※最新ストーリーまでのネタバレ注意
お主も人間だと思うでござるよ
—— 記憶の中の丹羽の言葉
概要
国崩とは、原神のキャラクター「スカラマシュ」の個人名(自称)。
雷電影が付けた名前でも、道中に使っていた名前でもなく、彼の放浪が一度終わった後に自ら名乗った名前である。
本項では人形、傾奇者、そして国崩までの、本編で語られなかった詳細について解説する。
Var3.1ではビジュアルが公開され、白と紫を基調とした着物であることが判明した。
現在は挑発的で高圧的な彼だが、かつては人々に対して好意や感謝の気持ちばかりを抱いていた。
また現在も治安の悪さを心配して声をかけてきた老婆に心からの笑顔で感謝するなど、普段の傲慢な振る舞いからは考えられないような面も見られる。
彼の性格が歪んだのは博士による恐ろしき実験、そして三度に及んだ「裏切り」によるものなのである。
「国崩」を名乗るまでの歴史
母の裏切り
500年ほど前、"不変の永遠"を目指す雷電影(雷神バアルゼブル)により、「神の心」の器として一体の人形が造られた。
しかし彼は夢の中で涙を流した事で、影により器物としても人間としても脆いと判断される。
無数の試作品を放棄してきたが、涙を流す姿を見て情が生まれたのか、影は彼を殺せずに、神無塚にある「借景の館」に封印する事を選んだ。
この事を人形は後に創造者であり母である影が「力に左右され役立たずの僕を捨てた」と憎み、彼の人生における最初の"裏切り"とした。
影は彼を封印する際、憐憫により彼の身分を表す物証の羽を置く。
しかしこれは後に彼を苦しめるものとなる…
家族の裏切り
その後、「未知なるエラー」により意識の封印がとけ、辺りを彷徨うこととなる。
そして偶然借景ノ館に立ち入った「桂木」に拾われ、現地の人と交流しばらくたたら砂で喜び一時を過ごす。
物証により彼の身分を知った桂木は、それについて説明すると共に、それを誤魔化すため名椎の浜で見つけたと語った。
人としての常識がなかった彼はここで人間としての振る舞いをひとつひとつ習っていった。
桂木、御輿長正、丹羽、宮崎… たたら砂の人々は彼を仲間として接し、彼は人々に「傾奇者」と呼ばれ、その後しばらくは平和に過ごしていた。
当時のたたら砂の目付「御輿長正」が大たたら長正という刀を完成させた際には皆でそれを祝っており、のちに国崩と呼ばれるかぶき者も皆と共に剣舞を踊った。
ある日フォンテーヌの「エッシャー」が来ると、「御影炉心」を設置した。
それは確かに効率的だが、一方で有毒ガスなどで死傷者が増えていった。
職人だけでは手がつけられなくなり、助けを求め鳴神島に人を送るも誰1人として帰ってこなかった。
そして最後の希望として、特別な身分をもつ傾奇者が天守閣へと向かった。
しかしその時すでに「雷電将軍」の名は創造者を指すものではなく、彼女ではない人形を指す言葉となっており、何度もその謁見を拒否された。彼は代わりに金の羽を取り出して、八重神子との会話に成功する。
一方その間たたら砂では、真相を見抜いた丹羽がエッシャーを問いただす。エッシャーは自身がファトゥスの「博士」であり、稲妻を混乱に陥れ、人形の傾奇者に対する実験を行うつもりだと語った。
エッシャーこと博士は丹羽を殺害し、その心臓を抉って保護装置に入れた。
丹羽の死は博士の偽造によって失踪とされ、残された心臓は丹羽が部下を殺してその心臓を入れたことに偽造された。
たたら砂に戻った彼は、エッシャーに「丹羽が職務怠慢を自認し、罪を恐れて家族を連れて逃亡したそうだ」と偽りの説明を受け、丹羽からの贈りものと称された装置を受け取った。
彼は装置を持って溶炉内部に向かい、そしてその汚れを治した後、装置に何が入っているか尋ねた。
職人がその装置を開け…それが丹羽から彼に対する贈り物… 彼が長く求めた「心臓」であると語った。
丹羽の真相を知らない彼は、一連の事から丹羽が自分やたたら砂を裏切り、たたら砂の人々も自分を犠牲にしようとしたと思い、その心臓が入った装置を叩きつけてたたら砂を後にした。
彼は後に「恐怖に縛られ、僕を忌まわしいものと見なした」と言い、自身が受けた2度目の裏切りだとした。
失踪した(事になっている)丹羽の責任を負うため、第二責任者である長正が死んで責任を負う事になった。
しかし彼に御輿家の汚名を濯ぐ使命があると知っており、彼に恩がある桂木は、自らが罰を代わりに受けると言った。
長正は桂木を愛刀の大たたら長正で斬った。桂木を斬った大たたら長正は、怒りに任せて溶炉で溶かされてしまった。
桂木の死はたたら砂の他の労働者も意義を唱えており、その1人である望は溶けた大たたら長正を回収して火傷で死んだ。また金次郎は、溶けた大たたら長正と望が描いた絵を武器庫に隠した。
(実際に武器庫は存在し、たたら砂各地にある鍵を回収する事で武器庫を開けると、中の宝箱から桂木斬長正の図譜を獲得できる。またこの武器庫には3体の遺跡機兵がいる)
「お主は人形などではない、人間なのだ。違いと言えば、心が一つ少ないだけではないか。」
