惑星クレイ
地球と似た形の惑星。神や悪魔、ドラゴンや妖精の存在が忘れ去られず、魔法と科学が共に研究され、技術として確立された世界である。独自の文明を発達させた国家が、各大陸を支配している。
(公式サイトより)
カードゲームの世界観としての惑星クレイ
アニメ一期中盤までは、惑星クレイはあくまでカードゲーム内の世界観という扱いであった。
櫂トシキはヴァンガードを理解しやすくするために、自分の霊体を惑星クレイに送るというイメージを説明するのに使用している。
現実世界とクレイのシンクロ
PSYクオリア編においてレッカの体を借りた謎の存在によれば、惑星クレイは単なるヴァンガードの背景設定ではなく、地球とは別の銀河に実在する惑星である。
アイチたちのいる地球=惑星「E」におけるカードファイトは、クレイにおける各クランの動向と密接にリンクしている。具体的には以下。
- 惑星クレイの運命は「先導者」がもたらす。
- PSYクオリアを持つ二人のファイターが、力を発動させることで初めて「先導者」としての資格を持つ。
- 「先導者」は「祈り聞く者」とも呼ばれ、自身のデッキが属するクランの行く先を文字通り導く存在。
- PSYクオリアの真の意味は、「先導者」とクランを繋ぐために発現される力であり、地球とクレイを繋ぐ「運命力」を読み取るための能力。ユニットの声が聞こえる、最適なプレイングがわかるなどの恩恵はこの副産物。
- 過去にも同じような事があり、その都度先導者がクレイの世界を導いてきた。
つまり、「先導者」たちがカードファイトを行えば、彼らの操るデッキが属するクランがクレイにおいても争い、ファイトの勝敗がそのままクランの争いの結果となるのである。
上記したロイヤルパラディンとシャドウパラディンの対立はそれぞれの「先導者」として見出されたアイチとレンの対立という形で反映され、最終的にアイチが勝利したことで彼のクランであるロイヤルパラディンが対立に勝利するという形で描かれている(加えてオーバーロードの動向も、櫂がアイチと出会い、レンを止めるためにファイトを挑むという形で反映されている)。
逆に、クラン側の立ち位置や状況が地球における各クランデッキに影響することもある。
例えば、ユナイテッドサンクチュアリにおいて秘された部隊であるシャドウパラディンは、「先導者」であるレンが大会に出てくるまで一般にはほとんど知られておらず、ギアクロニクル(および、未来の可能性を引き寄せる「超越」の技術)も「先導者」に選ばれたクロノが記憶を封印されたことで、存在自体がクレイから一時的に消されてしまっていた(歴史的にはギアクロニクルが出現した時点で過去改変が発生しており、クロノの記憶封印に伴いそれが一時修正されていた)。
さらに、クレイにおいて「虚無」の干渉によりブラスター・ブレード、ブラスター・ダーク、ドラゴニック・オーバーロードが封印された結果、それぞれを分身とする「先導者」達との関係が断絶され、シャドウパラディンとかげろうはクラン自体の存在が消され、ロイヤルパラディンは「使い手のいない伝説のクラン」と扱われる事態に陥っていた(クレイ側では三英雄の捜索のためゴールドパラディンが組織され、連動してアイチとレンの手にはゴールドパラディンデッキがもたらされている)。
そしてヴァンガードGでも思わぬところでリンクすることがあることが判明。詳細はリンク先を参考。
なお、魔法の有無を除けば環境に違いはないため、双方の住人がお互いの星に降り立っても問題なく生存できる。しかし距離が離れすぎているため、地球人側のイメージを道しるべにユニット側が話しかける、ディフライドで憑依するなどの方法で意思疎通しなければならない。
地球人側がクレイに降り立つには場所・方法とも特殊なものを用いねばならず、事故で飛ばされたライブや、「降臨の地」から一時的に降り立ったトライスリー、無神紀に混乱するダークゾーンを再統一した「一人の英雄」など、主にクロノの関係者が到達しているに留まる。
惑星クレイの歴史
以下に記述するのは2011年版アニメ~Dシリーズの世界観に基づく歴史であり、原作漫画版/2018年版、および「新右衛門編」「外伝 if-イフ-」の世界におけるクレイの歴史は詳細には語られていない。
大きな差異としては、2018年版世界のクレイは
- 星輝大戦が起きていない(リンクジョーカーはいきなり遊星ブラントで直接攻撃を仕掛けている)
- Я化の概念がない(代わりにファイターとの運命の繋がりであるPSYクオリアを感染させ、ファイター側を引き込むことでユニットを引き込む「PSYクオリアゾンビ」を増やす形で侵略を行った)
- 時空超越の概念が存在しない。未来の可能性であるGユニット達は別の形で姿を見せている
- PSYクオリアの性質が異なり、ファイター側から発現する力となっている
- 破壊の竜神ギーゼが存在しない(ガスティールのフレーバーテキストを見るに、後述の「かつてないほど巨大な虚無」はユニットとして召喚されず、イマジナリーギフトに近い形で影響している模様)
- 運命力に依拠する種族「星神」が存在する
と言った点が挙げられる。
始原~弐神戦争
おおよそ160億年前、あらゆる可能性を包含する「虚無(ヴォイド)」の空間に誕生したのがクレイである。
やがてそこに一つの指向性が現れ、それは「クレイズイデア」と呼ばれる存在が誕生。そこから惑星最初の生命体たる精霊たち「クレイエレメンタル」、有史以来初の神である「始祖創世竜」とその眷属「原初竜」が誕生。
彼らの加護の下、原初竜の眷属である「ドラゴン」を始めとした多くの種族が生まれ、異星生命体との交流なども重なり科学文明が発展を遂げたが、始祖創世竜がクレイズイデアに還元されたことに加えて、資源の枯渇により科学文明は衰退。
これを憂えた次なる神格、創世神「ハーモニクス・メサイア」はクレイに新たな法則を与え、魔法と言う力をもたらすことによって魔法科学文明が新たに勃興、現在のクレイの基礎を築いた。
またこの前後、異星文明との交流が活発化するにつれて星間犯罪が問題視され、クレイ側でもこれに対処するため相互協力組織「ディメンションポリス」を設立。これと、クレイにおける犯罪組織「メガコロニー」の立ち上げが、現在で言うクランの始まりとなった。
しかし、メサイアが魔法を齎したことによってクレイの法則はかつてのものから改変され、これによって「かつてないほど巨大な虚無」、即ち万物万象に内在する滅びへの志向性が形となって顕現する事態が発生。
ダークゾーンの魔王「邪神司教 ガスティール」はこれに魅せられ、研究の末にこの「巨大な虚無」をユニットとしてクレイの地に召喚することに成功。
こうして降臨したのが、虚無を本質とする「破壊の竜神 ギーゼ」である。
これにより、クレイには創世神と破壊神の二つの神格が併存することになり、後に「弐神紀」と定義される時代が幕を開ける。
ギーゼが自らの力とクレイエレメンタルを合わせて作り上げた超越生存体「ゼロスドラゴン」によりあちこちで天災が引き起こされ、これを受けた当時のアクアフォースの指揮官「蒼波元帥 ヴァレオス」は単独でギーゼ討伐に乗り出すが、破壊神の力に膝を屈し、その過程でギーゼの存在を完全に理解してしまったことで心服。直下の部隊を率いてギーゼに寝返ってしまった。
さらに、メガコロニーの拡大のために破壊神を利用しようと考えた「百害女王 ダークフェイス・グレドーラ」が加わり、ガスティールを含めた3人の「使徒」と7体のゼロスドラゴンを従えたギーゼは、本格的にクレイ滅亡へと動き出す。
