クルーシオ
くるしめ
解説
魔法族、非魔法族の双方含めたヒトに対して使用することを厳に禁じた3つの許されざる呪文のひとつで磔の呪い。使用するといかなる場合でもアズカバンで終身刑となる。
ただし、闇の魔法使いや犯罪者に対しては、許されるという特例がある。
この呪文をかけられたものは、苦痛に悶え苦しみ、やがて廃人に至る。
作中の表現では、この呪文の前では、どんな拷問器具も及ばないと評価されており、「全身を1000本の灼熱のナイフで刺されるような感覚」を与え、被術者に「死んだ方がマシだ!」と思わせるほどである。
しかしこの呪文の最大の特徴は、一切の身体的外傷を伴わないため、何度かけられても命に別状はない。また呪文を止めれば苦痛も忽ち収まる。詳細な説明がなされていないものの、痛覚そのものに作用する呪文だからと考えられる。
ただし、余りに長時間、この呪文にかけられると被術者は、心的外傷後ストレス障害を負って精神治療を受ける必要があり、最悪の場合は、廃人となってしまう。このような結果は、他の呪文でも長時間かけら続けた場合に見られるが死よりも恐ろしいものだとされている。
非常に強力な呪文であり、軽はずみに唱えても効果を発揮することはなく、『本気』で唱えなければならないとされている。
作中の表現を引用すると「相手を苦しめることを楽しむぐらいでないと真価はでない」と説明され、呪文が不完全な時は、効果が薄く短時間で解けてしまう。
この呪文の性格上、何度も繰り返し使用した魔法使いのクルーシオは、経験の浅い魔法使いが使用した場合より格段に効果を発揮することが分かっている。
もともとは、拷問のために開発され、のちに決闘で相手の動きを完全に抑え込むためなどに使用された。
実際にこの呪文を受けた者は、身動き一つできなくなるものの、生命に支障が出ない。
(もっとも魔法界では、よほどの大怪我であっても治療が間に合うのだが)
また真実薬が入手できない場合や相手を自白させる呪文が信用できない場合、拷問に用いられるようにもなったが、やはり苦痛によって知り得た情報にも同じく信頼がおけないため、あまり有用な使用法とは見做されていない。
そもそも魔法族にとって尋問する前に秘密を知る人間と秘密を知らない人間を区別する方法があり、その上で知りたい情報だけを自白させる方法があるため、拷問の呪文そのものが役に立たないという事情がある。
同じ許されざる呪文のひとつであるアバダケダブラと同様に有効な反対呪文が存在しない。
このため物理的に壁などの障害物を利用するか強固な防御呪文で弾くことができる。
あるいは、術者の詠唱を遮って先にこちらが呪文で先制攻撃するなどの方法が作中で登場している。
作中の使用例
ベラトリックス・レストレンジの十八番。
ネビルの両親、フランクとアリスを精神病院送りにした。
(ただし彼女一人で二人を廃人にしたわけではない)
5巻でハリーは、一度ベラトリックスにこの呪文を怒りのあまり放ったが完全な魔法には、至らなかった。
しかしその後7巻でハリーは、ミネルバ・マクゴナガルを侮辱された際にアミカス・カローに対して本気の怒りで使用し、完全なクルーシオによって制圧した。