——丹羽の言葉
「…彼と共に『大たたら長正』を作った喜びを忘れたくない。あの夜に、無名のかぶき者と桂木と剣舞を振舞った喜びを…」
ーー古い手帳
同類の裏切り
たたら砂を出た後、彼は親が死んだ名も無き子供と暮らした。子供の親はたたら砂の労働者であり、その病気で親を亡くし子供自身も病気だったのだ。
名も家族もない彼らは「家族のように一緒に暮らす」という約束を交わし、一緒に名椎の浜付近のある家で暮らした。
子供は彼を模した小さな人形を作った。この人形はこの時点での彼の命の星座となっている。
そして彼は子供に借景ノ館に案内し、自身の身の上を説明した。そして彼が子供に対し「心が欲しい」と話すと、子どもは童話の「おもちゃの兵隊さん」を話した。
心がないおもちゃは感情を持ち、炎で焼かれるもその灰燼から心が生まれる…
しかし、子供も病気ですぐに死んでしまった。彼が食糧や捨てられた家具を探し帰宅すると、もうその子供は死んでいた。
「家族のように一緒に暮らす」という約束を破り、3度も裏切られた彼は、涙を流しながら自身が生まれてきた意味を否定した。
子供の遺体を火葬するため家に火をつけ、その遺体と小さな人形を燃やした。
その時、未来の自分が現れた…
同類の死を以て、三度の裏切りに遭った彼は藁で編んだ笠を被り、誰にも心を開く事なく、稲妻を離れ100年以上も放浪した。
国崩
彼は復讐のため、「雷電五箇伝」を滅ぼしていく。この復讐はファデュイとしてであり、他の任務の支援でありながら私情を含むものである。
経津、百目、千手を滅ぼし、次の「一心」である楓原家を追い詰めた時、その当主の顔を見て攻撃を止める。その当主は丹羽の子孫である「楓原義慶」、旧姓「丹羽義慶」であった。
彼は義慶にその事を尋ね事実を知ると、深く考え込んだのち、この言葉を残した。
彼女に告げよ、我が名は「国崩」である。
ファトゥス第6位「散兵」
現在になり、「散兵」としてモンドに落ちた隕石の調査任務に赴く。
稲妻にて基地に乗りこんだ旅人を返り討ちにし、八重神子との取引で神の心を手に入れる。
かねてより渇望していた「心」を手に入れた彼は失踪する...
「神」
彼は「博士」とともにスメール教令院に向かい、その設備を利用して神となった。
「淑女」を弔う葬儀に欠席し、「隊長」が彼の様子を「博士」に尋ねていた。その際博士は彼について「神の叡智を征服した」と語っている。
そして正真正銘の「神」となった彼は、自我を捨ててでも神になろうとした。
「僕は「神」になるために生まれた。今までの人生は、すべてが無意味な「過程」に過ぎない。」
「紙と同じことだよ…紙自身は意味をなさない。重要なのは…そこに書かれた内容の方だろう?」
「今までの「僕」が残したのは、苦痛にまみれた記憶と人としてのくだらない感情だけ。この上なく愚かで、とっとと終わるべきものさ。」
ーースカラマシュ
「今この身で振り返れば、「国崩」などという存在はあまりにも小さく、醜い。」
ーー七葉寂照秘密主
確かに彼は強大な力を持っていたが、スメールの知恵、そしてマハールッカデヴァタの遺産によって虚栄が打ち砕かれ、神の手によって再び「心」を奪われた。
「待て! それだけは…神の心だけは…!」
「それは僕のだぞ!させるものか…!」
「絶対に… 絶対に戻るものか!」
正機の神と繋がる生命維持装置が壊れ、彼は再び長い眠りにつき落下した。
現草神ブエルは、意識を失った彼を回収し、監視のために自身の手中に置いた。
一方博士は「被験体」の結果に失望し、自ら代価を払って神の心を回収した。
放浪者
伽藍に落ちて
ブエルの指示で世界樹に入り、旅人の肉親に関する情報を探していた。その時「無名のデータ」から丹羽の真相を知った。
自身がいなければ誰も死ななかったと思った彼は、世界樹から「散兵」と「傾奇者」を削除した。
しかしその後の世界で結果は変わらず、ただその過程の記録や記憶のみが別の人間によって置き換えられた。博士がたたら砂で起こした事件は起こり、丹羽も桂木も子供も死んだ歴史は変えられず、傾奇者、国崩、散兵、七葉寂照秘密主の記録は消えたものの彼に該当する存在も存在しており、彼は世界樹改竄前の全ての記憶を失った状態でスメールシティーに居た。
記憶がない彼は優しい声色で敬語を使い、「放浪者」と名乗っていた。何処かで手に入れたスメール風の服を身にまとい、胸には金の輪と羽の物証が付けられている。
彼を見つけた旅人は、彼をナヒーダの元へと連れて行った。そして記憶のバックアップを元に夢境を形成した。そこで彼は自分の「前生」を見て、課せられた非難と制裁を受け入れる事を選んだ。
彼はブエルに人と人形に違いがないかと問い、その答えを聞くと「過去の経験の集積」という人間の法則に従って「自分」となることを選択した。
「彼ら」の記憶がひとつとなり、雷霆のように行動した瞬間… 彼の意思と選択は神の視線へも届いた。
これほど強い願望を持った者が、それでも心がないと言えるのだろうか?
