CV:畠中祐
概要
日本軍第七師団歩兵27聯隊の少尉。日露戦争旅順攻囲戦において同隊旗手を務めた。元第七師団長である花沢幸次郎の息子で、尾形百之助は腹違いの兄となる。常に目元が影で隠された状態で描写されている。日露戦争にて戦死。
※以降、単行本17巻ネタバレを含みます※
人物
尾形の回想
「一人っ子育ちで兄弟に憧れていた」とのことで、生前は腹違いの兄である尾形を「兄様(あにさま)」と呼んで慕っていた。
勇作の役職である「旗手」の要件は品行方正・成績優秀・眉目秀麗・長身ということで、作中の描写から彼もその通りの人物だったことが窺える(ちなみに弾除けの験担ぎとして童貞でもあった)。
旅順攻囲戦に出陣した時には小銃すら持たず、戦場で味方を鼓舞する役割を全うしている。
敵兵をまだ一人も殺していないことを尾形に指摘され捕虜の殺害を要求されるが、「敵を殺さないことで偶像となり勇気を与えるのだ」との父・幸次郎の言い付けを守り要求を拒否。
勇作は最後まで尾形の善性を信じ、「人を殺して罪悪感を微塵も感じない人間がこの世にいて良いはずがない」と吐露し、涙ながらに抱擁する。
だが、この発言が尾形の一線を越えるものだったのか、勇作は凶弾に倒れることとなった。
杉元の回想
生家を焼き払い故郷を離れた杉元佐一が東京へと移った際に、陸軍の候補生と喧嘩になった事から菊田軍曹に拾われる。そこで、花沢夫人の計略で結婚させられそうになっていた花沢勇作の童貞を守る為、替え玉となって見合いを行う計画に加担する。
このお見合いは当時団長である勇作の父が、勇作を聯隊旗手にしようとしていた事を阻む為のものであった。家系に運命を左右される勇作を気にとめた杉元は、彼の真意を確かめるようとするも、本意を伝え終わらないうちに退散するはめになる(本誌掲載版では杉元が言葉足らずのまま終わり、単行本版では粗暴にも殴りかかって本音を確かめようとする暴挙にでた)。
別の選択肢がある事を伝えられぬまま杉元は、戦場に倒れた勇作の亡骸を見る事となった。
終盤 尾形の幻覚
その後310話にて彼の顔の影が無くなったが、275話「東京愛物語」にて登場した勇作の母・花沢ヒロから受け継いだと見られる眉、目鼻立ちをしており、父・幸次郎に似た兄とは対照的である。彼の顔が回想ではっきりしていなかったのは「尾形が彼を直視せず目を逸らし続けてきたから」と明かされた。