当然メサイア側も黙ってはおらず、創世神と破壊神の二大勢力による激戦「弐神戦争」はクレイ全土に拡大。あわや世界が滅びるかという瀬戸際まで至ったが、聖剣に選ばれた青年「フィデス」を筆頭とする抵抗勢力が立ち上がり、ロイヤルパラディンとして成立したクランの反撃を筆頭に、各地でメサイア陣営の押し返しが始まり、一転して劣勢に追いやられたギーゼは最終決戦でついに敗北。
ギーゼ自身はいずことも知れぬ空間に封印され、クレイから消失。ガスティールとグレドーラは逃げ延びたが、敗戦直後に巻き返す余力はなく、これ以後長きにわたり沈黙を守ることになる。
ヴァレオスはギーゼに与した責任を問われ、アクアフォースごと封印された上でメサイアによる魂の浄化を受けたが、これを忠誠心と精神力で耐え抜き、次なる暗躍を待ち続けた(これによって地球側でもアクアフォースの存在が薄れてしまい、先導者である蒼龍レオンの暴走に繋がることになる)。
そこから続いていたのが2011年版当時の「聖竜紀」から「新聖紀」に渡る時代であるが、この時期のクレイは謎の勢力によって侵攻され、全クランが滅亡の危機に陥っていた。
これは、そもそもギーゼの正体がメサイアによって魔法が齎され、クレイの法則が書き換えられたことによって生じた「歪み」の化身だからである。
弐神戦争の後にギーゼが封印され、メサイアも眠りについたことで、集束点を失った「歪み」は本質である「虚無」に還り、そこから書き換えられた法則を元に戻そうとする=今のクレイを否定する方向性を引き出しそのように振舞い始めた。
対魔獣戦線(2011年版初期、PSYクオリア編)
弐神戦争の余波で歪んだ次元境界線から「次元魔獣(ユビキタスオーガ)」と呼ばれる敵が現れるようになり、これに対抗するため第三の神格である守護聖竜が、それぞれの騎士たちに力を与えた。これがユナイテッドサンクチュアリの始まりであるが、この中で聖竜の一角「シングセイバー・ドラゴン」が人々の無念を受け取り「ファントム・ブラスター・ドラゴン」と化してしまうアクシデントが発生。
これはシャドウパラディン発足のきっかけとなったが、与えられた加護の方向性の違いは両クランの対立の遠因となり、虚無より現れる次元魔獣への対応を巡り、ついにロイヤルパラディンとシャドウパラディンの意見対立は決定的なものとなった。
ロイヤルパラディン側にはノヴァグラップラーやオラクルシンクタンクを始めとする多くのクラン、シャドウパラディン側にはダークイレギュラーズ、ペイルムーン、スパイクブラザーズなどダークゾーン側のクランが合力。
ブラスター・ダーク「全クランが我らの配下となり、その命を捧げればよい!」
ブラスター・ブレード「皆が心をひとつにし、互いを助け合わなければ本当の強さは生まれない。大事なのは全クランの平等の団結だ!」
とにかく次元魔獣の撃滅を優先し、事態収束を急ぎたいシャドウパラディンと、人々を守ることを第一とし、被害の拡大を防ぎたいロイヤルパラディンの意見は平行線をたどる。
他のクランの意見を圧するほどの言い争いの果て、ロイヤルパラディンとシャドウパラディンが決闘を行い、勝者側の意見に全クランが従うことが決定された。
この時期、次元魔獣との戦いにおいて中核戦力だった英雄ドラゴニック・オーバーロードはブラスター・ブレードとの邂逅を果たし、さらに旧友であるファントム・ブラスター・ドラゴンと会見、その強硬な考え方に苦言を呈している。
解放戦争(アジアサーキット編)
次元魔獣の発生が一段落ついたのもつかの間、守護聖竜たちがクレイズイデアに還った隙をついて「虚無」が新たな手段を実行する。
弐神戦争で時空のはざまに封印され(メサイアの裁きによるという説、虚無による陰謀だという説がある)、様々な思いを抱えていたアクアフォースの現リーダー「蒼嵐竜 メイルストローム」の心に囁きかけ、その思いを歪めた上で、地球における先導者・蒼龍レオンを動かすことでクランの封印を破ったのである。
地球とクレイ、双方を繋ぐ二重の運命力を利用することでこれをなした「虚無」は、さらに世界滅亡への障害であるブラスター・ブレード、ブラスター・ダーク、ドラゴニック・オーバーロードを時空のはざまへ封印。クレイにおいて「時空のはざまへの封印」は、歴史からも記憶からも存在を消されることと同義。これにより、対魔獣戦線における三英雄を失ったことでロイヤルパラディン、シャドウパラディン、かげろうも道連れになる形で存在が抹消(ロイヤルパラディンについては指導者のアルフレッドは無事だったが、「記憶から消える」ことの影響は「先導者の分身」であるブラスター・ブレードを失ったことが大きかった)。
ユナイテッドサンクチュアリとドラゴンエンパイアが主戦力を失い弱体化したことで列国は混乱、その隙に付け込む形でアクアフォースの侵攻が開始される。
これに対し、「灼熱の獅子 ブロンドエイゼル」を筆頭にユナイテッドサンクチュアリ各地から有志が集いゴールドパラディンが結成、さらにドラゴンエンパイアはサンダードラゴンを主力とする新部隊「なるかみ」を編成。これによりアクアフォースの進撃が食い止められ、最終的には地球に置ける先導者たちの選択(アジアサーキット編)もあってクラン連合が勝利。
三英雄が解放されたことで三クランも復活、アクアフォースも二度にわたる過ちを償うため再び脅威に立ち向かう力として認められることになった。
なお、次元魔獣についてはこの後も歴史の裏で侵攻を計っており、天輪聖紀に至ってついにドマ山への再出現に成功。
ケテルサンクチュアリからロイヤルパラディンの第二騎士団副長ジラールとシャドウパラディンの第四騎士団副長オブスクデイトが迎撃に向かい撃滅したが、この後に起きたジラールの死亡事件が後に煌結晶を巡る騒動に関わって来ることになる。
星輝大戦緒戦(リンクジョーカー編)
だが、運命力の消耗と「虚無」の脅威は未だに去っていなかった。
クレイとは別の世界が「虚無」に飲まれ、その世界の住人が「虚無」の剣として生き残り、リンクジョーカーとして侵略を開始したのである。
各国家はそれぞれのクランを再編成し、リンクジョーカーに立ち向かったが、彼らの用いる「呪縛」による被害は想像を上回り、多くのユニットがЯ化することになる。
これは「Яパンデミック」と呼ばれ、地球においても多くのファイターがリンクジョーカーの尖兵と化してしまった。
その中で生じた特異個体「カオスブレイカー・ドラゴン」により、最終兵器「グレンディオス」が作られるが、光と闇の騎士を筆頭とする連合軍により全て撃破される。
さらに開戦当初にリバースされたドラゴニック・オーバーロードも、強さの証明のためリンクジョーカーにすら従わず独自の意志で光の騎士に立ちふさがり、決戦を経て解放されている。
ただし、カオスブレイカー・ドラゴンは逃亡しており、撃破には失敗している。
星輝大戦(レギオンメイト編)
リンクジョーカーはさらなる侵略を決行したが、この時期は「導きの賢者 ゼノン」の行動を皮切りに、敵味方双方が時空干渉を行った結果、並行世界のクレイとの混線が相次ぎ正確な記録が残っていない。
ゼノンはユナイテッドサンクチュアリに次なる危機を予言し、それを受けたブラスター・ブレードは対処するため新たな希望を探し出す「探索者」を編成。別世界からシングセイバー・ドラゴンを呼び込み、加護を与えた。
一方のリンクジョーカー側(≒ギーゼ封印により集束点を失った「虚無」の意志)は、毎度のように自分たちを撃退したブラスター・ブレードのЯ化を画策。
