基本的に無害な恐竜として扱われているが、鳥のように光る物を盗む性質があると設定されている。この性質により、ゲーム内で少々苦労することも。
「ディノクライシス2」では、人間の居住区に住み着いたため、コンピーを餌にしようとラプトル達まで居住区に呼び寄せる羽目になってしまい、間接的に人間側に被害を与えてしまう様子も描かれている。