テッド(金色のガッシュ!!)
てっど
「どっちが強大かじゃねぇ!!どっちが大切かだ!!」
「てめえは… 酔っ払いの雇い主に殴られながら働いたことがあるか?」
「ボロ板をはり合わせて、やっと作った家を、半日でぶっ壊されたことがあるか?」
「ドロドロの手で、泥にまみれたパンを喰ったことがあるか?」
「そんなはきだめの中で、キレイな髪をなびかせて、宝石のように輝いてる女を見たことがあるか?」
「悪人に負けず、楽しそうな未来を語ってくれてよ… オレ達を支えてくれたんだ…」
「オレの目の奥にあの姿がある限り、てめえみてえな甘ちゃんにゃあ負けねえよ」
概要
「王を決める戦い」に参加している魔物の子の一人。
魔界にて家族同然の存在であったチェリッシュを探してパートナーのジードと共に世界中をバイクで旅している(おそらく彼も人間よりは嗅覚に優れていると思われ、髪の匂いだけを手がかりに世界中を回っていたらしい)。
また、ジードとは「自分のことは自分でやる」という約束を交わしており、その日の宿と食事は自分で探している(宿が見つからなければ野宿、食事はジードへのツケになるらしい。ジードはテントを持参している)。
容姿
水色の瞳、そして何より金髪の大きく太いリーゼントが特徴的。
服装は両袖に白い太線のような模様が入った黒い革ジャンを羽織り、ズボンも黒(こちらもおそらく革製)、そして黒いブーツと、全体的に黒色かつワイルドな雰囲気で統一されているといえるだろう。
中に着ている白シャツにはトランプのスペードと十字架を合わせたようなマークが描かれており、革ジャンの背面にも同じマークが白色で描かれている。
性格
良い意味で「少年漫画に登場する人情に厚い不良キャラ」といった王道の性格であり、熱血でひたむきな言動が多い。
本の持ち主のジードも、「バカで生意気だが、大切なものが何かってのはわかっている」「だから、オレもあいつに付き合ってんのかもしれねえな…」と清麿に述べており、その在り方に好感を持たれていることが窺える。
現にガッシュと親しくなってから一日も経っていないにも関わらず、ガッシュ(の持つバオウ)を「脅威」だと言い襲撃してきたアースに記事本文一番上の台詞を叫びながら立ち向かっていく等、非常に人情に厚い。
また、登場当初からチェリッシュを常時気にかけているのは、自身を含めた多くの孤児を救ってくれた彼女に強い想いを抱いているため。テッドの中で彼女への信頼や想いが揺らぐことは決してない。
戦いの中でただ一人の女性を探し続け、最後まで愛する女性のために戦った真っ直ぐな姿勢がテッドの魅力だといえるだろう。
原作で遂にチェリッシュと再会した時も、単純な戦闘力だけではなく、強い信頼と愛情を持ち続けてきたテッドだからこそチェリッシュを救えたことが描写されている。
ちなみに、魔界の王になる事自体はそれ程関心が無かったのか、他者へ夢や目標を語るようなシーンは特に無かった。
一応、魔界に帰る直前の台詞から、孤児達でも安心して暮らせる国を作ろうとしていたようである。
作中における活躍
ファウード編で初登場。
ジードと共に世界を旅している最中、モチノキ町を訪れ、その日の宿を探している最中図らずもガッシュ・ベルと出会う。その後紆余曲折あって力比べの喧嘩をし、友情が芽生え、ジード共々高嶺家に一晩お世話になる。
その日の晩、ガッシュのバオウ・ザケルガを見定めに来たアースとガッシュと共に戦い、激闘の果てにこれを退ける。
翌朝、清磨の母が作った卵焼きを朝食に食べたのちガッシュと別れ、再び旅に出た。
その後はガッシュ達がファウードに乗り込んだことをナゾナゾ博士から聞き、アポロのジェット機によって加勢に現れ、ファウード編終盤でガッシュ達と合流する。
そして合流後の展開は、アニメ版と原作で大きく異なっている。
アニメ版→原作版の順で述べた方が記事としての後味も良くなると思われるので、まずはアニメ版の顛末から記載していく。
アニメ『金色のガッシュベル!!』においては、そもそもとしてチェリッシュを探す理由自体が変更されており、「ある理由から仲違いしてしまったチェリッシュの誤解を解く」ために旅をしていた(原作ではチェリッシュと出会う目的等は特に言及されておらず、純粋に「会いたいから探している」といった描写になっている)。
ファウード内部にて彼女と再会し、誤解を解くことこそできたものの、その直後にチェリッシュはファウードの体内魔物によって魔界に返されてしまう。
怒ったテッドはアニオリの最大呪文「マキシマム・ナグル」で体内魔物を撃破こそしたものの、彼にとっては苦い結末とも言える結果となってしまった。
また、原作と違いテッド自身は本を燃やされていないため、最後まで退場しない。
そして原作版では、ファウードの脊髄2F「数の鉄扉」なる部屋で苦戦しているガッシュ達に追い付き、遂にチェリッシュと再会を果たす。