これが成し遂げられ新たなる星輝兵「ブラスター・ジョーカー」が誕生した結果、クレイの歴史に改変が起こりブラスター・ブレードの存在が消え、彼の保有する運命力も失われたことで決戦前にリンクジョーカーの勝利が確定する事態が発生してしまった。
この事態を重く見たゼノンはやむなく二度目の時空干渉を行い、「ブラスター・ブレードのいない世界線」からゴールドパラディンの英雄たちである「青き炎の解放者」たちを招聘した(これに伴い正史側の状況も書き換えられ、ブラスター・ダークと「青き炎の解放者」によってファントム・ブラスター・ドラゴンが倒され、滅びかけた彼をブラスター・ダークが救い影から世界を守り続けた……という歴史が発生した)。
同じころ、ブラスター・ジョーカーは奇跡的に自らの「先導者」とのコンタクトに成功、両陣営を拒絶し己を時空のはざまに留め続けることを選択した。
彼の体内には虚無の塊である「シード」が宿っており、もしクレイに帰ってしまえば先の緒戦の比ではないЯの感染爆発を起こしかねない状態だったからである。
地球でも「先導者」であるアイチが全く同じ状態に陥っており、月の宮に己を永遠に封じることを決めている。
ブラスター・ジョーカーの意志を理解したゴールドパラディンの「青き炎の解放者 プロミネンスグレア」、シャドウパラディンの「幻惑の魔女 フィアナ」、ディメンジョンポリスの「鋼闘機 シンバスター」はそれぞれの仲間と共に彼に合力、時空のはざまに留まるブラスター・ジョーカーを見守る立場を取った。
しかし、書き換わった歴史において己を高め続け、煉獄皇竜の名を得た「ドラゴニック・オーバーロード・ザ・グレート」は宿敵のいない世界を否定し、ブラスター・ジョーカーを解放するために独自の行動を開始。
「煉獄竜 ボーテックス・ドラゴニュート」、「アルティメットライザー・MF」、「宇宙の神器 CEOユグドラシル」、「喧嘩屋 ビッグバンナックル・バスター」ら「メイト」と共に様々な戦場を転戦しつつ探索を続け、ついにブラスター・ジョーカーと邂逅。
黙示録の竜との戦いの中でブラスター・ジョーカーは正気を取り戻し、宿っていた「シード」はばらばらに砕けて飛散、志を同じくするユニットたちがそれを受け入れたことで、リンクジョーカーはクレイの新たなクランとして認められることになった。
これに伴い時空干渉は解かれ、「青き炎の解放者」たちやシングセイバー・ドラゴンはそれぞれの世界線へ帰還したが、干渉の影響は完全には消えなかった。
メサイアスクランブル(劇場版「ネオンメサイア」)
先行部隊の侵略が失敗したことで、ついにリンクジョーカー本隊が行動を開始。
世界を消し去る「根絶者」と本拠地である「遊星ブラント」をクレイに差し向けたのだが、ここで根絶者のリーダー「威圧する根絶者 ヲクシズ」が地球における先導者とのコンタクトに成功。これによって他の先導者との繋がりを断ち切る「デリート」の力を得た根絶者の前に、クレイの英雄たちはまるで歯が立たず一方的に蹂躙される憂き目を見た。
これに対し、メサイアはついに覚醒を選択。ロイヤルパラディンの「先導者」の力を借りて遊星ブラントを己に取り込み、クレイの衛星として加えることで闘いを終結させたのである。
これを機に、根絶者の「先導者」は彼らを介してメサイアの先導者ともなり、「世界を作り出す祈り」を届ける存在となる。
この覚醒で疲弊したメサイアは幼体となり眠りについたが、根絶者の残党は最後まで作戦を遂行しようとメサイア消滅を狙い強襲。これに対し、クロノジェット・ドラゴン率いる「十二支刻獣」が介入し、メサイア再誕までの時間を稼ぐため時空を飛び越えての逃亡戦を余儀なくされる。
過去と未来を飛び回る逃亡の末、最終的にクロノジェットも片手片足を失う重傷を負ったが、3000年後の天輪聖紀から「魔宝竜 ドラジュエルド」が「トリクムーン」「枢機の主神 オルフィスト・レギス」「ディアブロス“暴虐”ブルース」「封焔の巫女 バヴサーガラ」「ブリッツCEO ヴェルストラ」達同志の手を借りて送った運命力がメサイアに届いたことで「ネオンメサイア」としての覚醒に成功、根絶者を掃滅したことで事態は収束。
これを以て聖竜紀は幕を閉じ、新たな時代「新聖紀」が始まっている。
しかしこの事件により、時空を司るギアクロニクルのユニットが天輪聖紀を観測し、実際にその時代から運命力が届けられた、つまりドラジュエルドと同志たちが行動を起こしたその時点までの歴史が「事実」として確定されるという事象が同時に発生している(この事実はメサイアも認知しており、遊星ブラントにこの状況に繋げるための「碑文」と、龍樹およびマスクスの干渉を確言した「新碑文」を残している)。
並行世界におけるリンクジョーカーの侵攻
2018年版の世界におけるクレイでもリンクジョーカーは侵攻を行っているが、こちらではギーゼに当たる存在がないためか「虚無」とは無関係の侵略者となっており、Яパンデミックは起こらず遊星ブラントが直接クレイへの攻撃を開始している。
PSYクオリアの力を感染させ、ユニット達をファイターを経由して自陣に引っ張り込む「PSYクオリアゾンビ」と、伊吹コウジを介して「根絶者」を送り込むことで侵攻を進めていたが、地球側での尖兵としていた立凪タクトが敗北したことで失敗に終わった。
覇道黒竜の乱(ヴァンガードG)
リンクジョーカーとの戦いが終わった後、ジェネシスに属する「星詠」たちは、別世界(2018年版アニメ)に属する運命力を感知。
「星域」と呼ばれる領域と、そこにしか存在できない「星神」の存在を確認し、これを利用して別世界の運命力を観測することで次なる危機に備えるべく活動を続けることになる。
一方、ダークゾーンでは極大の運命力の輝きを放つこの世界線に訪れたギアクロニクルが本格的に登場。
メサイアは自らのアバターの一つ「オルターエゴ・メサイア」を差し向け、彼らを見守ることを選択した。
ギアクロニクルとはかつて、別の世界で時空を操る「旧き竜」こと「時空竜 バインドタイム・ドラゴン」一派が時空を歪め未来を奪う「機械仕掛けの神 デミウルゴス」を建造した際、これを止めるため集った十二の獣たちとその仲間たちである。
さかのぼること十数年前、十二支刻獣の一人「クロノファング・タイガー」は、何度も訪れる世界の危機と、必然的に起こる戦いの連鎖を何とかして終わらせようと、時空を修復するというギアクロニクルの使命に背き歴史への介入を試みた。
これは残る11人により防がれタイガーは時空のはざまに封印されていたのだが、地球において明神リューズと共鳴。ユニット召喚実験の中、たまたま立ち会っていた新導クロノの声にクロノジェット・ドラゴンの幼き日の姿であるクロノ・ドランが応え、彼が地球を訪れたことでクロノは「特異点」にしてギアクロニクルの先導者として位置づけられることになる。
リューズが実験を繰り返した影響で、クレイ側でも時空超越が頻発。
ギアクロニクルの指導者「クロノジェット・ドラゴン」はユナイテッドサンクチュアリを皮切りに、各地にこの事態を制御する「時空超越(ストライド・ジェネレーション)」の理論と技術を提供、事態を収めている(この時超越の技術を収めた者の中でも「蒼天の騎士 アルトマイル」と「ラナンキュラスの花乙女 アーシャ」は高い超越制御技術を備えている)。
この時期、ユナイテッドサンクチュアリにて、シャドウパラディンのリーダー「クラレットソード・ドラゴン」が強者絶対主義を掲げ、クラン内の不満分子を率いて反乱を決行。ジェネシス内部の危険因子や、患者を人質に取られたエンジェルフェザーの一派が加わり、反乱軍は強大化。
