「ターボ・タスティック!」
概要
ディズニー映画『シュガー・ラッシュ』の冒頭から何度も登場する動詞「ターボする」の由来となったキャラクター。序盤では他のゲームのキャラクターから忌避感がある事は窺えるものの、その真相は作品中盤で語られる。
ほんの一昔前(1980年代)までゲームセンター内に置かれていたレースゲーム「ターボタイム」の主人公。当時は大人気だったらしい。内容としてはアメリカのゲームメーカー、アタリが出した「スプリント」と言うゲームに近い。非常に目立ちたがり屋かつ自信家な性格で、「ターボ・タスティック!」が口癖だったとされる。
しかし、後に「ロードブラスターズ」という最新型のレースゲームが店に導入されると自身のゲームの人気が低迷し、それに嫉妬した彼はそのレースゲームの筐体内に侵入し、クラッキング行為を行おうとした。その間、自分のゲームも主人公が不在扱いとなり、ゲーム機は両方の筐体とも欠陥品と見なされて店から撤去されてしまった(電源を切られた時点でゲームの世界は消滅する)。彼の悪行はゲーム世界内でも有名になり、古参の者は他のゲームに入り込み邪魔をすることを「ターボする」と言うようになった。
逃げ延びた様子もないことから、そのまま消滅したものと思われていた。
以下、ネタバレ注意。(未視聴の方はバック下さい!)
物語終盤、ラルフとフィリックスの協力を受けたヴァネロペがレースに飛び入り参加、それを知ったキャンディ大王は今度こそヴァネロペを排除するため彼女に襲いかかり、お互い激しくもみ合う中で偶然彼女と接触した際にヴァネロペが抱えるバグの影響を受けてしまう。するとキャンディ大王の体に異変が起き、別の姿に変わっていく。そしてヴァネロペがキャンディ大王の方に目を向けると…?
ヴァネロペ「ちょっと、あなた誰なの!?」
「私はターボ!史上最強のレーサーだ!折角プログラムし直したこの王国を、お前とあの手のデカいゴリラなんかに奪われてたまるか!絶対に渡さんぞ!!」
何とそこには消滅したと思われていたターボの姿が…!そう、彼は消えておらず今度は密かに「シュガー・ラッシュ」の筐体内に侵入。そこのプログラムを弄くって本来の主人公であるヴァネロペをゲームシステムから切り離し、さらに他のキャラクターの記憶を書き換えて自分がゲームの統括者であるキャンディ大王として振る舞うようになったのだ。(実は新参でありながらラルフを知っていたり、「ターボ」というワードを使っていた辺り、伏線は貼られていた。)
即ち彼こそがシュガー・ラッシュの本当の不具合(及びバグ)、そして今作のディズニーヴィランズである。
性格も目立ちたがり屋を通り越した自己顕示欲の塊で、自身の主人公としての地位と栄光に固執する歪んだキャラクターに成り果てている。
そのためヴァネロペが本来持っていたシステムの復元能力(順位に関係なく彼女がゴールラインを潜ると改竄した世界が元通りになってしまう)を危険視し、他のキャラ達に「彼女の存在自体がバグだ」と吹聴して除け者扱いさせたり、彼女を助けようとしたラルフを騙して彼女と彼の仲を裂こうとするなど様々な手で彼女をレースから遠ざけようとした。(センター内でも古株であるラルフ達は驚いていたが、比較的新参であるヴァネロペは、先述の台詞同様彼のことを知らなかった)。
その後、窮地を逃れたヴァネロペを追おうとした所で「シュガー・ラッシュ」の世界観に紛れ込んでいたサイ・バグ(近未来系シューティングゲーム「Hero's Duty」から迷い込んで来た敵モンスター)の一体に捕食されてしまった…。
以下、最終決戦のネタバレ
「ファイナルステージにようコそ!!」
ラルフ「ターボ…!!」
「フハハハハハ…!!お前ノお陰だヨ…!!」
「今ヤコの私はこのゲーム最強のウィルスだ!!」
「フハハハ…どんなゲームでも乗っ取れる…!!」
「オ前に感謝せネばなぁ…」
い~ややっぱり…死んでもらおう…!!
が、執念の強さゆえかサイ・バグを逆に取り込み、融合した異形の怪物(下画像)として復活を遂げ、なんとかサイ・バグを排除しよう奮闘するラルフの前に立ちはだかる。
さらに最強のウイルスとして『「シュガー・ラッシュ」のみならず、他のゲームさえをも支配する』と嘯き、その前に復讐の為にラルフを甚振ってゲーム世界から逃れられないヴァネロペの最期を見せつけようとする(その力は徒手空拳でサイ・バグを砕くラルフですら子ども扱いするほどだった)。
だが、サイ・バグの本能的な集光性まで引き継いでいた彼はラルフが起こしたコーラ火山(この世界ではコーラは溶岩として扱われている)の噴火の光に惹きつけられしまい、
キャンディー大王「おい!なぜ皆光に向かって…あああああ〜…フフフ…」
ターボ「……ダメだ!…」
キャンディー大王「フフフ…♡」
ターボ「ダメだ!!」
キャンディー大王「行ケ。」
ターボ「ダメだ!!!」
キャンディー大王「行ケ〜」
ターボ「ダメだァ!!!!」
と、理性による抵抗を行うが、それも虚しく、
キャンディ大王「フフフ…光二向かって…行ケ」
ターボ「エエエエエエエエエエエ!!」
という断末魔を残しながらそのまま他のサイ・バグと共にコーラの奔流に自ら飛び込み今度こそ完全に消滅するという、まさに因果応報と言うべき最期を迎えた。
(なお、キャンディー大王の人格とターボの人格の一人喋りは視聴者にシリアスな笑いを引き起こさせた。)
その後「シュガー・ラッシュ」はヴァネロペによって復旧されたが、ターボが再び登場することはなかった(率直な話、彼本来のゲームはもう存在しないので、復活は絶望的だと思われる)。
余談
ラルフとは「ヒーローという地位に固執し、他のゲーム機に侵入した」という点で共通点があり、ある意味ターボは「ありえたかもしれない、ラルフの成れの果て」とも言える存在である。
皮肉な事に続編のシュガー・ラッシュ:オンラインでは彼に「ターボ」された被害者のヴァネロペが、「シュガー・ラッシュ」から「スローターレース」のゲームに移動するというターボと同じような行動をして終わる結末になっている。しかし、勝手に侵入し害を与えたターボとは異なり、向こうから受け入れられ、一応正式に加わる形ではあるので厳密には同じではない(数少ないターボに同情する視聴者ならだれもが思う「ターボはどうすればよかったのか?」という問いに対する1つの答えという見方もできる)。