概要
水戸黄門において数々の悪行を白日の下に晒してもなお、往生際の悪い悪人達との大立ち回りで暴れ回った後にトドメと言わんばかりに格さんが印籠を突き付けて正体を明かすあのシーンの名セリフ。
ぐうの音も出なくなった悪人達を平伏させるカタルシスに至るのである。
実は、最初からこの様な形であった訳では無く、初期では印籠をさりげなく見せて正体を明かしていたりする。
基本的な流れ
具体的に一連の流れを記すとこうなる。
※()の中に入っている言葉は回によっては省略される事がある。
- 光圀一行に悪事を追求されたり、主君である藩主や宿老などの面前で晒されるなど進退窮まった悪人達だが、この時はまだ光圀を一介の老人としか見做していない為、「田舎ジジイ」「老いぼれ」呼ばわりしながら、呼び寄せた手下達に命じて召し捕らせるか、斬り捨てさせる等の強硬手段に打って出ようとする。
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- 混戦の末、悪人一味が大方打ちのめされたり、その回のメインゲストを含めた悪人一味の被害者や、回によってはその土地の藩主や良識派の家老などの重鎮キャラなどが現れて、必要人物が出揃った頃合いに、光圀が「助さん!格さん!(もういいでしょう(里見浩太朗が演じた五代目は「もうよかろう))と」と告げるのを合図に、悪人達に対して、以下の工程で悪人達の悪足掻きを止めにかかる。
格之進「この紋所が目に入らぬかぁ!」
※上のイラストの構図で光圀を中心に助三郎、格之進が並んで印籠を見せる構図が完成する。
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格之進「こちらにおわす御方をどなたと心得る!畏れ多くも先の副将軍、水戸光圀公にあらせられるぞ!」
- 光圀の正体を知り、驚愕・狼狽する悪人一味(&メインゲストやその場に居合わせた人々)。
助三郎「一同、御老公の御前である…頭が高いっ!控えおろう!!」
- 助三郎の一喝を前に、悪人一味とその手下達は手にしていた武具を置き、メインゲストやその場に居合わせた人々とともに「はは~…」と土下座して平伏する。
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- 正体を明かし、その場に集った者達が皆、平伏したところで、光圀は改めて悪人達の悪事を糾弾し、裁きを申し渡す。まさかの水戸の御老公登場という予期せぬ形で企みを潰されてしまった悪人一味の反応は以下の3パターンに分けられる。
- 光圀という絶対的な権力者を前に最早抗う術はないと素直に観念し、「畏れ入り奉りました」や「申し訳ございません」などと負けを認めながら、完全降伏する。
- (主に以前から光圀の存在を知っており、忌々しく思っていた悪役など)現実を受け入れられずに逆ギレ・自暴自棄を起こし、「最早、これまで!!」等の台詞で斬りかかる。当然、すぐに助三郎と格之進(場合によってはその回のメインゲストの武士など)が「痴れ者(慮外者)が!」と一喝されながら、呆気なく返り討ちにされる(初期から中期にかけてはそのまま「斬り捨て御免!」な結末になっていたが、後期は滅多なことがない限りは、基本的に刃を飛ばす等して無力化した後に、強制的に引っ立てて退場させるか、進退窮まった悪人がそのまま切腹するというのが主なパターンとなっていた。
- 尚も往生際悪く「恐れながら申し上げます…某、〇〇(自分が犯した悪事)など、一切(悪巧みは)身に覚え(関わり)がございません」等と、しらばっくれるのは勿論の事、「全てはこの者達(共犯者や手下一味)が勝手に行った事であり、私は知らぬ内に巻き込まれただけにございます」などと全ての悪事を共謀者に押し付けてまでも罪から逃れようととするが、光圀一行はしっかり証拠を揃えている為、罪から逃れられる事は、ほぼ皆無である。罪から逃れられないと悟った悪人は上述の観念するか、刃を向けるかのどちらかのパターンに至る。
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- 漸く罪を認めた悪人一味に対し、光圀から「追って藩公より厳しき沙汰があるであろう(厳しき沙汰があるものと)、覚悟いたせ」または「藩公(藩主)〇〇殿に報告し、厳しく罰して頂く故、左様心得よ」とこの先相応の報いが待ち受けている事を示唆した宣告を下してから、「この者たちを引っ立て!」と指示を出す。すると、ついさっきまで悪人一味に従っていたはずの手下達が悪人達を取り押さえ、連行していく。
余談
基本的には上述のパターンで進行していく、水戸黄門の山場といえるクライマックス『印籠シーン』であるが、当然回によって台詞回し(助さん格さんの担当する台詞が交換される、等)や、行動パターンなど多少の差が生じる。
実は印籠を掲げるシーンを提案したのは初代助さんを演じた杉良太郎である。また、印籠を掲げたのは格さん以外にも弥七や果ては八兵衛も経験あり(ただし、そのうちの一回はあまりにカッコつかないものだった為、格さんの判断でやり直されてしまった)。
第43部最終回スペシャルでは印籠を掲げる前に歴代格さん(を演じた面々)が印籠をパスしていくという粋な演出があった。
関連項目
余の顔を見忘れたか:別の長寿時代劇シリーズにおける決め台詞。