「頭文字D」で、登場人物の1人小柏カイが藤原拓海とのバトルにおいて見せた、掟破りの地元走りである。『インのそのまたイン』という表記もあり。
概要
高低差の多い日光いろは坂においては、コーナーのさらに内側をジャンプしてショートカットすることで相手を追い抜くことができる。拓海を先行させてチャンスを覗っていたカイは33コーナーでこのラインを利用してオーバーテイクに成功した。このラインの存在は地元でも知っている者は多くないようで、このバトルに立ち会ったチーム『エンペラー』のリーダー・須藤京一は知っていたが、彼の片腕的存在である岩城清次は知らなかったようである(原作版。アニメ映画版では清次もオーバーテイク時のエンペラーのメンバーからの電話連絡で「何!?小柏がインのそのまたインをついた!?」と言っており、清次のみならずエンペラーメンバーも知っている模様)。
もちろんこれは「道」ではなく「空中に描くライン」であり、つまりは「高低差を利用して車そのものをジャンプさせてショートカットする」ということである。
レース用に車高が極端に下げられたマシンでやれば当然、車体を思い切り強打して壊すリスクは高く、運良く無傷で着地できてもその後コントロールできずに事故る可能性は大。作中では「相手の走りを見てそれをコピーする能力」に長けた拓海がその後のコーナーで真似に成功しているが、実際に使うのは非常に危ない。あくまでフィクションと思い留めるべきである。
なおこれは一見すると、勝利という結果に執着したえげつない必殺技のようであるが、実際には藤原へのリベンジに燃えるカイの父・小柏健が「文太の息子に対して誰の目にも明らかな勝利を手にするには、後ろから抜くサマを見せつけるしか無い」と言って授けたもので、作中ではどちらかというと勝利への過程や見せ方にこだわったやり方として紹介されていた。
余談だが、本編完結後に発売された『頭文字Dの軌跡』ではこの技を「ステアの切れ角が小さく曲がりきれないラリーマシンが選んだライン」と表現されており、曲がらなかった時代のラリーマシンのインカットが元ネタである可能性がある。また、監修を務めた土屋圭市も「この技はすごすぎる」と増刊本にて驚嘆のコメントを記している。