AED
えーいーでぃー
詳細はWikipediaや医療系サイトを参照のこと。
概要
心室細動など心臓発作の際に電気ショックを与え、心臓の動きを取り戻させることを目的とした装置である。
よく誤解されているが、あくまでAEDは「異常な動き(=心室細動)をしだした心臓に対し、電気ショックで一時静止をかけて細動を取り除き(=除細動)、正常な拍動の再開を促す」ための機器であり、完全に活動を静止してしまった(=心静止)状態の心臓には効果が無いので注意(この誤解の根底には、「ER」に代表される医療ドラマによく見られる「心停止状態の患者を強力な電気ショックで蘇生させる」描写が少なからず関係していると思われる)。
ざっくりと言えば、こうした「手遅れ」な状態になる手前で「待った」をかけことができるのがAEDである。
なお、AEDはれっきとした医療機器であるが、動作の大半が自動化されているため医師、救急救命士、看護師でない一般人でも使用可能である。
使用方法はいたって簡単で、音声でマニュアルが読み上げられるため、それに従って操作するだけでよい。
電極パッドを胸に貼り付けると自動で心電図を解析して電気ショックを与えるべき状態なのかを調べてくれるので「操作ミスして余計なショックを与えて死なせちゃったらどうしよう」と心配する必要は無い。
また、電気ショック後はAEDが自動停止したように見えるが、実際は"心電図モニター"モードに移行しており、たどり着いた救急医が救命に必要な情報を蓄積し続ている為外さずに心臓マッサージなどの救命処置をし続ける事が望ましいとされている。
前述の通り使用方法は簡単で、全くの素人でも扱えるように設計されてはいるが、とはいえこの記事を読むのと実際に倒れた人にAEDを使用するのとでは、(主に覚悟や心の準備など、精神的に)天地の差があるのも事実であり、いざという時に勇気が出ず躊躇したり、パニックをおこしてしまう可能性も決して無いとは言い切れない。
そのため、現在各所(大きな消防署や赤十字、防災館や各種講習会社など)で取り扱いの講習会が行われているため、そういったものに参加して事前に知識と経験を積んでおくといざというとき躊躇せず行動する勇気が出やすくなる。
また、こうした講習ではAEDと併せて心臓マッサージや人工呼吸などの実習も行えるため、興味があるならば一度は講習を受けてみることをお勧めする(余談だが、消防などの公的組織が主催する講習は安価に受講できる場合が多い)。
(参考動画)
もちろん、これがあったから100%救命できるわけではないが、心臓の場合は何よりも時間との勝負であり、1分遅くなると救命の確率が10%下がると言われている。救急車の通報から到着までの全国平均が8分ちょっとであり、その間にAEDを使用すれば救命の確率は格段にあがる。
ただしあくまで「専門知識の無い一般人にもわかりやすく使用できる」ことに重点を置かれた設計であるため本職の医師や救急救命士が行う措置よりはスピードでやや劣る。そういったプロの場合は逆にAEDを使わない方が早い場合もある。
皇族の高円宮憲仁親王、サッカー選手松田直樹が突然心臓疾患により死亡した出来事をうけてAEDの必要性が多く叫ばれ、公共機関やスポーツチーム、学校などの多くに設置されている。
AEDが登場しはじめた当初は100万円以上の高額なものが珍しくなかったが、知名度の上昇と普及にともない現在では30万ほどの値段になっており、個人購入も可能であり家族に心臓疾患を持つ者がいる家庭では個人所有している場合もある。
ただし電池切れなどの事態は起こりえるため、定期的なメンテナンスやチェックは必要。
また、AED自体が高価な精密機器の塊のためか、盗難に遭うリスクもあるので注意。
事実、公共施設に設置されているAEDが窓口や事務室など、職員が駐在している場所の至近に多く置かれているのは「非常事態にすぐ対処できるようにする」ため以外にも、「盗難防止」にも効果的だからである。
リスク?
女性にAEDを使うと性加害として扱われるのでは?というリスク論が定期的に話題になる。