概要
FIM(国際モーターサイクリズム連盟)が管轄する、2輪車における世界最高峰のスプリントレースである。正式な日本名は"ロードレース世界選手権"。かつては"WGP"の名称で開催されていた。
排気量によって何クラスかに分かれているが、一般的に"MotoGP"というと最高峰クラス(MotoGPクラス)のみを指す。
四輪レースのF1と並び称される。例えば業界の最高人気競技・最高峰である点や、市販車を一切由来としないシャシーを用いる点などの共通点が多い。しかし相違点もある。
MotoGPにもF1同様一国一開催の原則があるが、人気の偏りっぷりゆえスペインとイタリアの開催が異常に多い(2020年のスペイン開催は6回もある)。日本でも今はツインリンクもてぎ、過去には鈴鹿などで開催されている。
しかし一番のF1との違いは、なんといっても日本車メーカー無双状態である点だろう。その無双っぷりとは、1975年に初めてYAMAHAが最高峰クラスのライダースチャンピオンを獲得して以降、2007年を除く全ての年でHONDA・YAMAHA・SUZUKIしかチャンピオンマシンになったことがないほどである。2020年現在も上記3メーカーがワークス参戦し、レースを盛り上げている。
レギュレーション
排気量別にクラス分けがされている。
現在では排気量1,000ccの最高峰クラスであるMotoGPクラス、排気量600ccは統一しつつシャシーの開発を各チームで行えるMoto2クラス、排気量250ccで若手ライダーおよびチームの育成を目的としたエントリークラスであるMoto3クラスに別れている。
かつては排気量がクラス名になっており、最高峰の500ccクラスの他、350cc、125cc、80cc、50ccまで存在した。
いずれのクラスも、公道走行が可能な市販モデルとは一切関係のない、サーキット専用設計なのが最大の特徴である。各チーム開発またはメーカーやフレームビルダーが開発し販売しているマシンを購入して、レギュレーションの範囲内で改良を施して参戦する。
ちなみに市販されているスポーツバイクで競うレースとしてスーパーバイク世界選手権(WSBK)と、その下位クラスに相当するスーパースポーツ世界選手権(WSS)という別の世界選手権も存在する。
かつては2ストロークと4ストロークが混在していたが、レギュレーション上の性能調整が今ひとつであったため、殆どのチームが圧倒的にパワーのある2ストロークエンジンを採用した。
しかしながら、パワーバンドが狭く、またある一定の回転数から急激にパワーが上がる(レーシングエンジンと言うことを考慮しても)扱い辛いエンジンが殆どであり、車重130kg、馬力は推定で200馬力以上出るという危険極まりない代物であった。
またエコ意識の高まる21世紀に入ると、排気ガスの汚い2ストロークはよろしくないということで禁止の方向に入り、2011年の125ccクラス廃止を最後に2ストロークは姿を消した。
現在のMotoGPクラスのマシンは、電子制御化が格段に進んでおり、なおかつタイヤやブレーキ、サスペンションなどの性能も大幅に向上したことから、ひと昔前のマシンより格段に安全性が上がっているものの、外殻に覆われていない状態の人間が時速350km以上出る乗り物に全がってスロットル全開で走るというモータースポーツはクレイジーと呼ぶ他に無い。
なお、最高速度で走るとハンドルが左右に振られはじめ、時間の経過とともに振動が激しくなる「ウォブル」という現象が発生するが、どうにかして押さえつけて走るのだという。