クラレットソードは時空超越により「覇道黒竜 オーラガイザー・ダムド」の力に魅せられており、禁忌の力を引き出す術を会得し己の力を証明しようとしていた。
しかし、時空超越の真の意味を理解していたアルトマイル、アーシャはクロノジェット・ドラゴンと共にこれに立ち向かい、見事鎮圧に成功する。
完全なる未来(ギアースクライシス編~ストライドゲート編)
覇道黒竜の乱後、各国家・各クランの交流が活発化。メサイアの加護と試練のもと、多くの若者が成長を遂げていった。
その中でブラスター・ダークやドラゴニック・オーバーロード、ツクヨミなど歴戦の強者たちもまた試練を受けて力を高め続け、影から世界を守護していた。
一方、バインドタイム・ドラゴンは十二支刻獣によって潰された野望を今度こそ果たすべく、世界を巡り協力者を募る。それぞれ独自の目的を持つかりそめの関係性であったが、中でも「星影の吸血姫 ナイトローゼ」と「仮面の奇術師 ハリー」の関係性は資料によって全く異なり、敵対していたという記述があれば、強い信頼で結ばれていたという記述もある(地球における事実を述べれば、それぞれを分身とするファイターたちの絆は強かった)。
さらにバインドタイム・ドラゴンはクロノファング・タイガーとリューズの共鳴により生じた時空の穴を押し広げ「運命の門(ストライドゲート)」を開放することに成功。
十二支刻獣たちを全て捕らえ、最後には地球に転移していたクロノ・ドランを捕獲したことで計画実行の準備を整えた。
バインドタイム・ドラゴンはあらゆる時空の支配者となることを望み、クロノファング・タイガーとリューズは「完全なる未来」を望んだ。それは、重なり合う世界のうち片方を滅ぼし、運命力の全てをもう片方に送り込むことで、人々それぞれの理想を無限に叶え続けるというものだった。
しかし、地球もクレイもそれを良しとせず、またしても立ちはだかったのはクロノジェット、アルトマイル、アーシャの三人だった。
アルトマイルは伝説の聖剣・フィデスの力を得て「天獄神獣 フェンリル」を撃退、アーシャは「仮面の奇術師 ハリー」、「星影の吸血姫 ナイトローゼ」、「罪を濯ぐ者 シャルハロート」と交戦、詳細不明ながら三者の運命を大きく変えることになる。
クロノジェットは自らの過去であるクロノ・ドランと同調し、デミウルゴスとバインドタイム・ドラゴンを打ち破ることに成功した。
なお、リューズの行く末については伝承によって全く異なり、幼児であったり老人であったり、罪を許され新たな人生を歩んだとも、全ての力を使い果たし死亡したともされている(アニメを見る限り全て正しい)。
第二次弐神戦争(G NEXT~GZ)
この時期、地球人が惑星クレイに飛ばされていたことが発覚している。
弐神戦争以来潜伏を続けていた「使徒」たちは、満を持してギーゼ復活のため行動を開始。同時期にシャドウパラディンの魔術師「竜刻魔剣士 ダグザ」が何者かに殺害される事件が発生し、この時彼を兄と慕っていた「竜刻魔道士 ルアード」が復讐のため力を求めて動き出す。この過程でルアードはクロノジェットやアルトマイル、アーシャと出会い交流を深めていく。
一方、メサイアはギアクロニクルと協力し、重なり合う世界を安定させるためにある計画を立てていた。
クレイのユニットを、地球にいるそれぞれの「先導者」と対話させ、彼らの協力の上で体を借り受け、運命力の様子を調査するというものである。
調査員としてネオネクタールから「竜胆の銃士 アンテロ」、ジェネシスから「崇高なる美貌 アマルーダ」、かげろうから「炎熱猟兵 ダムジット」が出向くことになったが、これに「使徒」が便乗。
ぬばたまにおいて一群を指揮し、味方の裏切りで全滅した「忍竜 シラヌイ」をガスティールが唆し、地球の影響でクレイの運命がゆがめられていると嘘を吹き込んで意のままに操った。
結果、シラヌイはダグザを殺害した後、地球にて自らの先導者にディフライド。ガスティールに課せられた任務のまま、カオスブレイカー・ドラゴンをその先導者にディフライドさせ、さらにギーゼの地球での器を選別していた。
当初シラヌイは、地球人の脆弱さに失望し、こんな存在にクレイの運命がゆがめられ、自分の一族が滅ぼされたのかと憤っていたが、その矢先にアンテロがディフライダーごと交通事故で死亡するアクシデントが発生。
アンテロが絆をはぐくんだアーシャの先導者と、特異点たるギアクロニクルの先導者との交流により、シラヌイはガスティールの語った内容が偽りだったことに気づき離反。アマルーダと共にクレイに帰還し、使徒の動きをメサイアに報告した。
同じ頃、シラヌイをダグザの敵として狙うルアードはぬばたまへの襲撃を繰り返しており、メサイア陣営はこれを止めようと行動を開始。
地球に降りたカオスブレイカーは、使徒の三人と、グレドーラに従うダークフェイス・アルキデスをディフライドさせ、ダムジットを引き込んで暗躍。この時、クラレットソード・ドラゴンもディフライドさせようとしたが、彼の先導者の拒絶で失敗している。
ガスティールの魔術と、アルキデスのディフライダーの知識により、二つの世界のはざまたる「虚無の要塞レリクス」が建造され、双方の世界から運命力を取り込む用意が完了。
クレイでは襲撃を繰り返していたルアードをメサイア一派が制止し、ダグザの死に関する真実を伝えるが、これを知ってショックを受けたルアードはガスティールに拉致されレリクスに囚われてしまう。
そして、地球における彼の先導者と共にギーゼの器とされてしまい、クレイでは使徒の軍勢が一斉攻撃を開始。
メガコロニーはネオネクタールへ全軍を向け、アクアフォースはヴァレオス旗下の「旧世軍」がユナイテッドサンクチュアリへ進軍、さらに空からはカオスブレイカーが差し向けた星輝兵の大群が襲撃をかける。シラヌイとアマルーダの警告のおかげで奇襲は逃れたものの、戦況は悪化の一途をたどる。
一方、地球でも使徒たちが最後の暗躍を開始し、ヴァレオスが第一次弐神戦争で敗因となった聖剣フィデスを破壊することに成功。
さらに地球に封印されていたゼロスドラゴンを全て解放したが、任務完了、あるいはファイターたちに敗北したことで全てクレイに帰還することになる。
最終的に自身の娯楽のために動いていたカオスブレイカーが自らを生贄としてギーゼを完全復活させ、第二次弐神戦争は佳境を迎えた。
地球では「虚無の雨」と呼ばれる疑似ファイターが各地のファイターに立ちはだかり、クレイではギーゼ自身が侵攻。
自らの先導者の意志を受けて使徒から離反した「炎熱竜将 ダムジット・ヴァラー」、ルアード解放を目指す「焔魔忍竜 シラヌイ“慚愧”」もメサイア側として戦線に加わったが、すべてを終わらせたのはまたもクロノジェット、アルトマイル、アーシャの三人だった。
アルトマイルは失われたはずの聖剣フィデスを復活させ、アーシャは苦戦の中でアンテロの魂により危機を逃れる。そしてクロノジェットは、クロノ・ドランと共に自らの運命力を高め、「クロノジェット・ドラゴン・Z」「クロノ・ドラン・Z」となって互いの力を共鳴。「クロノバイザー・ヘリテージ」となり、メサイアの力を受け継いでギーゼとの決戦に臨んだ。
最終的にはクロノジェットはクロノ・ドランを弾き出してヘリテージとしての肉体を掌握、後事を仲間たちと次の世代に託して特攻、ギーゼ諸共滅び去った。