しかし、チェリッシュはゼオンの雷への恐怖によって心を折られ、言うことを聞かざるを得ない状態にまで精神を摩耗させられてしまっていた。
同行していたギャロンの持つ「雷の結晶」によって恐怖を呼び起こされ、テッドへの攻撃を強要されてしまい、終いにはディオガ級呪文をもテッドに撃ち込むチェリッシュ。
テッドはそれでもなおチェリッシュを信じ抜き、攻撃によるダメージと自身の肉体強化術による反動で大量の血を流しながらも、ギャロンを気迫で圧倒。
チェリッシュと共に過ごした日々を語りながら立ち続ける姿は、チェリッシュが本来持っていた心の強さを取り戻させ、電撃の苦痛に抗いながらギャロンへ明確な反意を向けられるほどになった。
その直後、最大呪文の撃ち合いになるが、ギャロンのディオガ級呪文をテッドは(チェリッシュを苦しめている原因を確実に破壊するため)あえて迎撃せず生身で受ける。
術による爆炎(?)が後方にいたジードまで届き、本に火が点いてしまうが、テッドは血だらけになりながらもギャロンの最大術を耐えきる。
そして術を発動しきったため強化状態が解除されたギャロンの腕を掴み、「ファイナル・ギア」ことドラグノン・ディオナグルによってギャロンの腹部を雷の結晶ごとぶち抜いて粉砕。
こうして決着をつけ、チェリッシュが電撃の苦痛から解放されたことに安堵の笑みを浮かべて気絶した(この一撃でギャロンは戦闘不能になったようで、テッドが目覚めた際には他の皆がギャロンの本を燃やし終えている)。
ティオのサイフォジオによって無事に目を覚ました後は、チェリッシュのパートナー(男装したニコル)に気付かない程チェリッシュしか見ていなかった事をからかわれながらも、チェリッシュから感謝のキスを受ける。
最後はチェリッシュ、ニコル、ジードに見守られながら、「自分達のような孤児でも安心して暮らせる国を作る」事を託して魔界へ帰って行った。
総じて愛する女性の危機を救うために全力を尽くし、感謝の口づけもいただける……という、テッドにとって最高といえる結末になっただろう。
原作最終回においては魔界に帰ってからの姿が1コマだけ描写され、チェリッシュ、レインと共に新しく家を建てていた。
術
基礎的な身体能力自体が高く、大柄な魔物すら素の腕力でぶっ飛ばせるほど。
特に強烈な打ち込みや目にも止まらぬ連続パンチを得意とし、現にパンチの速度は石板編を経て「攻撃を見切る力」が向上したガッシュすら「(回避が)ギリギリだったのだ、何て速さなのだ!!?」と驚くほど。
そして優れた腕力とスピードを術によってブーストし、肉弾戦で圧倒していくのがテッドの戦闘スタイル。
また、術に頼らない力として、気迫とアクションによって本当にパンチが来ると錯覚させる技術(いわゆる「フェイント」)を織り交ぜることさえ可能。
修得した術は肉体強化系の術(ナグル系)のみ。
「~ルク」系等を修得している獣型の魔物とは違い、全ての術がエネルギーを全身に纏うような強化状態として描かれており、テッド自身の肉体が変化・変形することはない。
また他の魔物の強化術とも違って、まず第一の術である「ドラグナー・ナグル」を唱えてから第二の術→第三の術→第四の術……と、一段階ずつ術を唱えていくことでエンジンのギアチェンジの如く肉体を強化していくという唯一無二の特徴(制約)がある。
この性質上、段階的に術を唱える過程をすっ飛ばしていきなり第三、第四の術を唱えることは不可能という大きな弱点を抱えている。
だがそれでもファウード編まで勝ち残ってきたという事実が、テッドの総合戦闘力が優れているという何よりの証拠だろう。
現にバオウ覚醒前のガッシュも、ラウザルクによって相手のディオガ級呪文を回避するような立ち回りをしており、テッドも肉体強化による速度を上手く活かした戦い方をしていた可能性が高い。
ドラグナー・ナグル
第1の術。以降の術を発動するには、まずこの術を発動する必要があるという、いわばエンジン始動の合図のような術。
初級術ではあるが、テッドの基礎的な身体能力も合わさって威力は高く、不意打ち気味に撃ち込んだとはいえアースの顔面を凹ませ、ジャンジ・ソルドによって生じた数メートル以上もある巨大な剣ごと押し返すほどのパンチを放った。
セカン・ナグル
第2の術。より身体能力が強化され、アースがガッシュの目前で剣を振り落としてから命中するまでの一瞬の内に割り込めるほどの速度を発揮できる。
サーズ・ナグル
第3の術。セカン・ナグルより更に身体能力が強化される。
アースのウルソルトによる剣が無数に分身したかのように見えるほどの連撃を全弾回避する速度、アッパーの一発でアースを吹き飛ばし、衝撃で足元の地面に亀裂が走るほどのパワーを兼ね備えている。
フォルス・ナグル
第4の術。サーズ・ナグルより身体能力を強化する。
これ以降は肉体強化による反動の大きさも考慮し滅多に使わないため、実質的にはこれが最大の強化として扱われる。
