概要
「月刊Asuka」創刊当初の1985年8月号から1995年2月号まで連載された漫画作品である。
主人公・九楽あすかを中心に描かれる作品。
東京を舞台に、謎の組織「全中裏(東京都内中学校裏番組織)」が支配する裏社会で生きる少女を中心とした物語が展開する。
本編終了後も外伝や続編が発表されている。作中人物の年齢を変える事なく80年代から現代へとシフトし、登場するアイテムや文化も大きく様変わりしている。
登場人物
主要人物
九楽あすか
主人公。イジメによる自殺未遂の後、「生きる力」を見出す為に戦う事を覚えた。一目見たら忘れられない美少女。元全中裏幹部「裏番十人衆」側近・左(悪)。
堂本美子(ミコ)
あすかの親友。過去はお嬢様だったが腹違いの姉がいると知りヤサぐれ、蘭塾送りになった。「泣くとハの字になる眉」を剃り落としている。表番候補だったが辞退した。意外とミーハー。
鬼島陽湖(ヨーコ)
ミコの腹違いの姉。母の死後叔母に引き取られるが冷遇され、少女ゲリラとなる。トルエン密売や自動車窃盗などの犯罪を繰り返して荒稼ぎし、暴走族や暴力団を敵に回した。
あすかの親友となるが、彼女をスケープゴートにして行方をくらませる。あすかが強い愛憎を抱く唯一無二の存在。
全中裏
東京都内中学校裏番組織。
東京23区の13~18歳の少女を構成員とし、全容は不明ながら大規模な組織。薬物は絶対禁止で、トルエン密売で場を荒らしたヨーコを厳しく追及した。
構成員全員が不良少女という訳ではなく、政財界に通じる良家の令嬢も少なくない。
総帥の下に幹部「裏番十人衆」が置かれ、うち4名が東西南北の4つに区切られたエリアを担当。エリアごとに表番が統括するが、これは裏番の配下となる。
23区にはエリアマスターが置かれ、兵隊(ベイビー・チック)と呼ばれる構成員をまとめる。他にも頭脳集団「HIBARI-SS」が存在し、組織の資金を獲得する大規模プロジェクトなどを指揮。暴走族や暴力団などと張り合う一方、ヤクザ顔負けの権力や縄張りを巡った抗争が描写される。
ひばり
全中裏総帥。縦ロールにドレス姿。正体は不明だが、絶大な権力と不思議な力を持つ。
あすかを庇護・寵愛し、真珠のピアスの片方を授けた。当初はその庇護を受け入れていたあすかだったが、傷つく自分を案じる両親の為、自立を決意して決別を選んだ。
調和を重んじる一方、あすかが抜けた後を空位のままにし、カゲボウシ(後述)をつけたままにしておくなど、彼女には強く執着している。
春日
全中裏幹部「裏番十人衆」側近・右(善)。
ひばりの意を受け、独断で兵隊を動かしたあすかに制裁を行うが……
紅
全中裏幹部「裏番十人衆」「三色」。鴉を手なづけて使役する。
あすかに因縁をつけて返り討ちに会い、自慢の顔に傷をつけられた為に恨みを抱いている。
葵
全中裏幹部「裏番十人衆」「三色」。姉・次・末の三姉妹。
カミソリやカッターを武器とする「かまいたち」。古風な物言いを好む。普段は意外と目立たない。
朱
全中裏幹部「裏番十人衆」「三色」。
更生塾「洗心道場」通称「蘭塾」総支配。後に失態をとがめられ更迭された。
天使
全中裏幹部「裏番十人衆」「天」。男装の美少女で、幼さ故の残忍な顔を見せる。
資金調達イベント「ハレルヤ2Y」にて活動。男性アイドルグループ「皇子5」を演じる。
神(ジーザス)
全中裏幹部「裏番十人衆」「天」。聖人の名を冠した親衛隊を擁する。
弥勒
全中裏幹部「裏番十人衆」「天」。神将の名を冠した親衛隊を擁する。
赤鬼
青鬼