ゼロスドラゴンたちはクレイエレメンタルへと変化し、対存在を失ったメサイアもまたクレイズイデアに還ったことで、弐神戦争はついに終わりを迎えることになった。
無神紀~天輪聖紀(Dシリーズ)
クレイのみならず地球をも巻き込んだ一大事件を重く見たクロノ・ドランは、特異点の少年との対話の結果、同様の事態を再び地球に齎さないために運命力の繋がりを閉ざしている。
この結果、地球はひとまずの平穏を得たが、反対にクレイの方は神の加護を失い、先導者の導きも受けられなくなるという有史以来の大混乱に陥り、後に「無神紀」と定義される混沌の時代を迎えることになる(Dシリーズのアニメ(「overDress」及び「will+Dress」)においては、クレイ側の状況について全く描かれていないが、天輪聖紀に移行するに当たって「クレイから地球への祈り」が一方的に届く状態となっているためか、運命の修正力が齎す「ユニットとファイターの動向が連動する」現象も復活。さらに「Divinez」では運命力の影響が強まったためか、ファイターたちも幻覚という形でクレイとシンクロするようになっている)。
この「無神紀」時代においては、メサイアやギーゼなどといった神格の元だったクレイズイデアが気配を失って全ての活動を停止し、更にユナイテッドサンクチュアリの衰退が表面化したことや、メサイアによってもたらされてきた魔法の枯渇によって、混沌は更に加速し、多くの国家やクランは旧来の体制からの変革を強いられた。
加えて、時空の断絶によって、いかなる世界からもクレイの記録そのものが失われる事態が発生。
特にこの影響を強く受けたギアクロニクルは、超越(ストライド)を含む時空を超える能力が使用不能となった結果、十二支刻獣の力を受け継いだ「一人の英雄」が現れるまでの間、クランそのものが機能停止に陥っていた。
ことに運命力の枯渇による魔法の衰退や、ドラゴンたちの弱体化が顕著であり、これを受けた大賢者・ストイケイアは運命力に依存しない未来予測機関「ワイズキューブ」を完成させ、この思想に賛同した者たちによってズー・メガラニカが合併した「ストイケイア」が建国。バミューダ△はここには加わらず、「融和と学習によって未来が開かれる」と説いたストイケイアの思想に従い「リリカルモナステリオ」を建国した。
衰退著しいユナイテッドサンクチュアリは最終的に王都セイクリッド・アルビオンを放棄せねばならなくなり、さらにはこの時期にも未だ野心収まらぬドラゴンエンパイアの侵攻で領土を削られた結果、支配者層が住む浮遊島群「ケテルギア」と荒廃した地上に分かれて存続、かつてとは打って変わった閉鎖主義へと転向。
ダークゾーンは魔法力の枯渇によりクランとしての力を失い、小国家群に分裂し内部抗争が続いていたものの、ある時十二支刻獣の力を受け継いだ謎の若者が現れ、彼と彼に率いられ活動を再開したギアクロニクルによってダークステイツとして再統一を果たした。
スターゲートに属するノヴァグラップラー、ディメンションポリス、リンクジョーカーはそれぞれに事態を打開すべく行動を続けていたが、遊星ブラントに残されていた「メサイアの碑文」の発見と、そこに記された内容を受けて合力することを決定、ブラントゲートとして再編。
唯一ドラゴンエンパイアだけは、主力となるドラゴンたちの弱体化こそあれど、国境は変化したものの国名も体制も変わらず、かげろう・なるかみを筆頭とした各クランによる武断体制が続いている。
この混乱は現地時間で3000年にも渡って続いたが、最終的にドラゴンエンパイア内部において、クレイにおける「今の世界をよりよく発展させる」という希望の代行者「焔の巫女」と、「今の世界を滅ぼし、よりよき世界を作り出す」という絶望の代行者「封焔の巫女」が争った末、ギーゼ・エンド湾での決闘を経て焔の巫女が勝利。
新たな神として「天輪聖竜 ニルヴァーナ」が覚醒したことにより無神紀は終わりを告げ、新たなる時代「天輪聖紀」が幕を開けている。
なお、敗れた「封焔の巫女」はクレイ全土を行脚し、色々なユニットと対話しつつ新しい未来を模索している。
一方で未確認情報ながら、無神紀以前の伝説のユニット達が時を超えて出現したという噂もある。
巨躯(アンノウン)事件(Dシリーズ)
天輪聖紀初頭に発生した、各国家をまたぐ大騒動。
新聖紀に眠りについていた、生命力の塊「煌結晶(ファイア・レガリス)」を持つバイオロイド・ロロワの目覚めによって、それぞれの目的のため煌結晶を求める「煌求者(グリッター)」とその相棒のユニット達が活動していた。
- 煌結晶を本来持っていた「緑流一閃 ロロワ」と、一人前の竜使いを目指す「炎華のドラグリッターガール ラディリナ」
- 病弱で余命わずかな妖狐の変化「幽遠なる夜に タマユラ」と、彼女に仕えその命を救おうとする「双子のダイアフルドールリリミ&ララミ」
- リンクジョーカー出身の研究者「知恵の泉 エバ」と、彼女を護衛するシャドウパラディンの指名手配犯「黒暗の騎士 オブスクデイト」
- オブスクデイトを師・ジラールの仇として狙う「断罪する正義の剣 テグリア」と、彼女の親分を自称するメガコロニーの悪党(?)「悪逆非道?のモスガール メープル」
- 風が吹くように他者の欲望を求める「迫りくる牙 ケイオス」と、彼に仕える無感情な暗殺者「冷徹な執行者 ミカニ」
- 伝説のアイドルを目指す「夢に向かって一番乗り! ミチュ」と、その友人「はにかみの歌声 ノクノ」
が確認されている。
ロロワは当初エバ&オブスクデイトに狙われており、最終的にトゥーリの村で煌結晶を奪取されるが、その後いかなる経緯をたどったのか煌結晶はエバの手を離れ、リリカルモナステリオにおける祭典のトロフィーに配されていたところを、主の命を救おうとしたリリミ&ララミが狙い爆弾テロを画策。
これは居合わせたロロワ&ラディリナによって阻止され、タマユラもどうにか命を長らえた。
墜落した先でシャドウパラディンの騎士「沈黙の毒騎士 影潜者 モーダリオン」に救われた二人はその後ケテルサンクチュアリに保護されるが、そこで「巨躯(アンノウン)」と仮称される謎の敵の干渉で正気を失ったテグリアにバイオロイドとしての生命力目当てに命を狙われる事件が発生。
モーダリオンの介入で逃亡に成功したものの3000年前、つまり無神紀の始まりと同時期、ロロワが眠りにつく直前に襲撃をかけていたのがケイオスであり、一連の事態の裏に彼の意図がある疑いが浮上する。
その後、ダークステイツの「ハッピー常闇村」を経て、民間企業「ハートルールーのハッピートイズ」に行き着いた二人だが、そこでは人格退行を起こし「素顔」に戻ったエバと、彼女を守るオブスクデイトと鉢合わせ。
成り行きでオブスクデイトと行動を共にすることになったが、ハッピートイズ内部の「オモチャの国」区画で後を追って来たテグリア、さらに別件でオブスクデイトを処刑すべく現れたモーダリオンが登場。
ロロワの命を剣にあしらった煌結晶に吸わせて復讐の力を得ようとするテグリアだが、「おかしの国」区画で立ちはだかるラディリナを殺そうとしたところで貝気楼の力を得たモモッケに妨害され失敗。ケイオスの扇動を受け、モーダリオンと対峙するオブスクデイトを発見する。
戦闘の末オブスクデイトは無力化されるが、そこに一時的に人格退行を回復した「元のエバ」が介入、「オモチャ怪獣ブレイビロス」を呼び出してハッピートイズの遊園地全体を炎上させ制圧。居合わせた全員が撤退を余儀なくされた。
一方、残されたロロワとラディリナの前にはケイオスとミカニが出現。
