概要
自発的な呼吸が困難な患者に対する処置であり、肺に気体を送り込むことで呼吸を補助する。
機械を利用する方法も含まれるが、一般に「人工呼吸」という場合は口を合わせて息を肺に送り込むことで換気を促す、マウストゥマウスと呼ばれる方法がよく知られている。
心肺蘇生の項目も参照。
マウストゥマウスの場合は、患者の気道を確保し、鼻をつまみ、もしくは患者の口を救助者の口で覆って息を吹き込む。
後述するフィクションのイメージからキスのように唇を合わせるものと誤解されがちだが、カバのように大口を開けて患者の口全体を包み込むので、患者の口が耳まで裂けてない限り唇はほとんど触れない。
口同士を接するという行為や感染症にかかるリスクから、マウストゥマウスによる人工呼吸には抵抗感を示す人も多い。直接口を接触させなくてすむ専用のシートも存在するが、一般に普及しているとはいえず、また吐瀉物等への防護には不十分とされる。
ハンカチ等でもないよりましなので何か挟んだ方がいい。
近年救急救命において人工呼吸は「行わなくてもよい」というアナウンスがされているが素人向けの大ウソである。人工呼吸の有無により患者の救命率は有意に異なる。
しかしながら人工呼吸にビビッて何もしないよりは胸骨圧迫だけでもやった方がマシなので、一般に対しては人工呼吸の優先度は低めであるかのようなアナウンスがされることが多い。新型コロナの流行後は感染リスクを防ぐため胸骨圧迫とAEDの使用を優先するアナウンスがされている。
フィクションに於いて
唇同士が触れ合うという誤解から、フィクションではキスに通ずるものとして利用されることがある。ラブコメ等において異性間で行われる様子が描かれるほか、ギャグ描写として同性間で実施するさまを描くことも多い。
しかしながら先述したように、実際の人工呼吸に於いては丸のみに出んばかりに大口を開けて上下のあごに食らいつく必要があるため、なかなかロマンチックとは言い難い絵面になってしまう。