※この記事はポケットモンスタースカーレット・バイオレットの終盤のストーリーのネタバレが記されています。
概要
ゲーム『ポケットモンスタースカーレット・バイオレット』のエピソードのひとつ。
このエピソードは、チャンピオンロード、レジェンドルート、スターダスト★ストリートの3つ全てをクリアしなければ開始できない。本ゲームの最終章とも言えるルートである。
ペパー先輩の親であるオーリム博士/フトゥー博士から、レジェンドルートの最後でスカーレットブック/バイオレットブックを持ってパルデアの大穴(エリアゼロ)の奥底の研究室まで来て欲しいと依頼を受けた主人公。
ペパーが呼んだ委員長のネモ、クラベル校長から紹介を受けたボタンと4人でエリアゼロへと向かうことになる。
エリアゼロに突入
ゼロゲートに集合すると、博士から通信が入り、コライドン/ミライドンを使ってエリアゼロに降りるように言われる。エレベーターを使って滑空開始地点まで降りると、何故かコライドン/ミライドンは穴の中を覗き込み嫌がる様子を見せるが…。
このときのコライドン/ミライドンが説得され、勇気を出して4人を乗せ、エリアゼロに滑空するシーンは必見である。
ゼロラボロック解除作業
博士から、ゼロラボに入れるようにするため、四つの観測ユニット内にあるゼロラボのロックを解いて欲しいと頼まれる。
ところがエリア内では、コライドン/ミライドンはボールに戻って出てこなくなってしまい、4人は徒歩で各ユニットを探すことになる。その道中では、通常エリアでは見かけない最終進化を遂げたポケモンや、現代のポケモンとは似て非なる姿をしたポケモンが多数生息しており、それらを掻い潜りながら進んでいく。進んでいくうちに、主人公以外の3人の家庭事情や内面が掘り下げられる会話が聞ける。
しばらくして辿り着ける第4観測ユニットは、第1〜3までと打って変わってテラスタルの元と思われる結晶体が多数確認できる洞窟内にあるが、なぜかこの観測ユニットだけは酷く損壊している。 このことが意味することとは…。
やがて、穴の奥底にあったゼロラボの入り口でロックを解除したところ、各ユニット前で襲われた見たこともないポケモンたちが多数ラボ内からなだれ出てきて囲まれてしまう。なんとか3人と協力し、コライドン/ミライドンと共に激励の言葉を受けた主人公だけが先にゼロラボ内に入ることに。
博士が告げる真実
中に入った主人公を待ち受けていたのは、頭を下げて眠るように座っていたオーリム博士/フトゥー博士。
「スリープモードを解除」
主人公と直接出会い、とんでもない真実を明かした。
「キミたちに謝罪しなければいけないことがある」
「ワタシ/ボクは本物のオーリム博士/フトゥー博士ではない」
「ワタシ/ボクは博士が自身の知識と記憶をもとに作った人工知能」
「…AIで動くロボットなのだ」
これまで主人公が画面越し・通信で話していたのは本物の博士ではなく、AIで動くロボットであること、さらには本物の博士は第4観測ユニットで発生した事故から主人公と出会ったコライドン/ミライドンを庇ったことで死亡していたことが判明する。
(本編では「いなくなってしまった」等と表現はややぼかされている。)
4人をゼロラボまで呼び寄せた目的は、彼/彼女の本体=本物の博士が起動させてしまったタイムマシンを停止させることだった。ところが、停止のカギとなっていたスカーレットブック/バイオレットブックはエリアゼロの外(ペパーが持ち出していた)にあり、AI自身はエリアゼロの外には出られず、さらにいえば本体の博士によって、AI自身にタイムマシンを停止させないためのプログラムを組み込まれており、停止させようとした人間を襲ってしまうため、より強いトレーナーに協力してもらう必要があったのだ。
「キミとポケモンの絆なら勝利できると信じているよ」
「どうかワタシ/ボクを倒してくれ」
タイムマシン停止のため、スカーレットブック/バイオレットブックを台座に置くと、予告通り、タイムマシンを停止させないためのただの戦闘ロボットとなり、これまでエリア内にいた特殊なポケモンたちを使って襲ってくる。
オーリムAI(スカーレット)
- チヲハウハネ
- アラブルタケ
- サケブシッポ
- スナノケガワ
- ハバタクカミ
- トドロクツキ
フトゥーAI(バイオレット)
- テツノドクガ
- テツノツツミ
- テツノカイナ
- テツノコウベ
- テツノイバラ
- テツノブジン
博士に勝つとタイムマシンが一旦停止され、遅れてきた3人が駆けつけ、主人公と同様に真実を知るが…
「今マで ありがトう」
「ようヤく タいムマシんヲ」
「彼女/彼ノ 意思ヲ 止めルこトが デきタ」
「さミしイ 思い 今マで すマナい さセて ぺp……」
「セキュリティに異常発生」
「セキュリティに異常発生」
「障害を取り除くため 楽園防衛プログラムを起動します」
考察
オーリムAIおよびフトゥーAIの1戦目にて、タイムマシンからマスターボールが転送され、その中のパラドックスポケモンを落としてバトルに利用している(高低差のある位置に立つことで、主人公などの人間とも相容れない状況を表現しているとも考えられる)。
2戦目の楽園防衛プログラムもマスターボールに入れたミライドン/コライドンを使用している他、そのプログラム自体が起動することをAIすら知らなかった。
また、AIを作るまでの過程においてオーリム博士およびフトゥー博士が経済的に孤立していったことが明かされている。
以上から博士の思想は自身を模したAIも含めた現代に生きる人間やポケモンはおろか、古代や未来のポケモンの意思すら無視した独善的な側面が表現されているものと思われる。
一方、AIに対して2重に防衛プログラムを用意していたことはAIを信用しなかったとも言えるし、古代や未来のポケモンの共存を夢見る一方でAIによって妨害される可能性を考慮していた、つまり自分ならば止める可能性を信じていたとも言える。