ケイオスはいつの間にか確保していた、ジラールとオブスクデイトの剣にあしらわれた双子石を用いて旧友である「儀式を司る者 サクリファイス・グラス」を目覚めさせると、かつてのダークゾーンに存在した「偉大なるグランドグマ」の存在、彼女が眠りについていることを語る(最も「グランドグマが眠りについている」「魔力に変換された生け贄たちがおり、グラスが確保している」以外の内容は全て美化された虚偽であり、当事者であるグラスからも指摘されている)。
サクリファイス・グラスの確保していた「生け贄」達の中にはテグリアとメープルもおり、ロロワはこれを打破すべく戦いを挑む。
ケイオスのこの時の、そしてサクリファイス・グラスの目論見はその場に居合わせた全員を、現実と夢の混濁した幻覚に叩き込んで惑わし、「時空竜クロノスコマンド・ドラゴン」の居場所を探りつつ、それを媒体にグランドグマを顕現させることであり、狙い通りミカニを始めとする大量の「生け贄」達の記憶と思いを糧にグランドグマを復活させることに成功。
取り込んだ者達を「理想の幻想」に閉じ込め、さらにラディリナを通じてロロワの生命エネルギーを取り込むことでグランドグマの完全な覚醒を狙ったが、「煌求者」達が確かに残した心の繋がりまでは断ち切れず、ロロワの抵抗で覚醒が阻まれたところで、メープルの声が届き目を覚ましたテグリアの反撃を受けて覚醒は失敗。
さらに、ならばと「悪人になった」ケイオスの反撃も、拘束を逃れ覚醒した「時空竜 クロノスコマンド・ドラゴン」の援護で跳ね返され、そのまま「理想の幻想」に囚われていた者達が次々と目を覚ましたことでサクリファイス・グラスの目論見は頓挫。
ケイオスはクロノスコマンド・ドラゴンが吸収されていたことで生じた「過去と現在を繋ぐ歪み」に身を投じ未来での再誕を試みたが、グランドグマの泥濘を抜け出したミカニに銃撃されこれも失敗。
グランドグマの消滅後、ロロワは自身の存在そのものを煌結晶としてクレイ全体にちりばめるため世界樹となり、後に「巨躯事件」と呼ばれるようになったこの事件は終結した。
しかし、この事件でケイオスがバラまいた欲望は、各地でそれぞれの欲望を具現した形となって舞い落ちる「巨躯の種子事件」と呼ばれる騒動を起こし、ラディリナを始め各地のユニットが対処に追われている。
龍樹侵食(Dシリーズ2期~4期)
ケテルサンクチュアリにおいては、格差と差別に耐えかねた地上のレジスタンスからユースベルクが反乱を起こしたが、事態が本格化する前に「魔宝竜 ドラジュエルド」が宝石泥棒を追いかけてケテルサンクチュアリへ乱入するというアクシデントが発生。
この地を訪れていたストイケイアの音楽隊も巻き込まれ、ユースベルクはやむを得ず「頂の天帝 バスティオン」と共闘。
暴走状態だったドラジュエルドは「封焔の巫女 バヴサーガラ」と彼女が呼んだ「天輪聖竜 ニルヴァーナ」の叱責で正気に戻り、セイクリッド・アルビオン最奥部の世界樹が解放されたことでひとまずこの反乱未遂は終結。
ユースベルクはその後、ゴールドパラディンに編入され地上部隊として配属、ケテルサンクチュアリ内部の格差の大きさが改めて上層部でも問題視されることになる。
そんな中、外星から落ちた謎の物体が活動を開始。
ダークステイツの星読み一派「星刻姫」達が一族単位で加担した上、「枢機の神 オルフィスト・レギス」や「怪雨の降霊術師 ゾルガ」、「満開の大行進 リアノーン」などがそれぞれの原因で「マスクス」と化し、ドラジュエルドに至っては「ディアブロス“暴虐”ブルース」との戦いで死亡するなど、各地で混乱が表面化。
グリフォギィラの取った手段はかつてのリンクジョーカーとは逆の、存在を気づかせずに「浸透」するという狡猾なものであり、ギーゼ・エンド湾に潜みながら「龍樹の落胤」を各地に送り込むことで暗躍。
先導者の導きを失った世界にうっすらと蔓延する未来への不安に付け込み、「時代に対抗する力」を求める心を動かすことで「マスクス」を増やして自分たちの勢力を拡大し続け、最終的に各国が確立した水晶玉による魔法的連絡網「マジック・ターミナル」をダウンさせることに成功。
クレイの絶望を司る精霊・トリクムーンを狙い(これは阻止され失敗)、現在のクレイの希望の象徴である「天輪の巫女 リノ」とその一行を一時的に隔離し、最終的に最北部のケテルサンクチュアリと、ドラゴンエンパイア北部の寒冷地を除いたクレイ全土を制圧・壊滅状態に追いやった。
さらにこのような事態に本来対処するべきブラントゲートのオルフィストら、リンクジョーカーの一派も「怪雨の降霊術師 ゾルガ」を介する形で「龍樹のもたらす未来に賛同する」という意見を表明しており、この誘いに乗る形でグラビディアたちも軍門に下ってしまっている。
煌結晶絡みでも、リリカルモナステリオにおいて「幽遠なる夜に タマユラ」に仕える自動人形リリミ&ララミによる爆弾テロが敢行される(時系列的には龍樹事件の直前と思われる)など、あちこちに火種が飛んでいる。
むろんクレイ側も黙ってはおらず、ブラントゲートの「ブリッツCEO ヴェルストラ」とダークステイツの「ディアブロス“絶勝”ブルース」を中心とした対抗勢力が活動。
ヴェルストラは宇宙で「極光烈姫 セラス・ピュアライト」率いる治安維持部隊と交渉、ブルースはリアノーンやマグノリアを介して一時陥落したストイケイアを奪回しつつ、マスクスに走っていた「強欲魔竜 グリードン」を引き戻し、さらにマジックターミナルを復旧するなどで反撃の準備を整えているが、龍樹側はあえてこれを静観している節が見られ、予断を許さない状況が長く続いた。
最終的に龍樹は「滅尽の覇龍樹 グリフォギィラ・ヴァルテクス」として完全成長を遂げ、リノ達天輪の一派との決戦が始まる―――かに思われたが、リノは龍樹の狙いを看破していた。
龍樹の本質は底なしの欲求に突き動かされ、それを満たすことしか知らない生命体であり、クレイにおいて最終的に狙っていたのは、神格であるニルヴァーナの完全覚醒を誘発し、最後の御馳走としてそれを喰らうことであった。
運命力を吸い上げ力とする龍樹を相手に、弐神戦争のように運命力でぶつかっても勝ち目はない。そして、リノはニルヴァーナの代行者、即ち惑星クレイの意志を司る者として、龍樹をも受け入れることを考えていた。
聖竜紀の末期、惑星クレイは侵略者であるリンクジョーカーを新たなクランとして受け入れた。
ならば、同じく侵略者である龍樹もまた、クレイの新たなユニットとして受け入れることができるに違いない。
生と死の狭間から語り掛けるドラジュエルドの介入、そして天輪の一派が切り札に選んだ、トリクスタとプレアドラゴン達の新たなるオーバードレス「武装焔聖剣 ストラヴェルリーナ」により、龍樹の戦闘形態であるグリフォギィラ・ヴァルテクスは粉砕され消滅した。
そして一つだけ残されたグリフォシィドは、共存の意志をサプライズ・エッグの状態に戻った天輪聖竜に認められ、トリクスタの導きによりドラゴンエンパイア最北部の人里離れた氷原「安息の地」に植えられ、周辺一帯の雲と風を自身の力で回避した草原地帯を作り出して定着した。
これを以て龍樹もまたクレイの新たなユニットとして迎えられ、龍樹を巡る戦いは終わりを告げた。
運命大戦~宿命決戦(Dシリーズ5期~6期)
龍樹浸食の一件から程なく、またしてもクレイを新たな騒動が襲う。龍樹が天輪の一派に倒された際、飛び散った運命力の塊を受け取った「運命者」と呼ばれる6人のユニット達による運命力の奪い合いが始まったのである。
