「世界よ、沈黙せよ。我がもたらす滅びの前に」
概要
惑星クレイにおいて、原初の知性「クレイズイデア」より生まれた第二の神格の片割れにして、破壊と虚無を司る滅びの神。その姿はドラゴンとも巨人ともマシンとも取れる異形の巨体であり、繰り出される破壊の一撃は全てが必殺の力を持ち、防ぐことはできないとされる。
弐神紀のはじめ、創世の竜神「ハーモニクス・メサイア」は、衰退するクレイに魔法という新たな力をもたらしたが、それによって生じた法則のゆがみは「かつてないほど巨大な虚無」、即ち万有の可能性の中から生ずる滅びへの志向性をも生み出してしまっていた。
ダークゾーンに身を置いていた魔王・ガスティールはその力に魅せられ、「邪神司教」を名乗りこの「巨大な虚無」の研究に没頭。最終的にその力を、ユニットとしてクレイの地に召喚することに成功してしまった。
この「ユニットとして具現化された虚無の力」がギーゼである。
降臨したギーゼは、まず単独で討伐に現れたヴァレオスを返り討ちにして従え、メガコロニー拡大のためにその力を利用しようと考えるグレドーラと結託。自身を召喚したガスティールを加えた3人の「使徒」を得、本格的に世界を滅ぼすための活動を開始した。
クレイエレメンタルと自身の力を融合したゼロスドラゴンを創造し、対存在である創造の神「ハーモニクス・メサイア」とのし烈な激闘を繰り広げたが、聖剣に選ばれた青年「フィデス」を筆頭として立ち上がったクラン「ロイヤルパラディン」の反撃を皮切りに対抗勢力が一気に拡大し、最終的には決戦で敗北。
アクアフォースはヴァレオス離反の責任を問われてクランごと封印され、ゼロスドラゴンは重なり合う世界である地球にフィデスによって封印。ギーゼ自身はメサイアによって南極に封じ込められた。
しかし、ギーゼはそもそも「メサイアによる法則改変の影響で生じた歪みの化身にして、その集約点」である。それが封印された上にメサイア自身も力を使い果たしたため、歪みの影響が再びクレイ全体に波及、生じた次元の穴から「ユビキタスオーガ」と呼ばれる敵が出現するようになった(これは後のロイヤルパラディン・シャドウパラディンの対立の遠因ともなっている)。
ギーゼという集束点を失った「歪み」は虚無の形をとってクレイを脅かし続け、最終的に二人の少年たちにクレイからの祈りが届いたことで、運命力の安定を以てひとまずの解決を見る。
動向(背景設定)
メサイアの浄化をそれぞれに逃れた使徒たちの手で復活の準備を整えたものの、世界との繋がりを断絶されてしまっていたため現出することができず、その世界に属する「器」がどうしても必要だった。
自らの力でクレイと地球に定期的に器候補を作り出してはいたが、ギーゼを受け入れるための負の感情があまりにも不足していたため、真なる復活のめどは一向に立たなかった。
しかし最終的には、師の復仇に燃えるシャドウパラディンの魔術師「ルアード」を器に復活を遂げ、顕現に成功。
使徒を介して目覚めさせたゼロスドラゴンをクレイ各地で暴れさせ、メサイアの陣営を相手に「第二次弐神戦争」が幕を開けた。
最終決戦において、ゼロスドラゴンは全て撃破され(メギドのみ記録が残っておらず詳細不明)、ギーゼ自身はクロノジェット・ドラゴンの特攻を受け滅亡することになる。
動向(アニメ版)
「勝敗が宇宙の真理を揺るがし、運命の天秤を傾ける。いずれ天秤は敗北の重みに傾き、世界は沈黙する。世界を虚無に帰す最も容易き術……それがヴァンガード」
明言されていないが、2011年版においては「虚無」を作り出し、リンクジョーカーを外界から呼び寄せてクレイを襲撃、さらにアクアフォースの先導者である蒼龍レオンを唆して地球をも虚無に飲み込もうとした。
リンクジョーカー編では意志の分離体と思しき「虚無」に立凪タクトを乗っ取らせ、リンクジョーカーの指揮官として動かした。
これらはいずれも先導アイチらの活躍により阻止されたが、裏では使徒たちディフライダーが暗躍しており、「G NEXT」から行動を本格化させた彼らの働きによって全てのゼロスドラゴンが覚醒、「G Z」にて東海林カズマにディフライド、かりそめの復活を果たした。
駆け付けたクロノをファイトで下すとともに、唯一担い手が不在だった「極天のゼロスドラゴン ウルティマ」を覚醒させた。
「宇宙の真理は、盤面に在り。滅びの運命を今ここに確定せん」
「我は虚無なり。恐れるな…無を。汝らが望むままに、我は目覚めた。無は等しく。無は隔てず。久遠の平穏と安寧をもたらすものなり」
その後、ヴァンガード普及協会に回収されたゼロスドラゴンを奪回するため北米支部を襲撃し、これを成功。さらに立ちはだかったカズミを撃破するとともに、そのファイトでGユニットとしてのギーゼを究極超越で呼び出し、ユニットとしての実体を地球に召喚することに成功した。
