概要
アイヌの人々の間で行われていた儀式。
動物に宿った神(カムイ)の魂を解放し、集落(コタン)の発展や豊作を願った祭事。
特にヒグマを用いたイオマンテが知られている。
子連れのヒグマを罠にかけて仕留める、あるいは逸れた子グマを捕獲し、神の依代として檻を作って村全体で大切に育てる。
そうして1年ほど育て成獣になった子グマを、祭りの祭壇に捧げ、集落の男たちが苦しみが少ないように屠殺し、討ったクマは神の宿った後の神聖なものとして、丁重に集落の人々で分け合う。
苦しみを少なくするのは、クマに宿った神が悪神(ウェンカムイ)になることを避けるため。アイヌにおいて、人を害したり苦しみで怨強いみを抱いて死んだ動物は、悪神になって祟りを起こすと信じられていた。
現代の価値観からすると残酷な祭りだが、アイヌの文化思想では、全ての生き物に神が宿っており、それらを丁重に持てなして天に還すことは、自然への最大限の感謝を表す行為だったようである。