運命者の登場はそのまま、クレイを流れ万象を左右する運命力の偏りの表れであり、どんな形であれ運命者が出会うことは運命力の流れが合流し、以てクレイの在り様に変化を与えることを意味する。
具体的には運命者と運命者が戦い、どんな形であれど勝利した方に運命力が流れ、最終的には全ての運命力を手にした者が「在るべき未来」を実現できる。
さらには運命者それぞれの振る舞いもまた、彼ら自身が運命力の特異点と化している都合上、クレイの在り方≒地球における「先導者」たちのファイトにも強く影響を及ぼすことになる。
共通項としてそれぞれ「何者か」の声を聴き、運命者として名付けられ、それによって運命大戦に身を投じていることが挙げられる。
運命者は、
- かつてのエンジェルフェザーに属し、無神紀にて活躍した「救世の使い」こと、「奇跡の運命者 レザエル」
- ドラゴンエンパイアにおいて「天下無双」を号するウインドドラゴンの武芸者「無双の運命者 ヴァルガ・ドラグレス」
- リリカルモナステリオの創設者にして伝説のアイドルたるマーメイド「万化の運命者 クリスレイン」
- 増幅した運命力を用いて専用の極大衛星兵器「オイリアンテ」を完成させた「標の運命者 ヴェルストラ“ブリッツ・アームズ”」
- 「七海覇王ナイトミスト」の復活を目指す「禁忌の運命者 ゾルガ・ネイダール」
- レザエルの恋人だったリィエルの遺体と、別の世界で死亡したレザエルの記憶をベースに、ギアクロニクルの遺跡によって生み出された複製体「時の運命者 リィエル・アモルタ」
- ダークステイツのどこかにある運命力のブラックホール「零の虚」の中心で無秩序な力をふるう「零の運命者 ブラグドマイヤー」
が確認されている。
現状では、運命者の動きは巻き込まれる形で運命大戦に参じているレザエルと彼に干渉するヴェルストラ&リィエル、運命力の均衡を維持しつつ争乱を避けようと暗躍するクリスレイン、独自の目的のために運命者としての力を利用するゾルガとブラグドマイヤー、運命者そのものを探求するヴァルガの4勢力に分かれている。
リィエル・アモルタは一連の事態の真相を大まかに把握しているらしく、ヴェルストラの仲介でレザエルと対面し、この後の戦いから身を引かねばレザエルは死に、クレイは滅亡すると警告を発している。
この邂逅に前後してゾルガはナイトミストをあの世から呼び戻すべく、「零の虚」の中心部で運命力への干渉を試みたが失敗、ブラグドマイヤーの運命力吸収に巻き込まれ半身を失う重傷を負っている。
リィエル=アモルタによれば、本来の未来ではヴェルストラとリィエルは運命者ではなく、レザエルが全ての運命力を引き寄せた上で「零の虚」に挑んだが失敗、ブラグドマイヤーに全てを飲み込まれて敗北。ブラグドマイヤーが勝者となったことで、全ての運命力もろとも惑星クレイは飲み込まれ消滅する……という顛末があり、その未来から飛ばされて来たレザエルの運命力と記憶がギアクロニクルの遺跡に作用し、アカシックレコードというべきものから本物のリィエルの記憶を読み取り、リィエルの遺体をベースに生成したのがリィエル=アモルタであった。
ブラグドマイヤーが渇望しているのはレザエルを支える深い悲しみであり、それさえ手に入らなければいつか大人しくなるとリィエル=アモルタは推測していたが、希望的観測にすがることをよしとしないレザエルはこれを拒否、ブラグドマイヤーに標的を定め動き出すことになる。
結果、リィエル=アモルタとの決闘を制したレザエルはヴェルストラの協力を得て「零の虚」に突入。
ゾルガのように外から流れに乗るのではなく、中心部へ空から飛び込む形でブラグドマイヤーを狙い撃ちにしたのである。
かくして相まみえたブラグドマイヤーの正体は、リィエルを喪ったレザエルの悲しみを取り込んだ無のデーモン、すなわちレザエルの半身と呼ぶべき存在であり、それゆえにレザエル自身を飲み込み同化することを欲していた。だが実際にそれが行われた場合、運命力の均衡はブラグドマイヤーに傾き、彼の性質である「虚無」に引きずられる形でクレイそのものが終焉を迎えることになる。
これを防ぐためレザエルはブラグドマイヤーと交戦するも、リィエルのかつての言葉を思い返したことで運命力の流れをリィエルに傾けることに成功。
これに伴いブラグドマイヤーの中に感情が芽生え、レザエルに連れ出される形で惑星クレイに生まれ直すこととなった。
しかし、この決着によってリィエル=アモルタを生んだ「別未来のレザエル」の存在が否定され、時間軸が閉じられたことでその存在もまた消失。
少なくない犠牲を払いつつも、運命大戦はひとまずの終戦を迎えることになった。
ブラグドマイヤーはレザエルのもとで世界にあるための知識を学ぶことになったが、その矢先にワイズキューブが「運命者」たちに託宣を与える。
その内容は、
- ブラグドマイヤーを待つ何者かが「朱の霧」の向こうにいる
- ヴェルストラに憤りを持つ「秤」が北より来る
- ゾルガをケテルサンクチュアリで「守護の剣」が待っている
- クリスレインは「至高のアイドル」の座を巡る競争に参加する
- ヴァルガに「最強」が挑戦しに来る
- レザエルは時の怒りと罪の深さを知る
- 運命者たちの前に「宿命者」が現れ、決戦の時が来る
というものであり、次なる戦いが既に始まっていることが判明した。
なお、この時期には地球とクレイを繋ぐ運命力が対魔獣戦線期と同程度に回復しており、ファイターたちも幻覚という形でクレイとのコンタクトが可能になっている……かに思われたが、実際にはそれを超えた事態が起きていた。
宿命者とは、かつて「世界の選択」において敗れた「封焔の巫女 バヴサーガラ」が司る「絶望の運命力」によって力を与えられた面々であり(ただしバヴサーガラとトリクムーンは関与していない)、
- ストイケイア北方、朱霧森ヴェルミスムのいずこかに潜み、特殊な霧「無限鱗粉」を介してクレイの全てを見聞きする「無限の宿命者 レヴィドラス」
- ドラゴンエンパイア軍の古参であり、ヴェルストラの知己である「秤の宿命者 アルグリーヴラ」
- ケテルサンクチュアリの外交武官となっている「守護の宿命者 オールデン」
- クリスレインを超え、ただ一人で頂点のステージを目指す「至高の宿命者 リシアフェール」
- 出自不明の人工衛星から発される信号「X-ceed」に誘われて目覚めた古代のバトロイド「凌駕の宿命者 インバルディオ」
- 天使リィエルの記憶と、レザエルが死んだ未来における「絶望の運命力」により構築された「時の宿命者 リィエル=オディウム」
の6名。
宿命決戦と銘打たれたこの戦いは、運命大戦によって生じた運命力の「揺り戻し」であり、運命者=リノの司る「希望の運命力」に偏った流れを再び攪拌するための自浄作用に近い。
運命者と宿命者は予言の後、それぞれが邂逅を果たし交戦(リシアフェールについてはクリスレインとのラップバトル)。
そんな中でバヴサーガラの要請を受けた「重力の支配者 バロウマグネス」はクレイの記憶である「アカシックブック」へのアクセスに成功、「天意壊崩 バロウマグネス」として帰還。消滅したはずのリィエルが宿命者となって戻って来る理由を「絶望の運命力によるリィエルのエミュレート」であり、宿命者そのものが同じようにして力を与えられた存在であると突き止めた。
同じ頃、ギアクロニクル第99号遺構においてレザエルはリィエル=オディウムと接触。
リィエル=オディウムの目的は、自身の記憶を強く留め、運命の分岐点となっているレザエルを殺し、その運命力を得ることで過去へ跳躍、リィエルの死という事象を覆すことでそこから生じた全ての悲劇を消し去ることにあった。
