日本語としての意味
《広辞苑第七版より引用。多少見やすいように編集。》
①立派で、あるいは美しく近寄り難い。崇高である。神々しい。古事記[上]「汝が命みことに益して―・き神ます」。万葉集[17]「天の下すでに覆ひて降る雪の光を見れば―・くもあるか」
②大事にすべきである。うやまい重んずべきである。万葉集[5]「父母を見れば―・し」。徒然草「―・きひじりの云ひ置きける事を書き付けて」。「―・い生命」「―・い犠牲」
③高い価値がある。めでたくよい。すぐれている。万葉集[3]「極まりて―・きものは酒にしあるらし」。源氏物語[手習]「なにがし僧都とかいひて、いと―・き人住みけり」
④地位が高い。東大寺諷誦文稿「富めりし門の反りて貧しく、―・かりし人家の賤しく成りて」。「―・い身分の人」
《表記》①②のように、尊敬の感じがこもる場合に「尊い」、③④のように、貴重あるいは高貴の意味がこめられる場合に「貴い」を使うことが多い。
オタク的用法
2014年前後になって使われることが増えてきている(と思われる)用語。都市伝説では某信濃町の宗教団体の内部用語が発祥とされている。
pixivのようなネット界隈で使われる場合、「萌える」「妄想が捗る」などと同様に、作品の表現に対して抱く感情のひとつとして使われる。
要は「マジ素晴らしい」「ほぼ完璧」「最高すぎる」という意味である。
三省堂国語辞典第八版(2021年)では、既存項目の「尊い」に俗な意味として語義区分②が追加された。
とうと・い[尊い]たふとい((形))①略②〔俗〕〔アイドルなどが〕とても魅力があって、大切に感じられるようすだ。「新曲がめっちゃ尊い」〔二〇一〇年代半ばからの用法〕
原作およびメディアミックスにおける「この作者(監督)わかってる感」の高い描写や、キャラクター同士のカップリングに対して使われることが多い。