電脳山荘殺人事件
でんのうさんそうさつじんじけん
概要
『金田一少年の事件簿』ノベルスシリーズ第三弾。
原作者の天樹征丸氏が「一般の推理小説として世に出しても高い評価が得られるのではないかと思うほど内容に自信があったので、金田一シリーズの枠で執筆するかどうか迷った」と答えるほど評価が高く、ファンからも最高傑作と称されるほどの人気エピソードとなっている。
パソコン通信(インターネット)による中毒にも似た仮想空間の心地好さ、それによる現実への逃避や浮き彫りになる心の闇など匿名性の恐ろしさなど現代のネット問題などに通ずるものがある。
あらすじ
1月半ばに、剣持警部の誘いで長野県あざみ野高原スキー場へ二泊三日の旅行へやってきた一と美雪。ところが、悪いタイミングでバラバラ殺人事件が起きてしまい、剣持警部は同行できなくなってしまう。
チャンスとばかりに(いつもの下心で)スキー場の立入禁止区域に美雪を連れ出し、遭難する振りをした一だが、想像以上の吹雪に視界を遮られ、本当に遭難してしまう。
避難先の明かりのついたロッジ・シルバーウッドには、パソコン通信上で結成したミステリー・サークル『電脳山荘』のメンバー7人が、初の顔合わせとしてオフ会を催していた。
彼らはお互いの名前をハンドルネームで呼び合い、本名を名乗らず、各人の経歴も事実かどうかは分からず、遅れて姿を現さないメンバーもいた。
お互いに”本当の顔“を見せてはいけないという暗黙の了解の中で、メンバーに紛れ込んだ殺人鬼『トロイの木馬』による皆殺しのゲームが始まる。果たして、トロイの木馬の正体とは?各人の”本当の顔“と、殺人のキッカケになったメンバーの許しがたい過去とは?
怪人 トロイの木馬
無害を装い標的の懐へ侵入しシステムを破壊するコンピュータウイルスの俗称。
皆殺しゲームを始めた人間琢磨のハンドルネームであり、電脳山荘のメンバーに紛れ込んだ誰か。