しかし、寸でのところでブラグドマイヤーの「零の虚」を介してリィエル=アモルタが介入。
アモルタはオディウムを説得し、それぞれに与えられた力の性質から、運命大戦から続く一連の騒動の裏に何者かの意図があると推察、対話を試みる。結果、一定の結論に至った二人は改めて激突、アモルタが勝利を収める。
だがここで突如ヴァルガが乱入、アモルタに致命傷を負わせると共に、アモルタが保持していた運命力を丸ごと強奪するという事態が発生。
レザエルの対処が速かったことでアモルタは一命をとりとめ、オディウムとの合流も結果的に成功。そしてレザエルは二人の「リィエル」から伝えられた情報から、一連の事態の推移について把握、これを全体に共有した。
事の始まりは「ヴァンガードG」の時系列に当たる新聖紀、当時のドラゴンエンパイア北部を中心に起きた災厄「ツバレンの悪夢」にあった。
その元凶たる「原初の共心竜 シヴィルト」は、その事件で監獄「マグナプリズン」に囚われたが、肉体を捨てて脱獄し、人の心を歪め暴走させる精神寄生体と化してなおも暗躍。
かつてリィエルが命を落としたプロディディオの内乱もまたシヴィルトによるものであり、さらにレザエルが一時師事していた「守護竜 ガブエリウス」の一族とその神殿を滅ぼしたのもシヴィルトである。
ガブエリウスはシヴィルトを追って異世界へと飛ぶため、一族に伝わる秘術を探求した末、異世界渡りの技術を独自に開発。運命大戦とはその最終段階であり、運命力を収束させて頂点を生み出し、一つの事象を発生させる「術式」である。
これにより、肉体を捨ててディフライドに近い形で地球に来たガブエリウスは「Divines」シーズン1において運命大戦を主催、ファイター達を導くことでシヴィルトを捜索していた。
そして宿命決戦とは、シヴィルトがそれに対して起こした「打ち返し」であり、運命大戦の仕組みを利用して絶望の運命力を発生させ、それを力あるユニット達に与えて動かしていたのであった。
ヴァルガもまたシヴィルトの精神汚染を受けてしまっていたのだが、レザエルはここで一つの謎に行き当たった。異世界に逃げ、クレイへの直接的な手出しができないはずのシヴィルトは、しかしどうやってか運命者たちに干渉して来ている。
そして、クレイの歴史上それを可能にする理は一つ……運命の修正力である。事実、運命大戦はそうして起きたのだ。
レザエルは運命者の力を得た時、青い髪の少年の姿を幻視した。
あれが、かつてのブラスター・ブレードやドラゴニック・オーバーロードを導いたのと同じ、惑星「E」こと地球に生きるヴァンガードファイター……つまりレザエルの先導者であったのならば、今もう一度彼と邂逅できれば、それこそが逆転の希望となる。
ヴァルガを介してシヴィルトに運命力を奪われた今、クレイの命運はあちらの手にある。
ならば、密接に繋がる惑星「E」の運命力を、先導者を通じて共有すればよい。
果たして、運命者たちの意志を束ねたコンタクトは成功。「在るべき未来」を心に描き、「奇跡の運命王 レザエル・ヴィータ」が顕現した。
他方、ヴァルガを完全に乗っ取ったシヴィルトはレヴィドラスを急襲、無限鱗粉によるネットワークを乗っ取り必要な情報を集めていたが、そこでリィエル=オディウムが現れ交戦。
既に致命傷を負っていたレヴィドラスはこの時間を利用してレザエル同様に地球に呼びかけ、自身の先導者である赤い髪の少年との交信に成功。「無限の宿命王 レヴィドラス・エンピレオ」として復活した。
そしてこれは、一連の事態を引っ繰り返す決め手であった。なぜならば運命王と宿命王、この両者の誕生なくば、シヴィルトは地球における器を介して地球からヴァルガを完全掌握、生きとし生ける者の欲望を暴走させ全てを破滅させていたからである。
そのシヴィルトも当然黙ってはおらず、地球に置いて高まった運命力を利用してヴァルガの肉体を「無双の魔刃竜 ヴァルガ・ドラグレス “羅刹”」に変異させ掌握。
直後、ヴェルストラの仕込みによってその場にいた全員がギャラクトラズ宙域のブラックホール近辺に隔離され、レザエルが準備を整える時間を稼いだ後、かつてガブエリウスが在った極北の廃殿にてレザエルとヴァルガは対峙。
シヴィルトが地球でのファイトに意識を移したことでヴァルガは自我を取り戻していたが、それは同時に、先導者たちのファイトに連動してレザエルと戦わなければ、彼らの目的は果たされないという事実の裏返しでもあった。
運命力の差でレザエルはヴァルガの前に膝を折るが、土壇場で先導者の「祈り」が届いたことで刃の一つを受け止めることに成功。
さらに、ゾルガによってクレイに残されていた「聖竜ガブエリウス」の体に宿ったアモルタが加わったことで趨勢が完全に覆り、地球側での敗北もあってシヴィルトはヴァルガから追い出され消滅。
使命を終えたガブエリウスの肉体も消え去り、魂はとある女性と同化。
かくして宿命決戦は、運命大戦以前から続く当事者二名の決着と消滅を以て終結することになった。
なお、ヴァルガ=ドラグレスはこの一件で生じた誤解から刺客が押し寄せる状況を利用し、羅刹の力を完全に我が物とすべく修行を続けている。
また、リィエル=アモルタは事情が事情とは言え「時翔」を濫用したことを咎められ、ギアクロニクルに連行される形で惑星クレイの時空外へ去り、行方不明となっている。
惑星クレイ以外の天体
遊星ブラント
クレイの衛星の一つ。元々はリンクジョーカーの一派「根絶者」の本拠地にして、リンクジョーカーの母星だった惑星。これ自体が「遊星骸王者 ブラント」の支配下にある。
メサイアスクランブルにおいて侵攻を悉く退けられた根絶者がクレイに差し向けたが、メサイアによってまたも退けられた上、クレイの月としてその軌道に加えられた。
この後のネオンメサイア覚醒を巡るギアクロニクルの介入によって未来が確定したため、メサイアはここに導きなき世界について記した「碑文」を残しており、天輪聖紀においてはこれを根拠としてブラントゲートが建国されている。
アニヴェルサーリオ
ショートアニメ「みにヴぁんら~じ」で登場したクレイの衛星のひとつ。
クレイ同様生物の生存には全く問題ない環境だが、荒涼とした大地が広がるばかりで何もない星。その代わり、(みにヴぁんの世界から見れば)運命力の繋がりが絶たれた現在であっても地球と繋がっている他、ファイターたちのイメージがクレイよりも直接的に、かつ即座に反映されるという特性がある。
管理者&星の化身であるユニット「セルカ」によって時代を超えて多数のファイターがコールされ、彼らの力を借りて開拓が行われている。
良くも悪くも、何もないがゆえに何でもありの星であり、新導クロノは2018年版の過去である「新右衛門編」の幼少期と2011年版の続編である「G」の青年期が併存している他、櫂トシキに至っては「2011年版」「2011年版の幼少期」「リバースファイター時代」「2018年版」「2018年版の幼少期」「if」「G」をはじめ、あらゆる媒体・時系列の同一人物が一堂に会するというわけのわからない事態に陥った(これは後からコールされた伊吹コウジも同じ)。
ちなみに最初にコールされたのは各時代の主役に当たる先導アイチ(2011年版)、新導クロノ(2018年版の幼少期)、先導エミ(if)、新田新右衛門(新右衛門編)。
また、最終的には近導ユウユがコールされているのが確認できる。
関連タグ
クランや国家については「ヴァンガードユニット」参照。