何故有名になった?
ドイツ・オーバーハウゼンの水族館「シー・ライフ」で飼育されていたマダコのパウル君はサッカードイツ代表の国際試合の前に「どちらの国が勝利するか」という予言を行う。
予言の方法は餌の入った二つの容器(それぞれにドイツと対戦国の国旗がついている)を与え、先に開けられた箱に付いている国旗の国が勝利するというもの。その予言の的中率は極めて高く、今の段階で外れたのはEURO2008のドイツ対クロアチア戦とドイツ対スペイン戦の二つのみである。
2010年に行われたFIFAワールドカップ南アフリカ大会に関しては、グループリーグのドイツの結果を見事に全的中した頃から地元メディアに注目され後に世界中のメディアにも注目されることになる。ついには準決勝の占いの様子がドイツ中に生中継された。パウル君は準決勝の勝利チームをスペインと予想し、それが見事に的中。ドイツは敗北した。
そのせいで、パウル君はドイツ国民の非難の的となり、
「シーフードサラダにしてやろうか」「パエリアに入れてやる」「サメの水槽に入れてしまえ」
等、ネット上では殺人ならぬ殺蛸予告が起こる事態となった。
水族館側は「予言が的中したのは誠に遺憾である」とお詫びの声明を発し、対戦相手だったスペインのサパテロ首相が「保護チームを派遣する」とコメントするなど、国境を越えた大騒動になった(また他に自国の領海で上がったのだからとイタリア、ナポレオンの流刑地となったエルバ島近海だからとフランスまで乗り出したらしい)。
パウル君は次の3位決定戦でドイツの勝利を予言し、これも見事に的中させた。そして、いよいよ残る決勝戦では、スペインの優勝を予言しこれも見事に的中。これによりFIFAワールドカップの8試合全てを的中させたことになる偉大なタコ様になった。
なお、この8試合を適当に選んだとしても全部を的中するには1/256でパーセントにすると約0.4%という非常に小さい確率を見事に当てたことになるため、どれだけこのタコ様がすごい存在かが窺い知れるのがわかる。
(予選では引き分けの可能性もあるため、実際は0.4%より更に低くなると思われる。)
パウル君のその後
パウル君は2歳半。通常タコの寿命は野生だと1~2年、飼育環境の下だと3年程が限界であるため、予言も今回の決勝が最後と思われていた。
「野生に返すべきだ」との声もあるが、水族館側は寿命まで飼育することを発表している。
パウル君、永眠
2010年10月26日、ドイツ・オーバーハウゼンの水族館の水槽にて死んでいる姿で見つかった。死因は寿命とされており、25日の夜から26日の未明にかけて死んだと思われている。数えて2年と9ヶ月であった。
同水族館のスタッフは、パウル君の死の知らせを聞きショックを受けている状態であるという。
スペイン-ドイツ戦では、ドイツの敗北を予言して熱狂的なドイツのファンの恨みを買い、勝利したスペインの首相が保護チームの派遣を検討を発表をしたり、
イングランドでは2018年のワールドカップの招致の親善大使に選ばれるなど、最後まで人気者だったパウル君の波乱万丈な人生に幕を閉じた。
不滅のパウル君
その4年後、ブラジルワールドカップ特別仕様で日替わりで様々なFlashアニメが掲載されているGoogleのトップページに一枚のFlashアニメが掲載された。
そのFlashと言うのが、「ベルギーとアルジェリアの国旗が描かれた箱を前に、何かを悩んでいる天使の輪が乗っかったタコ」というものである。
国旗が描かれた2つの箱から1つを選ぶタコ・・・もはや言うまでもなくパウル君を元にしたのは明らかであろう。
パウル君はきっと天国でも今回のワールドカップの結果を予言しているのかもしれないだろうね、というGoogleスタッフの粋な計らいを感じさせるのではなかろうか。
関連タグ
マダコ:パウル君が属する種類。
アンドレス・イニエスタ:「スペインでパウル君を胴上げしたいよ」