岐兵馬
くなとひょうま
概要
漫画『もののがたり』の登場人物であり、本編の主人公。
世に蔓延る意思と命を持つようになった器物である付喪神を封印する組織「賽眼(さいのめ)」に所属する青年。21歳。
その中でも「御三家」と呼ばれる名家の一つである岐家の出身で、祖父の後を継ぐ次期当主とされている。
経歴・人物
幼少の頃に、ある付喪神によって親代わりだった兄と姉を目の前で惨殺された(しかもこの付喪神は元々は保護の対象であり騙し討ちで2人を殺害した)事から、付喪神全般を忌み嫌っており、そのため極力荒事を避ける祖父の造兵とは対照に、付喪神は発見次第に即封印すべきと考えている。
しかし、そうした姿勢を見かねた造兵の手引きにより、付喪神と共に暮らしその身に彼らと同じ稀人(まれびと:付喪神の魂)を宿す少女長月ぼたんの家に、彼女の護衛という名目で居候することとなる。
一言で言えば武士のような性格で、非常に生真面目かつ礼儀正しく自他共に厳格であり、そのため頑固で融通が利かない。また、かなりの努力家であり、暇さえあれば常に筋トレや走り込みをしているストイックな面もある。
口調は丁寧だが堅めで一人称は「自分」。動揺すると時代劇で使われる古めかしい喋り方になる癖がある。
基本的に表情はあまり変わらないが、人に害を成した付喪神を相手にした際は、内に秘めた憎悪を爆発させて鬼のような表情を見せる。また、長月家の付喪神達により、(勝手に)ぼたんの未来の旦那として迎えられた際には当初は冗談のつもりと思ったのか、無関心であったが、2人きりの時に他人から「許嫁」と言われた際には揃って動揺して赤面すると言った具合に、徐々に彼女を異性として意識するような描写が見られている。
能力
正式に賽眼となる以前の12歳の頃から独自に実戦を行っており、姉と兄を失って以来ずっと修行に打ち込み、青春の全てをほぼ修行と付喪神狩りに費やしてきた。
そのため実力は非常に高く、京都三大付喪神に並ぶ東北最強の付喪神である『奥羽の鬼瓦(おううのおにがわら)』を18歳の時に単身で討ち滅ぼすという偉業を成している。
戦いでは賽眼が基本的に使用する符術だけでなく、岐家の秘伝である『引手』を使った近接戦闘を得意としている。
- 引手(ひきて)
岐家で代々引き継がれている賽眼の武具で、襖に付いている引手の形をしている。これは付喪神の魂である稀人たちが住む『常世』と人間の住む『現世』とを、文字通り襖を開く様に開け閉めでき、付喪神の体や結界を斬り裂いて消滅させることができる。岐家の賽眼はこれを戦輪(チャクラム)の様に使用した近接戦を行うため、体術に優れた者が多い。