衛星軌道上の「虚無の要塞レリクス」に合体し、世界各地に「虚無」の分身を差し向けてファイターたちを圧倒したが、乗り込んできたトライスリーを相手に3VS1(1VS1を3面、使用カードやアタック先は全て連動。いずれかの面で、あるユニットでヴァンガードにアタックすれば、他の二面でもそのユニットでヴァンガードにアタックし、トリガーチェックの結果なども全て連動する)のファイトを繰り広げた末に敗北、ゼロスドラゴンもろとも消滅した。
これにより危機は回避されたが、クロノ・ドランによりこれ以上の災禍を地球に齎さないために運命力の繋がりが完全に断絶。
さらに、対存在であるギーゼが滅んだことでメサイアもまた消え去ったため、これ以降のクレイは3000年後の「天輪聖竜 ニルヴァーナ」の誕生までの間、先導者の導きも神の加護も失われた混乱の時代=無神期を迎えることになった。
なお、ギーゼ消滅の際にクレイではドラゴンエンパイアの領域内に巨大なクレーターが発生しており、天輪聖紀では「ギーゼ・クレーター」と呼ばれている。
カードとしての性能
グレード4でクレイエレメンタルに属するGユニットであるが、他のGユニットとは異なり自身を登場させるための超越スキルを持っていない。
このカードは裏面にグレード0のファーストヴァンガード「ネオンギーゼ」が存在する両面仕様であり、ファイトの際はまずネオンギーゼをスタンドアップさせる必要がある。
なおネオンギーゼの能力は、
- デッキ構築の際、ゼロスドラゴンを国家に関わらずGデッキに投入できる
- ライドされた際にGゾーンに行く
- Gゾーンにある限り、トリガーによるパワーの増加はなくなり、代わりにGデッキのゼロスドラゴンを1枚バインドする
- Gゾーンのゼロスドラゴンが5種類以上の場合、ストライドステップで手札コストを払い、ヴァンガードとリアガードサークルとソウルとGゾーンの他のカードを全部除外し、Gゾーンからネオンギーゼを裏返して破壊の竜神 ギーゼを超越する
というもの(アニメで初登場した時は「闇に縛られし竜 ルアード」の儀式能力でコストを踏み倒している)。
ちなみにネオンギーゼ共々、全ての国家とクランに属するクレイエレメンタルであるため、採用先のデッキは問われない。
ここまでの手間をかけて現れたギーゼ本体の能力はというと、
- パワー30000(ハーツカードがないのでそのパワーは得られない)
- 登場時、バインドされているゼロスドラゴンを5体スペリオルコール
- ライドできない
- ゼロスドラゴン以外のコールができない
- 自分のユニットはGゾーンに戻らない
- 自分のユニット(ガーディアンを含む)はギーゼ自身とガーディアンによるシールド増加、守護者によるヒット回避以外の効果を受けず、効果で選ばれることもない
- 自分のリアガードはアタックされない
- ターン開始時、リアガードのゼロスドラゴンの数だけ相手のヴァンガードにダメージ
という、破壊神に相応しい無茶苦茶なものになっている。
要するに、出てきた時点で自身の盤面は完全に固定され、ギーゼ自身と前列のゼロスドラゴンで延々と殴り続けることになる。
だが引き換えに、相手の退却やバインド、パワー減少などの効果を一切受け付けず、ターンが回ればエクストラダメージ5点で焼き殺す……と、ファイト自体を決するに相応しいスーパーパワーの持ち主である。
ただしゼロスドラゴンは当然ながらブーストを持たないため、後列の3体はエクストラダメージを増加する頭数以上の意味は持たない。
また、あくまでカードによる影響を受けないだけであるため、フィールド外から呪縛カードを置き、重複処理でゼロスドラゴンを無理矢理退却させる【星輝兵】が苦手。
また、トリガーによるパワーアップもできないため、ギーゼでアタックしてもシールド合計が31000を超えればヒットできず、ゼロスドラゴンもパワーが25000固定なので15000のシールドがあればガード可能。
このため、天敵はミラーマッチとなる。お互いがギーゼに超越した場合、
- エクストラダメージの能力が通じない
- パワーが上がらないので5000のシールドがあればアタックを防げる
- リアガードへのアタックはお互いにできないが、ゼロスドラゴンもパワーを上げられない=ギーゼに届かないのでアタックが無意味
このようなぐだぐだの状況になってしまうため、デッキ切れまで膠着する危険性が大きい。
ただ、Pスタンダードにおいては、イマジナリーギフトによるパワー増加が可能であるため、このようなケースは起こりづらい(アクセルタイプのクランの場合は既存のサークルにマーカーを置けないため、膠着の危険性がある)。
これを防ぐためか、2023年にソーシャルゲーム「ヴァンガードZERO」に実装されたギーゼには、相手のヴァンガードがギーゼの場合、自分のターンのみ前列のユニットのパワーを+10000する永続効果が追加されている。