概要
ヴォイテクとは、ポーランド軍第2軍団第22弾薬補給中隊に配属していた実在のヒグマ(シリアヒグマ)の兵士。階級は伍長。ヴォイテクとは「戦士」という意味(正確には戦士という意味をもつ男性名・ヴォイチェフの愛称形)。
幼い頃、母グマが猟師に射殺されてしまい、イランのハマダーン付近で現地の少年に保護され、その後、当時、イランに駐留していたポーランド軍に引き取られる。彼等は大戦初期に当時はナチス・ドイツと同盟して共にポーランドを占領したソビエト連邦の捕虜となっていたが、その後、ドイツがソ連に攻め込んだために解放され、連合軍(イギリス軍)と合流するために故郷から遥か遠く離れたイランに送られていた部隊であった。
1942年に保護された当時、1歳くらいであったヴォイテクは兵士達に大切に育てられ、それによって非常に人懐っこく人間のような振る舞い(敬礼したり、ビールを飲んだり)をするようになり、兵士たちに大変愛されていた。
その後、正式に徴兵されて正規の兵隊となる。これは部隊がイギリス軍の船で移動する際、ヴォイテクは熊なので乗せられないと問題になり、乗船許可を取りつけるための方便として兵士としての正式な身分を与えたものであり、当初は軍用として徴用した訳ではなかったのだが、実際には軍務にも従事し、弾薬などの補給任務に就いていた。人間では持ち運べない量を簡単に持ち運び、イタリア戦線のモンテ・カッシーノの戦いでは銃火が飛び交う戦場を恐れることなく駆け回っていた。
その勇敢な行動と上記の人懐っこさによりたちまち人気者となり、功績を称えて部隊の紋章が「砲弾を運ぶクマ」となった。
戦後は、イギリスのエディンバラ動物園で余生を過ごし、1963年12月に22歳でこの世を去った。
余談
アニメ『ガールズ&パンツァー劇場版』に彼の名前を命名したクマの乗り物が登場。
終盤に意外な活躍を見せることに……
また、ポーランド製戦車を主力としたボンプル高校の校章には砲弾とクマが描かれており、おそらくヴォイテクをモチーフにしたと思われる。