CV：大原さやか
概要
入れ墨を持つ脱獄囚の一人。第50話「殺人ホテルだよ全員集合！！」にて初登場。老夫婦に取りいり札幌世界ホテルを乗っ取って、まんまと女将になりすましていた。
一見すると艶っぽい美女だが、その正体は元医者の老人の男（本名:家永親宣）である。かつて同じ監獄にいた牛山辰馬が騙され熱烈な接吻をかまし、白石由竹も気づかずに告白するほどの化けっぷりである。
偶然ホテルに来た牛山の強い肉体を狙っていた。尚、白石には興味を示さず普通に殺そうとしている。
夜中に部屋に忍び込み、狙っていたアシリパの美しい目を舐めて杉元佐一にぶん殴られたことと白石の爆弾ドジから、殺人ホテルは崩壊へと進んだ。
牛山に助け出されて以降は彼と共に土方一味と行動を共にしていたが、網走監獄で第七師団に拘束され、尾形に頭部を撃たれた杉本を手術した。
以降は第七師団の医師のような立場になっていたが、インカラマッが谷垣の子を妊娠した事で彼女の出産を手伝おうと決意。
しかし、鶴見中尉の命令に背きインカラマッに会いに来た谷垣とインカラマッを排除しようとした月島軍曹から二人を逃がすべく麻酔を彼に注入するが、薬が効く前に撃たれそれが致命傷となり死亡する。
死の間際、自分のような利己的な凶悪犯が身を挺して谷垣達を助けたのは、自分がなる事が叶わない完璧さの象徴である妊婦となったインカラマッのためであり、谷垣へこれから完璧となる=子を産むインカラマッを見逃さないでと諭す。
完璧さを求めた殺人者は、自分の理想の体現である妊娠した女性を救うため、その信念に殉じた。
同物同治
同物同治とは中国の薬膳の「体の不調な部分を治すには食材となる動物の同じ部位を食べるのがいい」という考え方である。家永はこの方法をもってあの美しい外見になりえたらしい。
「効果は抜群ですよお客様……」
同物同治の効果はさだかではないが、家永と対峙した杉元は「そんな都合のいい話があるかよ、自己暗示だろ」と喝破した。（この指摘を受けた時、苛立ちからか家永の目元に老人のしわが現れている）
家永は若さと美しさに異常な執着を見せ、より完璧になるために、殺人ホテルで狙った獲物を殺しては食べを繰り返していた。
自分の身体に足りないものを他人から奪い続けるためにホテルの改築を繰り返し、結果全体図の分からない構造となっている。
ちなみに監獄に収容される前にも、患者を何人も殺して血液を自分に輸血したり、体の一部を食べたりしていた。
崩壊が始まったホテルの瓦礫に押し潰された際
「若い頃は力強くて美しかった 他人から奪ってまで最高の自分にしがみついたの」
「あなたの完璧はいつだった？」
と牛山に彼の執着をもらしていた。この後牛山に力強く助け出される。
家永の完璧への異常な執着は、母を追い求めての事であった。
かつて家永は妊婦だった母に完璧さを見出し、出産し赤子を抱いた母はきっと聖母のように完璧になるのだろう、と期待を抱いていたが家永の母は階段で足を踏み外し流産してしまったという。
それがどこまで影響したかは分からないが、完璧になるはずだった母親が流産によってそれを失った事が、家永の完璧な存在に対する狂信的な執着を生んだのは間違いないだろう。
今の家永の容姿は、当時の彼の母親と瓜二つでどれだけ家永が妊婦だった母親が理想の存在に見えていたかが垣間見える。
モデル
おそらくモデルはシリアルキラーのＨ・Ｈ・ホームズ。
彼が建てた「the World's Fair Hotel」の構造が札幌世界ホテルに取り入れられている。
彼のホテルの設備の例の一部としては
・全室を行き来できる秘密の通路
・覗き穴とスライド式の隠し扉
・落とし穴が仕掛けられた部屋
・拷問や解剖道具完備の地下室
があった。
ただ、Ｈ・Ｈ・ホームズはあくまでホテルのモデルなので、食人についてのモデルは名前繋がりなどからアンドレイ・チカチーロや佐川一政が考えられる。
余談
十四巻ネタ注意
家永は頭を撃たれた杉元の脳の手術を成功させるほどの名医だった。（その際杉元の脳をつまみ食いした模様）趣味の拷問で何人もの頭開手術で培ったと言う。ちょっとずつ脳みそを切り取りまだ意識の残る本人の目の前で生姜醤油で焼いて食べたというなんとも悪趣味極まりない方法で拷問を行なっていた。
杉元の脳をつまみ食いした影響かアシリパへの執着が微妙に強まり、それで杉元につまみ食いした事がバレる。