それでも強力な魔物相手にも充分通用するパワーを誇り、パンチ一発の余波で川原の一部が抉れるほど。
フィフス・ナグル
第5の術。フォルス・ナグルより身体能力を強化する。テッドとジード曰く「トップ・ギア」。
使用時の反動も強力になっており、殴る度に反動で腕から大量の血が噴き出すほどのダメージを負ってしまうデメリットがある。
だがその分、性能も非常に高く、フォルス・ナグルでは全くダメージを与えられていなかったディオ・マ・バスカルグ状態のギャロンに対しても、一撃で腕部の鎧を完全粉砕した上で大量出血させるほどのパワー、既に相当なダメージを負った状態でチェリッシュのディオガ級呪文を受けても倒れないほどの肉体強度を発揮している。
ドラグノン・ディオナグル
最大呪文であり、テッド曰く「ファイナル・ギア」。
肉体強化を専門とするテッドの最大呪文なだけあり、作中に登場する全ての肉体強化呪文における「一撃」として最強クラスの破壊力を持つ。
作中ではギャロンにパンチ一発を打ち込むに留まったので、総合的な強化幅がどの程度なのかは不明。
とはいえディオガ級の術すら顔負けの大爆発のようなパンチを繰り出しているし、術名にも「ディオ」と「ノン」(「~ドン」の亜種?)が入っているので、ほぼ間違いなくディオガ級に匹敵していると思われる。
当然反動もフィフスの比ではなく、使用時にはティオが回復させなければ死んでいたかもしれない程のダメージを負っており、現にテッドは気絶してしまっている。
だがその反動に見合うだけの性能なのは確かで、上述の通りファウードの細胞によって強化された状態のギャロンを一撃で戦闘不能に追い込むどころか、パンチ一発の衝撃が内臓に埋め込まれた雷の決勝を粉々に砕くほどに貫通する凄まじい威力を誇る。
シン・ドラグナー・ナグル
術番号は不明。最終決戦においてガッシュの金色の本に現れた術。
これが第1の術と同じような始動術なのかは不明だが、「ドラグナー」でありながらファイナル・ギア以上と思われる出力を持つシン級呪文。加えてガッシュがこの術によって反動を受けている様子もない。
消滅エネルギーを纏ったクリア完全体の両腕を触れずに衝撃波だけで吹き飛ばしてグシャグシャにへし折るほどの威力を持ち、強化された脚力とマントによる飛行を合わせればガッシュを並の山よりも高いクリア完全体の急所である頭まで到達させられるほどの機動力を見せた。
以下はアニメオリジナルの呪文。
ターボ・ファズ・ナグル
アニメ版でのトップ・ギア。実質半減していたとはいえ、ザルチムの最大術を一撃で破った上でザルチムに123発のパンチをぶちこんだ。
原作と違い反動を受けている様子が無いが、これがアニオリ設定や描写として術の反動を描いていないのか、この術自体が特殊な仕様なのかは不明。
マキシマム・ナグル
アニメ版ファイナル・ギア。肉体強化の呪文ではなく、テッドを巨大化させたようなエネルギーを放つ攻撃呪文。
テッド本人は反動で(消耗していたからというのもあるかもしれないが)暫く気絶してしまったが、ファウードの心臓魔物を一撃で倒す程の威力なので、こちらもドラグノン・ディオナグルと同じくディオガ級相当だと思われる。
ガッシュカフェにおいて
チェリッシュと共に完全版14巻にて登場。
オーダーは「華さん(清磨の母)の卵焼き」「コーラ」「たまごプリン」。
主にチェリッシュから魔界にいた頃の話が語られたが、孤児でありなおかつ他の孤児たちと打ち解けようともせず夜になると一人泣いていたらしい。どうやっても泣き止まなかったが、チェリッシュの髪に顔をうずめたらようやっと泣き止んで眠っていたとのこと。
そんなある日、チェリッシュが悪い大人の魔物に絡まれ髪の毛を掴んで引きずられたが、テッドはこれに怒り一撃で大人の魔物をぶっ飛ばした。この事がきっかけで自分にも戦う力がある事に気付いたテッドは、以降はチェリッシュ達を守る為に戦うようになったとのこと。
これがテッドとチェリッシュ、二人の馴れ初めであったらしい。
本編で自分の髪を魂と表現し、チェリッシュの話をする時も度々彼女の髪について言及していたのも過去の出来事による思い入れの強さの表れであったようで、上記の大人の魔物を殴り飛ばした時に至っては「オレの髪にさわるな」とまで言っている。
金色のガッシュ!!2(ネタバレ注意!)
続編『金色のガッシュ!!2』においては、まず1巻におけるゼリィとワイグの回想にて登場。成長し背丈も高くなっている。
孤児院の魔物の子供たちを守るためにレインと共にワイグに立ち向かい、命を落としたと語られていた。
だが、2巻にてガッシュの口から、実はチェリッシュやレインと共に生存していることが明かされた。
とはいえ孤児院(テッドハウス)の子どもたちを守るために戦い、重傷を負ったことは変わらないので、現状では彼が万全の状態とまで言い切れるのかは不明。