その後
心なき者は如何にして人となる?
心なき者は人に成り難し。
—— 彼が落とした紙
心ある者が人ならば、彼は人とは呼べぬ者である。
心なき者にも悲しみと喜び、苦しみと愉悦があるならば、彼はもっとも人に似た人形である。
—— キャラクター紹介
「かつて、あなたは憧れの『心』を手に入れた。」
「しかし、それは嘘やごまかしのための道具に過ぎない。」
「だが今は、あなたがやっと自分だけの物を手に入れる。」
「この偽りの結合の体も、日の目を見る権力を得られる。」
「しかし、これらはただのえいがのゆめ。」
「やがて、大地の苦しみの嘆きの中に散っていく…」
———華館夢醒形骸記
散兵、国崩、そして傾奇者。彼はそれらの名を手放し「放浪者」となった。
そして彼はある日、ある故人を弔うためたたら砂を訪れた。
補足
- イベント「華やぐ紫苑の庭」(光華容彩祭)でスカラマシュが国崩であることが確定し、聖遺物「華館夢醒形骸記」がスカラマシュの聖遺物であることが公式に認められた
- Ver3.2では本人もこの名である事を認める発言をしている
- 華館夢醒形骸記の描写と一致する事から「古い手紙」「超越の盃」「借景ノ館」なども彼の描写である事が確定し、また「神楽の真意」における傾奇者も彼である事がわかる。
- 古い手紙に描画された人物、超越の盃などはVar3.1のムービーと一致する。
- ムービー「『神』意」にて、桂木らしき人物が映像に映っている。
- 彼らは刀鍛造を行なっている。
- この赤い特徴的な髪のメッシュは…
- Ver3.3のPVでは、桂木や桂木斬長正を持つ成人男性(おそらく長正)が映っている…
- 楓原家の末裔「楓原万葉」は、自らの家系が「国崩」が要因となって滅んだ事を知る。しかしそれについて彼を咎める事はしないと語る。その考えは金リンゴ群島で過去をより鮮明に見てもなお同じであった。
- 御輿長正は本来は真面目であり、御輿家復興のために尽力していた。幼少期に義母「御輿千代」が魔物と化し雷電将軍に斬られ、さらに義兄が失踪したため家を継いだ。
たたら砂では母の件により完全には信頼されていなかった。なお現在も御輿家は残っており、稲妻城と九条陣営にそれぞれNPCが1人いる。
- 楓原家、丹羽家、そして赤目家は経津伝出身の者に習い「一心三作」を作った。これが一心伝の始まりである。丹羽家はおそらく桂木の家系、そして赤目家は楓原家の配下になるも国崩の事件で罪を犯しスネージナヤに逃亡した。
- 借景の館は「神無塚」にあり、その出入り口からは少年モデルでは天守閣を見ることができる。神無塚は神の加護がない浜という意味。
- バラードとはヨーロッパの古い詩であり、スカラマシュの英語名コードネーム「Balladeer」はここから来ている。夢醒の瓢箪に書かれているように、彼の人生も三部作の物語としていつか語られるのかもしれない。しかし、今は彼の第三幕がまだ語られている最中だ。
- 元ネタは「国崩し」大伴黒主。歌舞伎では国を転覆させ我が物とする役として描かれているが、彼自身もその意味を知った上で自らその名を付けている。光華容彩祭の元ネタより、大伴黒主がモデルとなっている事がわかる。
- 華館夢醒形骸記の内容がスカラマシュであることは中国語声優の鹿暗kana氏公認である。