プロフィール
名前 | ヘラー (Herrah) |
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性別 | 女性 |
種族 | クモ |
テーマ曲 | 「夢見の守護者」 |
声 | なし |
概要
「獣者」の二つ名を持つ女性にして夢見の守護者の一人。
大きな灰色のクモであり、手足を四つしか持たないハロウネストの民と違ってリアルのクモらしく手足を八つ持っている。
服装は、角に似た頭飾りの上に被った紺色のベールと、六つの目のある仮面。
ヘラーは夢見の守護者の他二人と違いハロウネストの住民ではなく、
むしろ長らくハロウネストと敵関係だったクモの国・暗闇の巣(Deepnest)の女王である。
言うに及ばずともそんな彼女がハロウネストを永続させる役目の夢見の守護者になるまでには結構事情がある。
その経緯についてはあるNPCから聞くことができる。
ヘラーの肉体は暗闇の巣の一番奥に存在する「彼方の村」にて眠る。
彼女はハロウネストを永続させるために目覚めることのない昏睡状態という永遠の眠りに就き、その命は「器」を守る封印となっている。
眠り続ける肉体は強力な魔術に守られ、外から害を成すことが不可能である。
緑の道、安息の地ではモノモンとルリエンと一緒に精神体として表れるが、
二人が封印の解放について口げんかを繰り広げる中、自分の意見を示さない。
オーストラリアの歴史に照らし合わせたいところ
全体的に『Hollow Knight』という作品は、オーストラリアの先住民の文化やイギリスからの植民地化について調べれば一粒で二度美味しい部分が多く、知れば知るほど考察の深みが増していくことだろう。
ヘラーや暗闇の巣の事情に関しては特に以下の要素に注目したい。
二つの文化の触れ合いから生まれた文明
『Hollow Knight』で見る暗闇の巣という国は、先住民のクモと他所から来た糸紡ぎたちの共存から生まれた文明である。
そんな彼らの文明は蛾族やカマキリ族と同様に、ハロウネストの設立よりもずっと昔から存在しているらしいが、糸紡ぎたちとの接触がいつから始まったのかは直接語られることはない。
インドネシアのスラウェシ島南部に居住する民族、マカッサル族という人々は16世紀からオーストラリアの先住民と友好的な関係を築いていたのである。
そんなリアルの歴史を由来にこんな世界観の設定が作られたという説はある。
なおマカッサル族のほとんどはムスリムで、オーストラリアの先住民との接触でごく一部だがイスラム教に改宗した先住民もいたらしく、
ヘラーのベールがヒジャーブに似ているのはそのためではないかと考えるファンもいる。
”獣者”という呼び名に隠された闇
オーストラリアとニュージーランドにはまだ先住民に対する偏見や差別がいまだに強く、
その表しの一つとして貧しい人・特に先住民を野生動物(英語でいうと”ferals”)に譬えて侮辱する心無き者が多くいる。
そんなリアルの背景を知れば、
『Hollow Knight』でハロウネストの住民が蒼白の王を拒絶するクモたちを「獣」と呼ぶ節に連想してしまうのは不思議ではない。
夢見の守護者の中でたった一人異国の女王で先住民の代表であるヘラーを、職業や癖由来の二つ名ではなく「獣者」と呼ばれたのは、もしかしなくともハロウネストの闇が露になっているかもしれない…。
関連タグ
HollowKnight 夢見の守護者 Monomon Lurien
別名・表記ゆれ
以下本編のネタバレあります
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暗闇の巣の裏の事情
元々平民生まれだったヘラーは、貴族生まれの暗闇の巣の王と結ばれてクモの国の女王となったのだ。
しかしそんなシンデレラなストーリーはめでたく終わることはなかった。
種族が違うためだったのか、ヘラーとその夫には子供を授かることはなかった。
その上に夫も早くも亡くなってしまい、ヘラーは独りだけ取り残されてしまったのだ。
そんな彼女は挫けずに夫から託された国を見事に背負い、先住民のクモと糸紡ぎたちをまとめて民を蒼白なる王の魔の手から守り続けた。
しかし汚染という”病”が広がり始めた頃、その被害はハロウネストのみに留まらず洞窟全体を侵していった。
器と夢見の守護者という解決策を練っていた蒼白なる王はそこで好機と見てヘラーに夢見の守護者になることを望んだ。
確かに暗闇の巣は汚染の被害に遭っていた。クモを守るのには汚染をどうにかする他道はなかっただろう。
しかし夢見の守護者になるということは命を投げ捨てるのと同然である。
そしてヘラーには跡継ぎがいなかった。
こんな混沌めいた状況に彼女がいなくなってしまえば、暗闇の巣は簡単にハロウネストの手に落ちてしまうだろう。
蒼白なる王の狙いを見抜いたヘラーは、夢見の守護者になる代わりに王には自分と子供を作る条件を付けた。
それで夢見の守護者になっても跡継ぎという保険を作ることで暗闇の巣に希望を残すことができる。
しかもその跡継ぎが蒼白なる王の血を分けた子供だと広く知られていたら、蒼白の王には暗闇の巣を攻撃しにくくなるだろう。
そう状況を逆転させたヘラーの聡明さと政略の強さが目立つ場面である。
そしてヘラーの出した条件を呑み、妻の合意を得た蒼白なる王はヘラーの望み通り彼女を孕ませた。
二人の交渉と交尾の果てに生まれたのは、後にハロウネストの愛娘と呼ばれるようになるホーネットだったのだ。
ホーネットは母や民の寵愛を受けて育ったが、父の陰謀により多くの時間を共に過ごすことを許されなかった挙句ヘラーが永遠の眠りに就いたことで二人は永遠の別れを早くも迎えてしまった。
しかし助産者がいうには、ヘラーは可愛い娘ができたおかげで自分の選択を後悔することはなかった。
夢見の守護者になったヘラーが優先するのはハロウネストでも義務でもなくホーネットのことである。
つまりモノモンとルリエンの揉め事に口を出さないのは、愛娘が無事ならば他のことはどうでもいいと思っているからである。また彼女にとってハロウネストは敵国であることも関係している。
そんなヘラーの夢の中へと入り込んで彼女の心を読み取ると、
「あの子のためならすべてを捧げる」と、絵に描いたようなお母さんらしい決意を今も抱いていることが判明する。
作り上げた物を永続させるために躊躇なく他人に犠牲を押し付ける蒼白なる王や、民の救出と蒼白なる王への復讐を果たすためなら無関係なヒトを巻き添えにしても知らないラディアンスに比べて、ヘラーは娘と民を守るための犠牲を全て自分一人で背負い込もうとした。
しかし彼女の選択した方針こそが後に娘のホーネットに大きな責任を感じる原因となってしまうのだった。
ヘラーを殺害して現実世界へ戻ると、彼女のベッドのとなりにホーネットが座っており、汚染を終わらせるためとはいえ母の死亡を許してしまったことで苦しんでいる。
またルリエンと同じように、ヘラーの部屋に飾ってあるろうそくは消されてしまう。
ヘラーとホーネットの親子コンビはファンの間ではとても人気で、主人公と同じサイズの幼いホーネットを連れるヘラーの絵や、母を弔うホーネットの絵などがたくさん存在する。