全中裏幹部「裏番十人衆」「地」。
封を結んだ刀を所持し、「小鬼」と呼ばれる配下を従える。
西区表番
姫・水・火・風・林・山の「六傑」で構成される。西区裏番だったあすかを慕っており、独断で力を貸した。
懲罰部隊による制裁後、全中裏に深く通じる姫と水以外は組織を抜ける事が許されて引退した。また姫は春日に目をかけられており、後に「右」代行となる。
九曜御三家
十人衆に仕える25人の影武者「カゲボウシ」の中でも強い力を持つ3人で、ひばり直属。
九曜巴紋と九曜星紋はあすか、九曜桜紋はひばりのカゲボウシ。本体と痛みを共有するほど強いつながりを持つ。
薔薇の宮
先代「左」。額に薔薇の痣を持つ。あすかを気に入り、座を譲ってHIBARI-SS総指揮に移り、天使の後見をつとめる。親しい者からは本名の「フサコ」と呼ばれる。
HIBARI-SS
全中裏の頭脳集団。資金調達プランの立案および運営を差配する。幹部は「円卓七人衆」と呼ばれ、何れも頭脳明晰な少女が座についている。
シルバーゴースト
横浜最大の暴走族。過去に支部を東京に作ろうとして全中裏と対立し、撤退する羽目になった。ヘッドのヤスヒロの意向で、たびたびあすかの助けとなる。
ヤスヒロ
シルバーゴーストのヘッド。イケメン。過去の抗争であすかと出会って以来一目惚れし、協力者となる。
明 ユカリ
シルバーゴーストの初代マスコット。絶世の美少女。
お嬢様学校に通っていたがその美貌ゆえに孤立していた所を、ヤスヒロの申し出を受けてマスコットとなった。ただ守られるだけの存在ではなく、自らバイクを駆って囮になり、乱暴されそうになっても泣かずに耐え抜くなど、肝が据わっている。後にマスコットを自ら降り、あすかが(本人の同意なしに)二代目にされた。
紅神会
暴力団松島組系のヤクザ。全中裏と敵対関係にある。
トキ正宗
紅神会総長。19歳。ハンサムで優しげな風貌だが極道者であり、立場上あすかと対立する事もあるが基本的には彼女を好ましく思っている。
ヨーコにシマを荒らされた上、薬関連の常連客が多数逮捕されてメンツをつぶされた。そのため深い遺恨を抱いている。
微里威(びりい)同盟
高知を本拠地とする、高校生を中心とした組織。蘭塾において一勢力を築いている。
最首 環
蘭塾の事実上の支配者。代議士の娘で権力志向が強い。入塾してきたあすかを気に入る。2年がかりで構築した「シークレットライン」による造反が成功し、朱が更迭される原因となった。塾生の情報を「朱」に売る見返りに外出許可を得ている。
馬場 栞
最首の参謀。左目に傷がある。
過去には最首と対立するグループに属していたが、その頭脳に目をつけた最首によって引き抜かれた。
テレビドラマ版
1988年4月11日から9月26日まで全23回が東映製作・フジテレビ系の東映少女ドラマシリーズで放送。
あすかを小高恵美が演じたほか、小沢なつきと石田ひかりが出演していた。
これまでの木曜夜7時半枠から月曜夜7時半枠へ放送枠を変えて再起を図るも、ローカル枠だった為、遅れネットをはじめ、ローカル帯再放送枠で後日纏めて放送や、未放送が起き、東映少女ドラマシリーズ最終作となった。
詳細は此方へ→花のあすか組!(ドラマ版)
映画版
崔洋一監督の脚色で原作の舞台を当時の20世紀末だった199X年に置き換え、バイオレンスジャックやマッドマックスや北斗の拳に似た退廃的な世紀末の世界であすか達が己の信念をぶつけ合う、TVでは出来ないバイオレンスアクション作品となった。
詳細は此方へ→花のあすか組!(映画版)