Baal Peor、בַעַל-פְּעוֹר
本項では悪魔のベルフェゴールについて記述する。
『家庭教師ヒットマンREBORN!』のベルフェゴールについては「ベルフェゴール(リボーン)」を参照。
概要
ベルフェゴール(Belphegor)はユダヤ、キリスト教に伝わる悪魔で、七つの大罪において怠惰を司るといわれる。この“ベルフェゴール”の名はバアル・ペオル(Baal Peor、בַעַל-פְּעוֹר)のギリシャ語またはラテン語読みと言われる。
その前身はモアブ人の神バアル・ペオル(ペオルのバアル)という存在である。ペオルは死海北部にある“ペオル山”を意味するとも、儀式において利用した洞窟や供物を投げ入れた場所を表す“裂け目、割れ目”を意味するとも言われ、その儀式は淫らな行為をともなったといわれる。
旧約聖書の“民数記”第25章では、イスラエルの民がシティムに滞在した際にモアブ人の娘に誘惑された多くの民がバアル・ペオルなど異教の神々に生贄を捧げ崇拝した。これに激怒した神はモーセにバアル・ペオルを崇拝した裏切り者を全て処刑させ、その遺体を白日の下に晒させた。神の怒りはこれでも収まらず疫病をもたらして二万四千の命を奪い、最後にミディアン人の女性を連れてきたイスラエル人をエルアザルが殺したことで終息する
なお、このバアル・ペオルの一件は「申命記」、「ヨシュア記」など後の聖書内の記述で異教神を崇拝した者の末路としてたびたび言及されている。
以上の聖書内の記述から、ベルフェゴールは男を魅了する妖艶な美女の姿で現れる好色の罪をもたらす悪魔とされ、さらに占星術では性愛を司る金星の悪魔とみなされる。
また、中世のグリモワールに発明を手助けする堕天使と紹介されており、便利な発明品を人間に与えることで堕落させるという怠惰の悪魔にふさわしい力を持つ。
現在一般的に流布する、二本角に尾を備える車輪のついたイス式便器に腰かけた悪鬼のイメージはコラン・ド・プランシーの「地獄の辞典」が初出であり、便器が描かれた理由はユダヤ教のラビが汚らしい排泄物こそがベルフェゴールにふさわしい奉献物だと説いたからだといわれる。
中世ヨーロッパの伝説では、悪魔達の議論に決着をつける為(またはルシファーの命令)にベルフェゴールが「幸福な結婚の実在」を地上に赴いて探すというものがあり、地上における様々な観察の結果彼は幸福な結婚は夢物語に過ぎないことを確認する。さらに人間という存在は仲良く暮らす様にできておらず、これは神の被造物として重大な欠陥であるとベルフェゴールはしめくくる。
以上の逸話からベルフェゴールの名は“人間嫌い”を指し、「不可能な企て」を表す“ベルフェゴールの探求”という諺が生まれたという。
19世紀の魔術師エリファス・レヴィはベルフェゴールをモアブ人の神ケモシやアモン人の神モロクと同一視しており、さらにはインド神話のルドラ(シヴァ)と関連付けている。
ジョン・ミルトンの「失楽園」にもベルフェゴールは登場するが、ケモシの紹介文で“別のペオル”と称するくだりがある。
~BELREGOR~
※ベルセルクのゾッドではない、ゾッドより上位の存在。(『サタン』冠)