小野田公顕
おのだこうけん
概要
警察庁長官官房室長であり、階級は警視監。通称「官房長」。
杉下右京の元上司であり、特命係を作った張本人とも言える人物。
警察内部だけでなく他省庁や政界にもパイプを持つ実力者かつ権力者であり、飄々とした態度の裏で遠大な計画を進める策士。
特命係の最大の味方であり、最大の敵である。
過去、警視庁公安部参事官時代、外交官人質事件に対処するために右京を作戦参謀とした「緊急対策特命係」を結成する。
その際、国家の威信保持の為の早急な事件解決を求めて即時突入を主張する小野田は、人質の安全を最優先して突入命令を受け入れない右京と対立。それにより右京を参謀から解任した。
結果、強行突破の突入によって隊員と人質に死者が発生したが、警察上層部は責任を右京一人に押し付け、島流しにした。
このことに関しては負い目を感じているらしく、「自分を殺してもいい人間」の一人に右京を挙げている。(右京以外は、このときの事件に生き残った二人の隊員、そのうちの一人は自身への殺人未遂で逮捕されている。)
以来、右京とは警戒しつつも利用し合う仲。
政治力を駆使して一旦廃止された特命係を復活させたり、度々の右京や薫への処分を抑える一方、政治絡みの事件では公安警察を使って真実の隠蔽に動くことも多く、しばしば右京と対立していた。
とはいえ、腹黒さが見え隠れする行動の数々はあくまでも国益や警察組織を守る立場からのものであり、私利私欲のために動いたことは一度も無い(実際、神戸尊も彼と右京の対立について『二人の正義の戦い』と評した)。
右京も時に反目こそすれどそのことは理解していたようで、後に彼を「理想の権力者」と語る内閣官房長官・鶴田翁助が保身と権力誇示のため策謀を巡らし殺人教唆まで行った事件では、鶴田に対し「手本にしているつもりかもしれないが、あなたは彼の足元にも及ばない」「あなたが小野田公顕を騙るなど虫唾が走る」といった痛烈な言葉を浴びせている。
劇場版2作目で、警察庁長官の金子文郎と共に、警察庁の警察省への昇格を柱とする警察改革を進めようとし、反対する警視庁幹部の一掃を図るものの、それにより懲戒免職となった警視庁の元生活安全部長:三宅貞夫に恨まれ、駐車場で公用車に乗り込もうとしていたところを待ち伏せされて刺殺されてしまった。小野田の死により、彼が目論んでいた警察庁の省への昇格や、警察主導の日本版CIA構想は白紙となった。
シーズン9最終回の回想シーンが、最後の出番となった。
ただ、その後も小野田に絡んだ事件が何度か発生したり、上記の鶴田をはじめ彼について言及するキャラクターが登場したりするなど、死してなお彼の影響は根強く残っていると言える。特に、彼の遺した「杉下の正義は時に暴走するよ」という台詞は、ストーリー上重要なワードである。
余談
お偉い立場にあるためか、庶民的な店のルールに疎い面がありつつも、よく右京と一緒に食事に出ることが多かった。
回転寿司屋では、一度取りかけた皿や食べ終えた皿をレーンに戻してしまったり(後者の場合「食べた人の唾液が付着するなどの衛生面の問題」だけでなく「正確な合計金額が割り出せない問題」がある)、お茶の作り方が分からなかったり、その度に右京に窘められている。
プライベートでは少なくとも一人の孫がおり、自らの運転で幼稚園に送迎している。その途中で死体を発見した際は特命係の二人を呼んで後始末を押し付けるほどに可愛がっている模様。
「こうけん」という名は通名で、本当の読みは「きみあき」である。しかし、これが判明したのは小野田が死去してしばらくした後のシーズン12最終回での事であり、一般視聴者やファンからの認識としては通名である「こうけん」の方が圧倒的な知名度を持つ。
4人目の”相棒”として登場した冠城亘は、S9最終回の事件において官房長によって召集されていた経歴があった。
Season 20の第3話のラストシーンで彼とそっくりの風貌をした老人が登場するというサプライズがあった(右京も思わず「官房長?」と呟いて振り返ったほどによく似ていた)。
エンディングのクレジットにも岸部一徳の名前があるのみで役名は示されておらず、本人なのか、或いは右京が見た幻か、はたまた他人の空似だったのかは不明。一応、すれ違った後で右京の方を振り向くとう意味深なカットがあったが…。
なお視聴者からは、生前と異なり眼鏡をかけていたことやネクタイの柄、放送局、中の人、放映クールつながり等から「メロンと請求書を届けた帰りのあの人だったのでは?」との声も聞かれた。